お誕生会クロニクル

古内一絵(著者)

• 販売会社／発売会社: 光文社
• 発売年月日: 2020/09/16
• JAN: 9784334913663

商品レビュー

2024/05/05

お誕生日にまつわる短編集。重い部分もありながら、ほんのり希望を感じるお話が多かった。
お誕生日会という結構縛られたテーマはワードからはハッピー感を感じるが、多種多様な切り口で苦しさを描いているのが新鮮だった。人間の誕生というのは、親との関係であり、時には呪いにもなっているのだなと思った。
認知症の母と、介護する娘のケーキの話が好き。

2024/04/29

お誕生会にまつわる、気持ちが重くなるようなこともありながらも希望が持てる連作短編集。

それぞれの話の主人公が、別の話にも関わってくる構成が好きなので、読み進めながらわくわく。

最初の小学校の図工教諭の尚子先生の話からインパクトが強かった。
家族から冷遇されていたと思っていた母親を自分も裏切ってしまったと後悔していたら、そもそも母親が冷遇されていた理由は配偶者の事業の共同経営者との不義だったって、気持ちの持っていきようがないよね…。

親からの呪いがあって、誕生日に辛い思い出がある人たちの話が多かった印象。

学生時代に行った中国でミャオ族にもてなしてもらったお父さんの話が好き。
というか、娘の朱里の友人のルーちゃんが素敵だなって思う。私もこの子についていきたくなってしまう。
「私たちは、嬉しいことは、できるだけ多くの人たちと分け合うようにと、おじいちゃんやおばあちゃんや、お父さんやお母さんから、ずっと教わってきています」

2024/04/07

読んでいて苦しくなるほどの絶妙な重苦しさ、働いている人、子育てしている人、諦めたもの、目指すもの。救いようのないようでほわっと次に進めるきっかけを残してくれるお話ばかり。繋がっているよと教えてくれているような。