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駒形丸事件 インド太平洋世界とイギリス帝国 ちくま新書1543
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駒形丸事件 インド太平洋世界とイギリス帝国 ちくま新書1543

秋田茂(著者), 細川道久(著者)

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駒形丸事件 インド太平洋世界とイギリス帝国 ちくま新書1543

定価 ¥946

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 筑摩書房
発売年月日 2021/01/08
JAN 9784480073594

駒形丸事件

¥220

商品レビュー

3.7

3件のお客様レビュー

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2025/04/01

 本書は、ローカル<地方>・ナショナル<国家>・リージョナル<広域の地域>・グローバル<地球世界>の4つの層での相互の結びつきを重視するグローバルヒストリーの手法を使って、「駒形丸事件」というある事件を描き出そうとする試みである(「はじめに」より)。  「駒形丸事件」といわれて...

 本書は、ローカル<地方>・ナショナル<国家>・リージョナル<広域の地域>・グローバル<地球世界>の4つの層での相互の結びつきを重視するグローバルヒストリーの手法を使って、「駒形丸事件」というある事件を描き出そうとする試みである(「はじめに」より)。  「駒形丸事件」といわれても、本書を読むまで全く知らなかった。  1914年、カナダへの移民を希望するインド人400人弱を乗せた日本船の駒形丸が、香港から上海、門司、横浜を経てカナダ・バンクーバーに向かったところ、上陸を拒否される。止むなくカナダを退去した駒形丸は横浜、神戸に一時寄港後、インド・コルカタに向かったところ、バッジ・バッジで警官隊と衝突、多数の死傷者を出したという事件である。  この事件の背景には、当時のイギリス帝国の構造があった。カナダはイギリス帝国内の自治領として、内政自治が認められていたが、自治領の対外交渉権は本国政府にあった。他方、インドはイギリス帝国の植民地であったが、帝国臣民には帝国内の移動・定住の自由があるのがイギリス帝国の独自性であった。しかし現実には移民される側の自治領政府側においては、こうした移民の排斥運動が起きていた。  アメリカにおける日本人移民排斥問題が日米間の大きな問題になっていたことは歴史上有名であるが、カナダにおいても、中国人、日本人、インド人の移民排斥が起きていたことはほとんど知らなかったし、加えて帝国臣民の移動・居住の自由ということが問題を複雑なものにしていることを学ぶことができた。  一国から見ていたのでは、その問題の意義であったり重要性が分からないことが見えたこないことがあることを、具体の事件を通じて学ぶことができたのが本書を読んでの収穫だった。

Posted by ブクログ

2024/11/23

1914年、カナダ・バンクーバーで起きた移民排斥事件「駒形丸事件」の背景と、インド太平洋世界への影響を解説した本。 横断的に歴史を学ぶことの大切さと、現在も続く移民問題への理解を深めるのに役立つ一冊。

Posted by ブクログ

2021/02/14

 「駒形丸事件」──第一次世界大戦勃発時、カナダ・バンクーバーでインド人移民が上陸を拒否され、さらに送還先のコルコタで虐殺されたという事件があった。本書は、一般には殆ど知られていないこの事件をノードとして、グローバル/ローカル、ナショナル/リージョナルとして理解されてきた多層な歴...

 「駒形丸事件」──第一次世界大戦勃発時、カナダ・バンクーバーでインド人移民が上陸を拒否され、さらに送還先のコルコタで虐殺されたという事件があった。本書は、一般には殆ど知られていないこの事件をノードとして、グローバル/ローカル、ナショナル/リージョナルとして理解されてきた多層な歴史観を相互に関連づけ、立ち現れる新しい視点から世界を照射しようとする試み。これが学術書などでなく、新書という親しみやすいメディアで世に問われることを何よりも評価したいと思う。地味ではあるけども、それを知ることによって視界がグッと開けるようなワン・イシュー。これを手軽に紹介できるというのが新書の醍醐味であり、本書のテーマはまさにこの新書の機能にうってつけの題材だと思うからだ。  まず、本書が別々の領域を専門とする二人の歴史硏究者が、図らずも同一の学術的関心を持っていることに気づいたことに端を発するものであることからして興味深い。そのような研究者間の交流や意見交換がなければ浮かび上がらなかった事案に、僕のような一般人がアクセスできるというのは有難い話だと思う。  ただ、読みはじめは手探りの状態となりやや読みにくい。そもそも歴史的事件というのは、それにより歴史が転換点を迎えるというエポックメイキングなものもあれば、それとは逆に、歴史が明示的な変化を伴わないが後に多大な影響を及ぼすようなうねりを内在して動き始めた時、その端緒を表していたと事後的に把握されるものもあるだろう。この駒形丸事件は後者の典型であり、したがってその意義を一言で言い表すことが困難で、多数のコンテクストを参照して初めてその歴史的な重要性が浮かび上がってくることになる。これがどうしても遠回りの作業となるのだ。いきおい本書の約3分の1もその時代背景の描写に費やされることとなり、読者は本書の全体像が判然としないまま読み進めざるを得ない。しかし、これはこれでやや忍耐を要するものの楽しい読書体験の一部だと思うのだ。  終章で、紹介されてきた多数のテクスト・視点が一気にまとめ上げられ、なぜこの事件がイギリス帝国史家の関心の的となったのかが明らかにされる。当時、グローバルなインド人の商業活動と人的な移動のネットワークが「インド太平洋世界」ともいうべき経済圏を形成していた。イギリス本国は、他の列強との差別化のために、インドをはじめとする異民族を支配する側の方便として「帝国臣民」の論理を活用したが、これは帝国内の自由な移動を保障するものとして被支配側のインド人としてもメリットの大きいロジックだった。これが、インド人移民が乗船した駒形丸がバンクーバーに入港する際、同一の論理に依拠しながらも互いに反対方向のベクトルをもつ力として作用したのだ。面白いのは、支配される側の人的・資本移動が基本的には制限されていたであろう帝国主義の時代において、その「帝国の隙間」を突く形で活発にトランスナショナルな経済活動を営んでいた主体が多数いたという事実。本書で触れられるシク教徒はその典型だが、2回の世界大戦後にネーション・ステートの勃興を経た結果、かえってそのような自由な移動が制約される結果となったという著者らの指摘が逆説的で興味深い。そうであるとするならば、「駒形丸事件」は当時の移民流動性をいわば裏焼きしたネガであり、さらに来るべき戦後の固定性のポジでもあるというが故に刮目すべき事象であり、著者らがこれに着目したことも十分に理解できる。  ぜひ売れて欲しい。多分売れないだろうけど、それでも本書は売れるべき本、売れないとおかしい本だと思う。 

Posted by ブクログ