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樋口一葉、幸田露伴の代表作を読み直す 転換期の女性と男性、江戸と東京のはざまで 樋口一葉『にごりえ』、幸田露伴『五重塔』 読み直し文学講座
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樋口一葉、幸田露伴の代表作を読み直す 転換期の女性と男性、江戸と東京のはざまで 樋口一葉『にごりえ』、幸田露伴『五重塔』 読み直し文学講座

小森陽一(著者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 かもがわ出版
発売年月日 2020/12/16
JAN 9784780311297

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2023/05/26

新しい研究書が出版されると、勇んで読んでしまう作家や作品がある。樋口一葉も、そうした作家のひとりである。今期は、在学している大学で、樋口一葉について学んでいるので、未読であったこちらの本を手にしてみた。 過去に卒業した大学で一葉について学んだ折、こんなお話を聞いた。樋口一葉と、...

新しい研究書が出版されると、勇んで読んでしまう作家や作品がある。樋口一葉も、そうした作家のひとりである。今期は、在学している大学で、樋口一葉について学んでいるので、未読であったこちらの本を手にしてみた。 過去に卒業した大学で一葉について学んだ折、こんなお話を聞いた。樋口一葉と、幸田露伴の間に、見えない文学的なつながりがある。一葉は、露伴を非常に尊敬していたというのだ。女性の生き方を、近代明治の世にいち早く問うた文学というだけでなく、この視点からも作品を読み返してみなさい、と教えて頂いたのだ。ところが、さぼったわけでもないが、大文豪、幸田露伴の作品を読まないままで卒業した。ずっとそれが引っかかっていて、どこかで自分なりに作品に当たりに行かなくてはいけないと、頭の隅で気になったままだったのだ。だからこの本の署名を見た時、 「これ、読んでみなくちゃ。」 と、おそろおそる読み始めた。 一葉は『にごりえ』。露伴は『五重塔」がテキストとして選ばれている。 『にごりえ」は従来、女性文学としてジェンダーの視点から読まれることも多い。『われは女なりけるものを』という作者を鑑みると、そういう読みも必要ではある。しかし、ここで小森は、この小説を戦争前後の特需景気と、それが去ったあとの格差社会を描く、社会派貧困小説として分析しているのだ。蒲団屋の源七が、ただ単にお力に入れ揚げただけで極貧に落ちたわけでなく、戦争の追い風が止んだ、そのあおりに対処しきれなかったのだとしたら。一葉は、大きな社会構造の変換から零れていった人々の姿を描かずにいられなかったのかもしれない。父の事業は失敗し、一葉や妹が酌婦になることはなかったが、自身の結婚話は立ち消えになった。蒲団屋を傾けた源七は、妻を離縁し、自らも死んでゆく。お力が結城という上客に望んだ、苦境への理解も、にごりえに消えていった白米や菓子のように、ただどこにも届かず、酌婦の手練酔言と思われて、宙に消えてゆく。イケイケドンドン、戦勝に酔う社会に、それだけではない、と片隅から声をあげたのが、この作品だったのではないか。 『五重塔』も読んでみると、なんと『にごりえ』に通じる語りぶりか。芸術というデモーニッシュな近代的価値にとらわれた男と、江戸から連綿と続く義理人情、日常の明け暮れに泣き笑いする女たち、男たちの対比は、見せたいものの切り口は違うのに、執筆された社会の姿や、価値観の変貌を目の前につかみだしてくる。ぜひどちらも読んでみなさい、と言われた理由が、ただ数行の作品の冒頭を読むだけで、あっと声が出るほど、感じられる。 きっと一葉は、露伴の作品を、半井桃水とは違う意味で、学ぶべきと仰いでいたことだろう。そのあたりがどう、残った作品に影響したのか、それはこれから学んでみなくてはわからない。しかし、ただ『女性文学の嚆矢』という目線で一葉を読んでいたら。この本を手にしていなかったら、こんな気付きはなかっただろう。どんな文学作品も、作者の思想の中に、世相というものが影響していると、深く感じさせられた。 敢えて世相を離れ、全く違う次元に読者を誘致するのも、どうして世相を離れたいのか、という理由があり、結果、どんな異空間を構築したかったのかを考えなければいけない。また、逆に、世相のいち側面を切り取った、この本に扱われた作品ならば、殊更に説明されていないが、作者と読者の間で、どんな共通理解があったのかを、必ず考えなくてはいけない。作品への感興、情趣や心情の理解に留まらない、立体的な問題の検討を教わった。非常に有意義な読書であった。

Posted by ブクログ

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