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りら荘事件 増補版 鮎川哲也コレクション 光文社文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 光文社 |
発売年月日 | 2020/10/08 |
JAN | 9784334791001 |
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りら荘事件 増補版
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商品レビュー
4.3
3件のお客様レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
鮎川作品の中でも特に人気が高いといわれる本作。鮎川氏の作品はこれで3冊目だが、噂に違わず面白かった。あえて難を挙げるならば、被害者の数がかなり多いため、犯人あてをすると容疑者がかなり絞られてしまう点だが、そんな事は気にせず楽しめる。増補版の本作では著者がデビュー以前に同人誌に書いた”プレりら荘”ともいえる中編も収録している。こちらの中編と本編を対比させるのも面白い。一番の違いは星影龍三という名探偵の立ち位置が違うことであるが、その他トリックの違いも見られて面白い。詳細→ https://takeshi3017.chu.jp/file10/naiyou19703.html
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もう何年も気になっていたけれど、勝手に難しそうなイメージをもって後回しにしていた。 ところが、読んでみるとおもしろい! 犯人は最後の最後までわからなくて、「そういうことかー!」という感じがミステリを読んだという実感をもてて良かった。 ココアのトリックは結構衝撃だった。 …というよりも、ヒ素で肌を白くするって怖すぎる。 いくら好きな人のためとは言えねぇ。昔は珍しいことではないんだろうか。 あと、色覚障害って昔のミステリーにはよくあるイメージ。それをトリックに使うってなんかなーとは思うけど、これも時代なのかな。 『呪縛再現』の方は、やはりデビュー前の作品だからか少し読みにくい感じはある。だけど鉄道のトリックは読んでいて楽しかった。 全体として気になったのは、男尊女卑やデリカシーのないセリフ、見下したセリフが多いところが少し気分が悪い。(『黒いトランク』も読みたかったけど、どうしようか悩むレベル) これもまた昭和だからこそと言ったらそうなんだろうけど、他の作家さんに比べても特別多い気がする。 それに尼リリスの体型に言及する場面が何度も繰り返しあるけれど、五尺四寸(163.6cm)で十七貫五百(65.6kg)って少しぽっちゃりしてるけどそこまで言う程ではないのでは?? しかも歌科なら、もっと大柄な人もいるでしょうに。 体型然り醜女やらなんやら、昔の人はどこまで女性に求めてるのやら(笑)
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時々無性に読みたくなる昭和ミステリー。 久しぶりに再読してみた。 埼玉県秩父山中にある大学の寮(短期滞在型)<りら荘>で起こる連続殺人事件。いわゆるクローズドサークルものなのだが、特徴としてはトランプカードで連続殺人であることを指し示しているということと、殺害方法が毒殺あり刺殺...
時々無性に読みたくなる昭和ミステリー。 久しぶりに再読してみた。 埼玉県秩父山中にある大学の寮(短期滞在型)<りら荘>で起こる連続殺人事件。いわゆるクローズドサークルものなのだが、特徴としてはトランプカードで連続殺人であることを指し示しているということと、殺害方法が毒殺あり刺殺あり絞殺ありとバラエティに富んでいる(これは作中である登場人物が指摘している)ことだろうか。 七人の男女の学生たちが集まった最初の晩に一組の男女の婚約が発表されるのだが、その目出度い発表とは裏腹に、主役の男女に思いを寄せていた別の男女やそうした華やかな空気をきらう皮肉屋などがいて、雰囲気は不穏な感じ。 そしてその翌日から次々と殺人が起こる。 中には必要?と思われるような殺人もある。 途中で登場した素人探偵・二条に至っては一体何のために登場したのかというくらい出てきたかと思ったらアッサリと殺されている。 そして最終盤に登場したこれまた気障な探偵・星影龍三が自信満々に謎を解き明かすのだが、どうにもキャラクターが好きになれない。 『大体あの男はうぬぼれが強すぎる。自分たちがさんざん首をひねってわからなかった真相を、中途からひょっこりでてきて解けるはずがない』 と、この事件に最初から関わってきた原田警視にこき下ろされている。なのでこういうキャラクターは作家さんの狙いなのだろう。 犯人のパターンとしてはちょっと捻りが入っていてなかなか面白かった。だがそれ以上に驚いたのは毒殺に使われた亜砒酸について。『お茶だとか珈琲のようなタンニン質に逢うと溶けにくい』という性質も初めて知ったが、別の使用方法があるというのも初めて知った。そんな恐ろしいものをこんなことに…と驚いたが、薬も使い方を間違えれば毒になるのと同じことなのだろう。 この作品が雑誌連載されたのは1956年から1957年なので、身長や体重が尺貫法になっている。 ある女性登場人物が身長五尺四寸(約163.6cm)で体重十七貫五百(約65.6kg)なのだが、度々肥えている、太っていると表現されている。 現代ならせいぜいポッチャリ程度でそこまで指摘されるほどの体格ではないと思うが、終戦から十年ほどの時代だとまだ痩せている方が多かったのだろうかと興味深く感じた。 また登場する女性たちが紗絽女(サロメ)だの尼リリスだのと尖った名前を付けられていたり、男性たちを顎で使ったりしている一方で、殺人事件が起きた直後に食事を作らせられるのを当たり前としていそいそ作っているところなんて、時代だなぁと思ったりする。 本作にはもう一遍、この「りら荘事件」の基となった「呪縛再現」も収録されている。「りら荘事件」をぎゅっと凝縮したような中編だが、個人的にはこちらの方が好きだった。何しろ探偵役が鬼貫(おにつら)警部なのだ。 鬼貫警部シリーズとくれば鉄道アリバイトリック。こちらも途中からアリバイ崩しの方向にシフトしていて、この時代ならではのアリバイトリックが面白かった。 デビュー以前に同人誌に書いたものらしいが、プロになる作家さんはすでに独自の世界観や文章があって、出来上がっているなぁという印象。
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