1,800円以上の注文で送料無料

つくられた格差 不公平税制が生んだ所得の不平等
  • 中古
  • 書籍
  • 書籍

つくられた格差 不公平税制が生んだ所得の不平等

エマニュエル・サエズ(著者), ガブリエル・ズックマン(著者), 山田美明(訳者)

追加する に追加する

つくられた格差 不公平税制が生んだ所得の不平等

定価 ¥2,420

¥385 定価より2,035円(84%)おトク

獲得ポイント3P

在庫なし

発送時期 1~5日以内に発送

商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 光文社
発売年月日 2020/09/16
JAN 9784334962432

つくられた格差

¥385

商品レビュー

3.7

11件のお客様レビュー

レビューを投稿

2024/05/16

格差の原因は、税制にあり。 この切り口ほぼ一本で、深く深く掘り下げる。お陰で物凄く良くわかった。 議論のスタートは、トランプ大統領の演説。自身が税金を支払っていないことを認め、それを追求する声に対し、自らが賢いからだと返した。アメリカ社会は、富裕層が税金を支払わないのは当然とな...

格差の原因は、税制にあり。 この切り口ほぼ一本で、深く深く掘り下げる。お陰で物凄く良くわかった。 議論のスタートは、トランプ大統領の演説。自身が税金を支払っていないことを認め、それを追求する声に対し、自らが賢いからだと返した。アメリカ社会は、富裕層が税金を支払わないのは当然となっている。結果、大統領候補がそれを堂々と認め、対立候補も明確な解決策を打ち出せない。 金持ちはあの手この手で、税金から逃れている。 その印象は、ボンヤリあるが、具体的にはよくわからなかった。 少しずつ明らかになる。勘違いをしていた。 元々、アメリカは民主主義国ではおそらく世界一累進性の高い税制を導入していたのだという。1930年代には富裕層の最高限界税率が90%だった。1970年頃が50%前後、2017年は21%と下がってきた。所得税の累進性が高かった理由は複数ある。まずは第一次世界大戦による不当利得行為を防止したいという狙い。南北戦争中も、戦争を利用した不当利得行為により多くの人が大金を手にしていた。こうした成金が再び現れるのを防ぐため、対戦中は超過利潤税が課された。これは当初軍需産業のみを対象にしていた。さらに、アメリカで累進課税が台頭したのは、戦時状況の結果というだけではなく、1880年代から90年代にかけて始まった思想的、政治的変化が関係している。アメリカがヨーロッパのように不平等化するのを拒否する人々は増えつつあった。 最も大きな理由。アメリカは所得税に対して100%近い最高限界税率を採用したのは、格差を縮小するためであって、税収を確保するためではなかった。つまり1百万ドル以上超えた所得が没収されてしまうなら、1百万以上の給与契約は結ばれなくなる。故に、給与の上限が設定される。 では、なぜこれが崩れたのか、だ。 数十年にわたり超高額所得に90%もの税率を課していたアメリカの政府が1980年代半ばになって、なぜ28%の方が望ましいと考えるようになったのか。この歴史的な方針転換には、レーガンを大統領選挙勝利に導いた政治的な変化が関係していると本著は言う。1986年の税制改革法。累進課税が大幅に後退するパターンとして、まずは租税回避が爆発的に増え、政府が富裕層への課税は無理だと諦める。そして税率を引き下げざるを得ない状態になるというプロセスだ。 租税回避するから、税率を下げざるを得ない。 しかし、それを取り締まる法律はそれなりに機能していた。レーガン以降、急速に租税が機能しなくなっていく。 税率が低く、会社法の適用がゆるい場所に外国同族持ち株会社を設立する、国外にペーパーカンパニーを設立し、株式や債券の所有権をそこに移すような租税回避に対して、政府はすぐに法律を改正し、この行為を違法とした。また1937年からはアメリカ人が所有する外国同族持ち株会社が得た所得はそのままアメリカで課税されることになった。同様に1960年代には事前寄付が課税控除の対象になると言うことから、私立財団を運営する租税会費が増えた。これも1969年の税制改革法により自己取引行為が厳しい取り締まりの対象になったため、私立財団の数が1968年から1970年には80%も減少した。 1981年のレーガンによる就任演説で、課税は窃盗だ、租税回避は、道徳的な行為だとも発言した。自由主義のアメリカには、確かに儲けたものが儲けを獲得できる社会の方がイメージに合う気もするまた、現在の国際協調は、この非民主的な租税競争の問題に取り組んでいないばかりか、それを正当化しているところに根本的な問題がある。租税回避や脱税をそそのかすのは、納税者ではなく、租税回避産業である。租税回避が横行する背景には、租税回避サービスの爆発的増加がある。また、現行法には抜け穴が無数にある。 世界全体で抜け穴を塞がねば、幾らでも漏出してしまう所に難しさがある。そんなに稼いでどうするのだ、と思うし、大衆層が一定程度の生活水準を確保できなければ、大衆層が形成するはずの娯楽を、富裕層も享受できないと思うが。

Posted by ブクログ

2024/03/20

『#つくられた格差』 ほぼ日書評 Day769 前半は、米国が先陣を切って、その他の先進国も後を追って、富裕層(もしくは超富裕層)を超絶優遇する方向に税制を変えて来たという内容。 ビートルズの『タックスマン』でも知られる通り当時の累進課税の最高税率は95%(5%しか手元に残...

『#つくられた格差』 ほぼ日書評 Day769 前半は、米国が先陣を切って、その他の先進国も後を追って、富裕層(もしくは超富裕層)を超絶優遇する方向に税制を変えて来たという内容。 ビートルズの『タックスマン』でも知られる通り当時の累進課税の最高税率は95%(5%しか手元に残らない、その後、最大97%という時期もあったそうだ)、米国も90%の時代があったが、今日の富裕層への課税方法は、法人化し配当所得の形を取るものへの課税か、株式売却益に課税するしかなく、せいぜい20%にしかならない。 我が国でも状況は似たようなもので、細かなデータを示されて、なるほど…と思わないこともないが、さほど新鮮な内容があるわけではない。 後半に入ると、富裕層への課税ベース拡大のための提言がなされるのだが、要は累進課税の高額税率を高めるか富裕税なる新税を創設するかいう話と、タックスヘイブンでの所得隠し(と言わないなら、課税回避によるアンフェアな内部留保の積み増し)への対応強化を…という内容。 正直、言いっ放しの感あり。 ひとつ、知らなかったのは、本書執筆時の米国の「消費税」というものが、物品には掛かるがサービスには非課税であること。間接税率は州によっても異なるが、これが富裕層優遇の一因になっているというのは、確かにそうだろう。 ちなみに、チップへの課税はどうなっているのか? 飲食はじめ、請求額のおよそ20%が上乗せされる。それが労働所得として支払われる際に課税されるだけなのだろうか? https://amzn.to/49ZSpta

Posted by ブクログ

2023/10/19

この本は、タックスヘイブンの説明や、大企業、超富裕層がどうやって貯蓄をどんどん増加させていくのかを分かりやすく説明してくれている。 そして、このタックスヘイブンも富裕層に有利な税制も、政治家に働きかける能力・知恵(いわゆるレントシーキング)であるとか、税制の抜け穴を提供するノウハ...

この本は、タックスヘイブンの説明や、大企業、超富裕層がどうやって貯蓄をどんどん増加させていくのかを分かりやすく説明してくれている。 そして、このタックスヘイブンも富裕層に有利な税制も、政治家に働きかける能力・知恵(いわゆるレントシーキング)であるとか、税制の抜け穴を提供するノウハウを持つ税理士や大手会計事務所の存在であるとかが機能した結果であるので、超富裕層の力をまざまざと見せつける感じでもある。 この本は、後半はかなりのページを格差を縮小させるための処方箋・改善案が書かれているようだ。 本書にある多国籍企業・超富裕層に有利な現税制を改善する対案に関してはおそらく、賛否両論だと思われる。 いずれにせよこの対案を元に日本でも議論してみる価値はあると思うし、この対象読者には政策立案に関わる人や政治家などもぜひ読んでみてほしい。

Posted by ブクログ

関連商品

最近チェックした商品