禁じられたジュリエット 講談社文庫

古野まほろ(著者)

• 販売会社／発売会社: 講談社
• 発売年月日: 2020/09/15
• JAN: 9784065201695

商品レビュー

2024/09/12

職場のパイセンより。戦時下での言論統制が行われており、ミステリが禁止された世界の女子校が舞台で、図書室で偶然ミステリの本を発見し回し読みした生徒たちの物語。そして教諭2人が主導し、生徒達を看守と囚人に分けて監獄実験の様な事が行われる。本は分厚いが会話調で物語が進むため、読了までそんなに時間はかからなかった。それにしても凄かった。本格ミステリというものにあまり触れた事がないから、終始圧倒されっぱなし。何度も「ほぇー」ってなった。すごい物語に出会ってしまった気分。古野先生の言葉への拘り？愛着？をすごく感じた。

2023/10/13

古野まほろが2017年に発表した「禁じられたジュリエット」の文庫版。炎上事件のせいで微妙な位置に追いやられてしまった感がありますが、読み応えのある作品です。「ミステリ小説」が退廃文学として禁書となっている日本が舞台。禁書に触れてしまった女子高生たちの矯正プログラムが幕を開ける。終始、舞台を見ているような感覚になり、本当にミステリ小説なのか?と思いながら読み進めると…終盤の伏線回収の鮮やかさがとても印象に残りました。入れ子構造の構成やスタンフォード監獄実験を取り入れた内容など面白いです。

2023/05/03

舞台の舞台の舞台とどこまでも入れ子は想定可能だし、舞台と現実の境界もあいまい。ミステリ論あり、オマージュあり。新本格の体裁をとった、アンチミステリではないでしょうか。