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ベネズエラ 溶解する民主主義、破綻する経済 中公選書
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 中央公論新社 |
| 発売年月日 | 2021/01/07 |
| JAN | 9784121101150 |
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ベネズエラ
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商品レビュー
4.3
10件のお客様レビュー
中南米いち豊かで民主主義の発達した国が、如何にして3年でGDPは半減し国民の1割が逃げ出す国になったか。分かり易く書かれているものの、構成にクセがちょっとある。 読む前は「何故…?」だったものが「は???」になっていく。とはいえ財政政策とかあまり他人事ではない。なお一番「は???...
中南米いち豊かで民主主義の発達した国が、如何にして3年でGDPは半減し国民の1割が逃げ出す国になったか。分かり易く書かれているものの、構成にクセがちょっとある。 読む前は「何故…?」だったものが「は???」になっていく。とはいえ財政政策とかあまり他人事ではない。なお一番「は???」となったのはこの本を読んでいる内にトランプが別の国の攻撃を始めたことだ
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
民主主義は「選挙があるかどうか」だけでは測れない。 ベネズエラの事例は、権力の集中と経済危機がいかに制度を内側から劣化させるかを示している。 チャベス以前にも崩れ、チャベス以後にも崩れたという二重の転落。 民主主義の質とは何かを考えたい人に勧めたい一冊。
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本書を手に取ったきっかけは、ベネズエラ前大統領をめぐり米国が強硬な対応を取ったとの報道に接し、事態がどのような歴史的・政治的経緯のもとで生じたのかを理解したいと考えたからである。 本書は、チャベス政権からマドゥロ政権に至る過程で、ベネズエラの民主主義がいかに形骸化し、経済がいか...
本書を手に取ったきっかけは、ベネズエラ前大統領をめぐり米国が強硬な対応を取ったとの報道に接し、事態がどのような歴史的・政治的経緯のもとで生じたのかを理解したいと考えたからである。 本書は、チャベス政権からマドゥロ政権に至る過程で、ベネズエラの民主主義がいかに形骸化し、経済がいかにして破綻へと向かったのかを、制度・政策・権力運営の観点から丹念に描いている。とりわけ印象的なのは、貧困層の救済を掲げる南米特有のポピュリズムが、当初は政治的正統性を獲得する原動力となりながら、政権の長期化とともに統治の質を急速に劣化させていく過程である。 チャベスは選挙を通じて権力の座に就いたが、その後は権力の集中と延命が自己目的化し、反対派や批判的言論は制度的・非制度的に排除されていく。資源価格が高く、財政に余裕がある間は、分配政策によって国民の支持を維持できたが、経済が行き詰まると、警察や軍といった国家の強制装置への依存が強まっていった。この転換は、多くの権威主義体制に共通する現象でもある。 さらに本書が踏み込んで描くのが、国家機能の崩壊と並行して進行する麻薬取引の国家的浸透である。正規の輸出産業が失われ、外貨獲得手段が枯渇する中で、麻薬経済が事実上の代替収入源として拡大し、治安組織や軍、政治エリートの一部がこれと結びついていく構造が生まれた。麻薬は単なる犯罪問題ではなく、国家を内側から腐食させ、法の支配を空洞化させる「影の国家経済」として機能してしまう。これはベネズエラ固有の問題というより、国家破綻が進む国々に共通する危険な兆候である。 国際社会からの経済制裁が強化される中で、同じく権威主義体制を持つ中国やロシアが、戦略的利害のもとで関与を深めていく構図も、本書は冷静に描写している。ベネズエラは世界有数の石油埋蔵量を持ち、地政学的にも米国の影響圏に位置してきた。その利権が中国・ロシア陣営に完全に取り込まれる事態を、米国が座視しなかったことは、理想論ではなく国際政治の現実として理解できる。 もっとも、外部からの強硬な介入が民主主義を回復させるかどうかについては、慎重な評価が必要だろう。手続きとしては問題を孕む側面がある一方、経済破綻と治安悪化、麻薬経済の蔓延に苦しんできた一般のベネズエラ国民が、政権の変化に一定の期待を寄せている現実もまた否定できない。 本書は、民主主義が単なる選挙制度ではなく、権力の抑制、健全な経済基盤、そして犯罪経済を許さない国家能力によって支えられるものであることを、ベネズエラという痛切な事例を通して突きつけてくる。国際問題を考える上で、価値と現実、理想と権力の緊張関係を改めて認識させる一冊である。
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