紅蓮の雪

遠田潤子(著者)

• 販売会社／発売会社: 集英社
• 発売年月日: 2021/02/05
• JAN: 9784087717389

商品レビュー

2024/08/25

遠田潤子4作目。
また出てきた親に愛されずに育った子供。しかも双子。
そして親の親も長男しか愛さなかった。

今回は大衆演劇が舞台。正直、早乙女太一くらいしか知らない。この小説で「気っ張り」とか、「お花」とかいう言葉を知る。女形どうしの絡みは、倒錯の倒錯。宝塚と同じ。
ほ〜なるほど。

「汚い」と親に言われた子供がどんなに傷つくかを想像した。こんなに親子して苦しむならやはり産まなければ良かったんじゃないかと。
でも人は生まれたからには意味があると思いたい。
鈴木座の人々、そして慈丹には救われる。親が死んでも舞台に穴をあけないのに、伊吹を救うために動いた。
その必死さは凍った心を溶かし、伊吹は生きようと思い直す。紙雪と白粉で覆ってしまえばきれいになれる。流れる紅蓮の血も雪で覆ってしまえ。

初めてのバースデーケーキを舞台で出してもらって、人生最高の誕生日をしてもらって、私までろうそくを吹いて泣いてしまうじゃないの。

2024/06/09

許されない愛ってこんなにも残酷でいろんな人を傷つけてしまうのかが嫌というほど分かる物語。不倫の比じゃない。

2024/03/31

旅芸人一座の座長の子供だった兄妹の因果が双子の子供へと続く．愛を知らずに育った二人だけの世界を頼りに，普通の人の人生を希求する．本当に哀しい物語だった．
ただ，若座長の慈丹の懐の広い優しさに溢れた人柄にこの物語は救われている．もう，その姿気風の良さ，実在の人物なら絶対舞台を見に行きます．