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ビルバオ-ニューヨーク-ビルバオ 白水Uブックス
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 白水社 |
発売年月日 | 2020/12/23 |
JAN | 9784560072332 |
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ビルバオ-ニューヨーク-ビルバオ
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アクセス方法▼ https://library.kansaigaidai.ac.jp/%E8%B3%87%E6%96%99%E3%82%92%E6%8E%A2%E3%81%99/%E9%9B%BB%E5%AD%90BOOK#!#tu 電子ブックを読む▼ https://elib...
アクセス方法▼ https://library.kansaigaidai.ac.jp/%E8%B3%87%E6%96%99%E3%82%92%E6%8E%A2%E3%81%99/%E9%9B%BB%E5%AD%90BOOK#!#tu 電子ブックを読む▼ https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000103010
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白水社『「その他の外国文学」の翻訳者』で紹介されていました。ビスケー湾岸でスペインからフランスにまたがる地域がバスク地方になるらしいです。スペインが独裁政権だった頃は使用が禁止されていたバスク語で書かれています。翻訳の金子さんがバスク語から直接日本語に翻訳されているとのことでした...
白水社『「その他の外国文学」の翻訳者』で紹介されていました。ビスケー湾岸でスペインからフランスにまたがる地域がバスク地方になるらしいです。スペインが独裁政権だった頃は使用が禁止されていたバスク語で書かれています。翻訳の金子さんがバスク語から直接日本語に翻訳されているとのことでした、バスク語→スペイン語→日本語では伝わらないことがあるらしいです。 小説の主人公はキンメル・ウリベで作者本人です、この小説の取材と構想をねっているところが綴られていきます。というか小説の準備段階が本編となっていて、読者はそれを読んでいくことになっていきます。なんだか技術的に難しいことをキンメリ・ウリベはしているんじゃないかと思います。 ビルバオ銀行マドリード本社を設計したリカルド・バスティダとその銀行の壁画を描いた画家アウレリオ・アルテタの交流、キンメリ・ウリベの祖父と父親の思い出が語られていきます。その合間にキンメリ・ウリベのアメリカへの旅行の様子が描かれます、リカルド・バスティダの息子さんの日記にあるアメリカへの旅行をなぞっているようです。バスク地方とウリベ家3世代の歴史がわかるようになっています。 私の好きなエピソードはアルテタがバスティダにあてた手紙ところです。 『司教は、聖母マリアの姿が使徒たちよりも大きいのに気づくと、こう言ったのだ。『男性像が女性よりも小さいのはよろしくない』ので、『もっと大きくできるだろうね』と。私としては百回書き直してもかまわないが、司教が作品を台無しにしているうえに、私の苦労にまったく気づいていないのがつらいのだ。おまけに、先週体調を崩してしまった。』 登場人物が強い人物だけでなく、このような正直に弱音をはく人もでてくるとこるがこの小説の豊かなところだと思います。 バスク語がバベルの塔で生まれた72の言語のうちのひとつらしく、NYの詩人がバスク語にについて『あなたたちの言語は、宝の地図みたい。ほかの文字のことは忘れてxxxの文字だけをじっと見つめていると、宝のありかが見つけられそうなきがするわ』と表現しています。またキンメリ・ウリベはベリオサバルの泉のエピソードのところで『空想は現実に基づいているのだと言われるが、物語の法則は、真実の一面だけを語ることだ。』と『本当かどうかはたいして重要ではないのだ』さらに『その他はすべて人々の空想だ。』と語っています。どこまでが事実でどこまでが創作なのだろうかと考えれると、バスク語で書かれたこの小説がものすごく楽しく愛おしく感じられます。 もしかしたらピカソがゲルニカを書いた経緯も創作なのかも知れません、検索すればわかるかもしれません。ですが謎のままにしておくのも良いかも知れません。
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スペインのオンダロア生まれ、バスク語作家の「僕」は、漁師だった祖父と父についての小説を書こうと資料を集めていた。母の昔話、祖父を知る人びととの語らい、建築家が撮った古い16ミリのビデオテープ、バスクから船でアメリカへ渡った少年の日記などから浮かび上がる重層的なバスク像を、ビルバオ...
スペインのオンダロア生まれ、バスク語作家の「僕」は、漁師だった祖父と父についての小説を書こうと資料を集めていた。母の昔話、祖父を知る人びととの語らい、建築家が撮った古い16ミリのビデオテープ、バスクから船でアメリカへ渡った少年の日記などから浮かび上がる重層的なバスク像を、ビルバオからニューヨークへ向かう飛行機内で回想するというスタイルで書いた、フィクションとノンフィクションの狭間を漂う小説。 こういうあらすじの書きづらい小説、大好き! 最初、直近で読んだのもあり呉明益『自転車泥棒』(22/2/1読了)を連想せずにいられなかった。ちなみにウリベさんは呉さんの一個上。『自転車泥棒』は不在の父をめぐる物語だったが、本書は後半になるにつれて語り手の結婚相手の連れ子にまつわるエピソードが増え、〈父になる〉ことにスポットが絞られていく。 バスクという内戦の絶えない土地柄と、漁師の与太話や民間信仰などを織り交ぜて語りつつ、飛行機にいる「僕」の現在が時折顔をだすというスタイルは、ポーランドのオルガ・トカルチュクやアイルランドのキアラン・カーソンを思わせる。べったりとしたひと続きの物語じゃなく、エピソードの集積に自らのアイデンティティを託す。一番好きなタイプの小説かもしれない。 バスク語で書かれたバスク文化を主題にした小説でありながら、船乗りの生き様を描くことで物語はイギリスの離島にも、カナリア諸島を超えてキューバや南米にも飛んでいく。語り手自身も飛行機で移動中、という語りの時制も練られたものだろう。先祖代々の土地で暮らしているにもかかわらずバスク語とスペイン語のバイリンガルになることを強いられてきたという点で、少数言語の話者が書くものは移民文学にもまた近いのかもしれない。 作中、「フィクション作品を生みだす意味」を問われたメリル・ストリープの答えが引用されている箇所がある。フィクションとノンフィクションのどちらを名乗るにしろ、そこでおこなわれるのは〈私〉というフィルターを通した世界の再構築だということに違いはないはずだ。だから私は本書のようなどっちつかずのスタイルの小説を読むのが好きだ。飛行機がニューヨークに到着したラストシーンを書き終えて、「オンダロアにて」と署名したウリベもきっとそう考えていると思う。
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