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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
発売年月日 | 2020/09/28 |
JAN | 9784163912615 |
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商品レビュー
3.8
26件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
果たさなかった復讐の果て、死んだ妹の「本当の姿」に出会う姉の物語。ギリシャ神話の復讐神ネメシスの名を冠する、復讐代行ハッカー「アニエ」が、とにかくかっこよかった。 現代の香港、広州から香港への移民三世にあたる「アイ」は、相次いで父と母を失い、妹の「シウマン」と二人、公営住宅で暮らしていた。しかし、妹のシウマンは、地下鉄での痴漢被害がきっかけとなったネット掲示板への書き込みにより、自殺してしまう。妹を死に追いやったネット虐めの犯人を見つけ出すため、「アイ」は、裏稼業の探偵ハッカー「アニエ」に、犯人の捜索を依頼する。 いわゆる義賊モノで、「アニエ」が、その犯罪を暴き、復讐という私刑の形で罰を与える人々は、法では裁くことのできない、あるいは、裁いたとしても、軽い罰則で揺らされてしまう人々である。著者自身もあとがきで語っているように、違法なやり方ではありながらも、正義を実行する「アニエ」には、アルセーヌ・ルパンのイメージが重ねられているようだ。 何よりも印象的なのは、やはり「アイ」が妹の「シウマン」が生前にfacebookへと書き残した言葉を読むシーンだった。「妹のため」に犯人への復讐を果たすことだけを生きがいに、ついに犯人を自殺させる寸前まで追い込んだところで、「アイ」は、それまで知ることのなかった妹の本心をそこに見ることになる。 「どうして『妹の敵』なんだ? 『あんたの復讐』だろ。あんたは家族を失った苦しみから、その怒りをぶつける対象を見つけて憂さ晴らしをしたいだけなんじゃないか。妹さんにその責任を押しつけるな。妹さんの敵は、『あんたの復讐』だ。あんたの妹さんはもういない。なのにどうして、あんたは妹さんが『敵を討って』もらいたがっていると思うんだ? 死人に口なしだからって、そいつはあまりに虫がよすぎるんじゃないかね」(p456) 「アニエ」の言葉は辛辣だ。「誰かのため」は、いつでも「自分のため」というエゴのカモフラージュになる。「アイ」は、「妹のため」に敵を討とうとしたが、妹の思いは別にあった。 「その自撮り写真は、左側のほとんどをシウマンの顔が占めていて、右側には、バスルームから出てきたのか、タオルで髪を拭っている女性の姿がある。それは紛れもないアイ自身だった。アイの隣には夕食の準備をしている母がいる。二人はお喋りに夢中で、シウマンが隠し撮りをしていることに気がついていないようだった。」(p472) ほとんどのデータが削除された、自殺した妹「シウマン」のスマホに残された二枚の写真のうち一枚は、おそらく好意を寄せていたのであろう友達とのツーショット。そして、もう一枚は、姉と母に気が付かれないように撮られた家族三人の「家族写真」だった。 「アイ」は、その写真とfacebookに残された遺言を読んで、初めて妹が何を思い、何を望んでいたのかを知ることになる。突きつけられたのは、一番身近にいたはずの妹に対する、自分自身の無知だった。 「アニエ」は、高度なコンピュータ技術を駆使し、他人のデバイスをハッキングし、ネット上から個人情報を奪いだしていく。インターネットに残された個人の足跡は、一人ひとりの、現実以上に現実な姿を、ときに死人の生前の姿さえも留めている。 それらは、誰に向けてあるのだろうか。少なくとも、「シウマン」のfacebookは偽名であり、「アニエ」が「アイ」に見せなければ、誰の目に触れることもなかったであろう心の内だった。 誰にも向けられていない言葉。インターネットには、そういう言葉が溢れかえっていることを思う作品だった。
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終盤の謎解き、というか真相の説明がなんだか冗長で、驚きもなく、なんだかなーといった感じ。地の文の視点が、章を変えることもなく変わるので少し読みづらかった。
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「自己犠牲を理由とした自殺(自死)」がもたらすものは……。 「私はみんなには不要なんだ…」「私が死んだ方がみんなのためになる…」 湊かなえや辻村深月の“本”によく出てくるタイプで、他人から見て自分はどう見えるかばかり意識していること、これは究極のジコチュウ、「他人を思いやる」こ...
「自己犠牲を理由とした自殺(自死)」がもたらすものは……。 「私はみんなには不要なんだ…」「私が死んだ方がみんなのためになる…」 湊かなえや辻村深月の“本”によく出てくるタイプで、他人から見て自分はどう見えるかばかり意識していること、これは究極のジコチュウ、「他人を思いやる」ことの勘違い。 この物語では、バットマンのようなダークヒーローが香港の社会問題とITの闇を闇の中で成敗していく。珍しくはないが、描かれた謎解きや登場人物の心理解説、伏線の構成には驚くばかりで、作者がただものではないことはよく分かる。 ただ… 法律や公序など無視して次々IT技術や最新機器を駆使して謎を暴き、復讐する姿に、なぜか爽快感はなく、嫌な気持が続いてしまうこと(作者の狙いかも)。 「社長と秘書の怪しい関係」が語られたり、「汚い部屋に住む偏屈なオタク」「スマートでおしゃれなIT起業家」「デブでチビで唇が分厚く醜い人物」がそのままの役割で登場したり、ちょっと「ステレオタイプ」であることが興ざめすること。 …少し残念。 「SNSが絡むいじめ問題」「匿名・その他大勢による他者攻撃」 これらが「現代社会特有の問題」とされるのは、本質的に人間の持つ醜い“毒”の出方がITによって強化されて“猛毒”となったため。 無言でスマホを見ている人たちには、今まさに“猛毒”を仕掛けている、または浴びているひとがいる……これは「ホラー」かも。
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