銀の夜

角田光代(著者)

• 販売会社／発売会社: 光文社
• 発売年月日: 2020/11/18
• JAN: 9784334913748

商品レビュー

2024/10/17

引き込まれて一気に読んでしまいました。
中学からの友人3人、ちづる、麻友美、伊津子。全員「わかる」。
「あるある」なのかな？いや、「あったあった」かな？いや、ないんだけど。「わかるわかる」だわ。

浮世離れしている設定もありつつ、女のやっちまいがちな行動、感情がリアルでした。夫に浮気されて、バカにされたくなくてイラストの個展を開こうとするちづるに共感。ついでにギャラリーのオーナーと流れで寝るのもセットでやりがち。
友人の活躍を聞いて、自分もちょっと見栄をはったり、素直に喜べない自分が嫌になったり。アラフォー女性の心の痛み詰め合わせが身につまされて眼が離せないーっ！
こういうの全く共感できない女性もいるんだろうな..

2024/10/02

年を経て、心の底までを共有することがなくなった2人が、伊都子と彼女の母のやり取りから10代の心持ちを思い出し、それぞれが前向きに未来へと歩き出したことは純粋に良かったと、私自身も心が晴れた。
ただ、最後の「食事は無期限延期にしよう。またいつか、ひょっとしたらずっと遠いいつか、みんなでご飯を食べましょう」という展開に何とも言えない切なさを感じた。腹の中を晒すことが出来ずとも、自分の進むべき方向が分からず、という環境は違えど、漠然と似たような思いを抱えていたからこそ、寄り添うように会っていた3人。それが各々の進むべき方向が見つかったからこその、明るい意味での無期限延期であることは、もちろん理解できる。しかし、どれだけ濃い時間を共に過ごしていた過去があったとしても、やはり人と人の縁はいつ疎遠になっていくか分からないし、時の流れや環境の移り変わりとともに繋がったり、離れたりするものであることを感じた。

2024/06/02

高校時代の女友達が35歳になり、それぞれ悩みや悶々とするものを抱えつつ生活している。
そんな女性たちが自分と向き合いつつ懸命に生きている物語。
もやもやしたり、行き詰ったり、どうにもならない思いを抱える時ってある。
ちづる、伊都子、麻友美の3人の気持ちが全部理解できるわけではなかったけれど、共感できる部分も多く、気づくと彼女たちを応援しながら読んでいた。

35歳かぁ…何してたかなと読みながらふと考えた。
結婚、出産、育児、仕事、家庭…いろいろ考える時期だったよなぁと思う。
私は仕事から離れていたから、社会復帰できる日がくるんだろうか…とか漠然と考えていたなぁ。