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解放しない人びと,解放されない人びと 奴隷廃止の世界史 シリーズ・グローバルヒストリー2
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 東京大学出版会 |
発売年月日 | 2020/11/04 |
JAN | 9784130251723 |
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解放しない人びと,解放されない人びと
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シリーズの一冊。 "シリーズ刊行に当たって"という代表者羽田正氏の言葉が巻頭に掲げられており、シリーズ全体を通した基本的方法の2つのうち二番目のものとして、「著者が自らの立ち位置を明確に意識した叙述を行うということ"とされる。 そのような意味で...
シリーズの一冊。 "シリーズ刊行に当たって"という代表者羽田正氏の言葉が巻頭に掲げられており、シリーズ全体を通した基本的方法の2つのうち二番目のものとして、「著者が自らの立ち位置を明確に意識した叙述を行うということ"とされる。 そのような意味で本書は、著者の問題意識が叙述にも明確に現れていて、とても読み応えがあった。 奴隷問題というと、環大西洋地域のことが先ず頭に浮かぶが、本書でもそこにかなりの分量が割かれているものの、世界の各地域で奴隷の存在はあったとされ、また地域地域で、その法的地位や待遇、解放の可能性に違いがあったことが示される。 また本書では、奴隷解放の主張、思想、運動の内容とその展開について大きく取り上げている。例えば北米大陸であれば、1600年代始めから解放の主張があったものの、現実化するためには南北戦争を経なければならなかった。特にイギリスの圧力等が功を奏し、ある時期からはグローバルに、奴隷制度は文明に反するという認識が広まり、アジア等でも近代国家成立時期に、奴隷制度(それに近い仕組みを含む。)は廃止されていった。そうした事象を、著者は世界史的共通体験と呼んでいる。 奴隷廃止は人間によって作られたものが人間によって壊されるという点で、人類にとって初めての共通体験であった。そしてこの共通体験は、人権や自由、平和といった崇高な価値を実現したように一見思われる。 しかし、奴隷制度自体は解消されたものの、経済的なグローバル化が必要とする奴隷の代替的労働力が誕生しているという。年季契約労働制という、契約を介在させる形式で、実質的な自由を奪う形態である。奴隷制と変わらぬ生活環境の中にいる人々が世界中にいるのは事実であろうし、逆説的に言うと、奴隷は主人により生存は保障されていた。契約の場合、契約が履行できなければ使い捨てである。そうした意味で、残された課題は重い。
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