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言語の七番目の機能 海外文学セレクション
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 東京創元社 |
発売年月日 | 2020/09/24 |
JAN | 9784488016760 |
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言語の七番目の機能
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商品レビュー
4.1
14件のお客様レビュー
いや,おもしろかった. 文明交錯,HHhHに続いて,3冊目のローラン・ビネです. 主人公とその周囲数名以外の登場人物は,皆実在の人物で,こんな描き方をしていいのか?と首を捻ってしまうのだが,もう少しフランスの文壇や文化人,政治家や事件についての知識があれば,もっと楽しめたかもし...
いや,おもしろかった. 文明交錯,HHhHに続いて,3冊目のローラン・ビネです. 主人公とその周囲数名以外の登場人物は,皆実在の人物で,こんな描き方をしていいのか?と首を捻ってしまうのだが,もう少しフランスの文壇や文化人,政治家や事件についての知識があれば,もっと楽しめたかもしれない. 哲学者のロラン・バルトが大統領候補のミッテランとの会食の帰りに交通事故に遭い死亡する.どうやら「言語の七番目の機能」に関係するらしい.この事件の捜査に巻き込まれた主人公は,言語の七番目の機能をめぐる陰謀を追う.どうやら言論界の”ファイトクラブ”である「ロゴス・クラブ」が謎を解く鍵らしい.... 最初はかなり読みにくいが,我慢して読めば加速度的に面白くなってきます. 本書のある意味でのクライマックスでもあるミッテランとジスカールデスタンの討論会は見てみたいなあ.
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記号学者ロラン・バルトの交通事故(史実)について、事故直後の身体から、ヤコブソンの唱えた言語の6つの機能に加え、超絶的な7番目の機能の存在の秘密を盗み取られるというフィクションを建て、フランス思想、言語学、記号論から、ジスカール・ディスタンとミッテランとの政争が絡み、学究的かつ思考演習が積層するサスペンス・ミステリー。実在の人物が多数、虚構を散りばめ語り尽くし、縦横無尽に渡り歩く。これでビネの小説は邦訳3作全部読んだことになるが、自分にとって本作が一番の難物だった。1980年代欧州の思想に全然詳しくなく、本筋ストーリーはすごく奇想で面白いのだが、エーコの「薔薇の名前」も未読だし、繰り返される思想・政治批判はなんだかよくわからず、意識喪失しがち(笑)。まあとにかくギリギリ耐えながらの読破で良かった。周辺知識があれば、よくぞこんな物語をと感嘆するのだろう。いつか再読したいが、手が回らないだろうなあ。
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『HHhH』がめちゃくちゃおもしろかったこともあり、同作者の続編はずっと気になっていた。明らかに難しそうなタイトルを見て距離を置いていたがついに読んだ。予感は正しく相当難解な部分もありつつ思った以上にエンタメにで驚いたし読みやすかった。改めて著者の筆力に感服した。とはいえ450ページ強で結構重たかったのは事実… 言語には六つの機能があることがヤコブセンにより提唱されているが、実は七つ目があり、その能力を使って世界をコントロールできるかもしれない。こういったマクガフィンが設定されており厨二病感も否めない中、哲学、言語学のエッセンスが大量に含まれているので読み進めるのが結構大変だった。特にこれらの学問に明るいわけでもないので、登場人物の背景を知らないことも多く戸惑った。ただ著者の特徴としては小難しさをエンタメで乗り越えさせてくれるところにある。サスペンスとして十分にオモシロく、特にメインの登場人物であるシモンとバイヤールのバディはいつまでも見ていたい、いい感じの凸凹具合で楽しかった。訳者あとがきで言及されていたが、2人のモデルはシャーロック・ホームズとジャック・バウアーらしい。怒涛の展開と場所の移動っぷりは確かにドラマ『24』そのものだし、学者的なアプローチで謎に迫っていくのはホームズそのもの。新旧二代サスペンスヒーローを使って描くのは哲学や言語学。。。無茶苦茶すぎ!さらに厨二病的な展開として『ファイト・クラブ』のディベートバージョンも用意されており後半は大きな鍵となってくる。さながらラップのフリースタイルバトル。設定は分かりやすいけども、そのディベートで議論されている内容は難しくて分かったような、分からないようなものもあった。ただ繰り返しになるが、スリリングな展開を生むのがうまいので読む手が止まらないようにはなっていた。 『HHhH』で見せた得意のメタ展開も健在しており、著者も登場するし、今回は主人公によるメタ構造の指摘もあって愉快だった。(『マトリックス』よろしく自分が現実にいるのかどうか?=小説の登場人物なのでは?という問い)また実在する or 実在した学者がたくさん登場するし、実際の事件をモチーフにしてサスペンスが展開していくのも前作同様。事件や出来事はそれぞれ点でしかないが、それを小説という線で繋いでいく手法は興味深かった。『HHhH』はナチスものなので理解できたけど、今回は実在した(実在する)学者たちをフィクションとしてエゲつない方法で死なせたり、傷つけたりしていて、さすが表現の自由が進んでいるフランスだなと感じた。
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