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快楽としての動物保護 『シートン動物記』から『ザ・コーヴ』へ 講談社選書メチエ736
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 2020/10/09 |
JAN | 9784065212592 |
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快楽としての動物保護
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商品レビュー
3.5
4件のお客様レビュー
悪くはないのだが・・・と、まずは言いたくなる一冊。 「マクロな視点に立つと、シートンの動物物語、星野の動物写真、そして映画『コーヴ』という三つの事例は、互いに関連性がないように見えて、実は20世紀という大きな区切りの中で、一つの壮大なプロセスとして根底で深く繋がっている」 ...
悪くはないのだが・・・と、まずは言いたくなる一冊。 「マクロな視点に立つと、シートンの動物物語、星野の動物写真、そして映画『コーヴ』という三つの事例は、互いに関連性がないように見えて、実は20世紀という大きな区切りの中で、一つの壮大なプロセスとして根底で深く繋がっている」 ということを解き明かそうと事実を積み上げるが、後半になってやっとこさ繋がっていきそうにみえるが、もどかしさが募る。 あれこれ、面白い事実、考察は述べられているが、とっちらかった感が否めず、読み終わっても、それら要素をうまく繋げられないでいる。 ともかく、本書の一番の収穫は、「シートン動物記」は、日本だけでもてはやされているという事実!? 小学生時代はほとんど読書なんぞしなかった自分でも、読んで感動した覚えのあるシリーズだ。それがっ!? 「シートンの物語が事実とフィクションの間にある「決して越えられてはならない」一線を越えているがゆえに非難されるべきだと主張した」(by バローズ) まぁ、確かに当時も物語としてできすぎてるな、と思ったけどね。 あ、あと「コーヴ」は観ておかなきゃね。
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個人的には中盤から終盤にかけてがハイライトだったと思います。 so whatが見えづらい展開にもどかしさを感じることも多々ありましたが、全体として読む労力に見合うリターンを得られました。 「階層」「文化」「メディア」「知性」論を展開して近代的動物保護思想への鋭い指摘を構築してい...
個人的には中盤から終盤にかけてがハイライトだったと思います。 so whatが見えづらい展開にもどかしさを感じることも多々ありましたが、全体として読む労力に見合うリターンを得られました。 「階層」「文化」「メディア」「知性」論を展開して近代的動物保護思想への鋭い指摘を構築していく過程に、印象深い記述が多かったように思います。 例えば、写真は鑑賞者に対して希少動物の「不在」を伝えるには不適なメディアであることが言及されています。それを踏まえると、本書が紹介する動物保護をめぐる衝突のいくつかは、当事者間の事実認識の相違がもたらすミスコミュニケーションに起因するのではないかと考えられます。 特に動物保護活動には恣意性が介入しやすいため、何をどの手段で伝えるかにはもっと注意が払われるべきだと理解しました。 読者の考えを促すような示唆が多く残されているのに、それらが構成上わかりづらくなっているのが残念な点でした。 どうせ論文を再編成するのなら、ファクトの部分よりも著者の分析や示唆にもっとスポットを当てて欲しかったです。 それだけ有意義な指摘が多かったことは確かでした。
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動物を保護することそれ自体は、素晴らしいことだと思うが、どこか商業的であったり、偏りがあったりする点が否めないのが、現代の動物保護の問題点なのかもしれない。 この本は、そんな「偏りのある動物保護」を「快楽としての」という批判をしていて、シートン動物記から、写真家・星野道夫、そ...
動物を保護することそれ自体は、素晴らしいことだと思うが、どこか商業的であったり、偏りがあったりする点が否めないのが、現代の動物保護の問題点なのかもしれない。 この本は、そんな「偏りのある動物保護」を「快楽としての」という批判をしていて、シートン動物記から、写真家・星野道夫、そして、一時話題となった『ザ・コーヴ』の3点から考察していく。 一見、あまり関連性のない3つのテーマだが、話が進むにつれて、一つにつながっていく展開が、なかなか面白い。 (P358)『多様性を大切にする発想とは、多様なものの中には自身の嫌いなものも含まれているという事実を認めてそれを引き受けることだ』 本を含むメディアの情報は、全て切り取られた自然であり、自然そのものを体感することは難しくなっている。 「動物を守ろう」という運動は、その動物の、かわいさだとか、人懐っこいところだとか、そうしたアイコニックな部分が強調されるのはある意味では仕方がないのかもしれない。 「全て」を掬い取ることは難しいが、少なくとも一度は目を向けてみる必要性があることを、今後も忘れてはいけないと感じた。
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