淡海乃海 水面が揺れる時(八) 三英傑に嫌われた不運な男、朽木基綱の逆襲

イスラーフィール(著者), 碧風羽(絵)

• 販売会社／発売会社: TOブックス
• 発売年月日: 2020/08/20
• JAN: 9784866990231

商品レビュー

2020/09/01

信長の死！

[士門]

本巻第八巻にて、諸々の情勢が大きく動きます。
七巻でついに決裂した主人公と足利義昭。ま、あれだけいろんな嫌がらせをさ
れればいくら鈍感な阿呆でも激怒しますって（笑）義昭さまご一行は毛利へと
本拠をうつし、あくまで徹底抗戦の構え。でもって主人公たち朽木勢の戦場
は、毛利エリアへと。そして主人公朽木基綱の嫡子、堅綱が本格デビュー！偉
大すぎる父親にコンプレックスを抱いて右往左往する少年の姿がまことにラブ
リー！彼の焦りは判るのですが、ここはじっくり見守りたいと思います。
　で、その息子どののデビュー戦となった毛利・高松城攻めですけど、（この
あたりが意外だったのですが）毛利本国があっけなく降伏してしまう。
転生者の介入で、歴史の展開がスピードアップした・・・ということでしょう
か？安国寺恵瓊なんぞもカオをみせてくれたのですが、ともかく毛利はギブア
ップ！でもって、当然の成り行きですが、毛利に身を寄せていた義昭さまご一
行は行き場をなくし（主人公は引き取ろうとはしなかったのです、つまり厄介
者扱いというワケ）結局、九州・島津を頼って落ちていくハメとなる。もっも
義昭さまは未だ闘志満々。先祖・尊氏公の故事にならいどん底からの巻き返し
をたくらむ！ったく、このあたりの不屈の闘志というか、あきらめのわるさと
いうか、見習うべき所多々ある・・・のかなぁ？
　本願寺・顕如さまも同行して島津へと向かわれることになります。史実とは
ずいぶんと違った展開なのですが、ウェブ上でみるかぎり、今後の展開はあん
あしハッピーな結末にはなってないのです。
　そしてこれまた大きく変動したのが、信長さまの運命です。対・北条戦のさ
なかの出来事。メタボからくる意識不明の重体。そんな修羅場の最中、北条方
の奇襲をうけて、信長は死亡、織田軍が敗走するハメになるのですが、どのウ
ラにはどうやら徳川が引き込みなんぞやってたらしい・・・！
信長本人の死は、本来の史実より七年も早くおこってしまったワケで、コレっ
て、転生者の介入による結果ともいえるかもしれない。ヒ一族の言い伝えでい
うなら「ネがうごいた」（半村良「産霊山秘録）ということになりましょう
か。主人公の登極により、その歴史上の役割をとって代わられたともいえるワ
ケで、信長さまも無念なことでありましょう。合掌・・・！

2022/09/01

毛利を本格的に攻略して、たちまちに降伏させてしまう。その畳みかけるような勢いの文章がいい。調略をたくさん用いるんだけど、こんなものなのかな。嫡男の弥五郎についても結構ページを割いている。偉大な父親のせいで、非常に苦労しそうだね。そして、とうとう信長が糖尿病をこじらせて死んでしまう。おやおや、家康がいやらしい本領を発揮していきそうだ。

2020/10/08

毛利との戦に力を入れる朽木、長男堅綱の初陣、信長の危機、ストーリーは大分進みました。
加筆や書き下ろし、コミカライズ試し読みもあってお得な一冊です。