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谷川俊太郎(著者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 新潮社
発売年月日 2020/07/30
JAN 9784104018079

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商品レビュー

3.9

16件のお客様レビュー

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2024/11/19

『ベージュ』 谷川俊太郎 今朝、スマホの待機画面に、訃報のニュースが、 また、一つ、寂しさが募り、本を手にすると込み上げてくるものがありました。 本書『ベージュ』のなかから、ひとつ、選ばせていただきました。 「川の音楽」 私は橋の上に立っています 振り返ると川がどこからかやっ...

『ベージュ』 谷川俊太郎 今朝、スマホの待機画面に、訃報のニュースが、 また、一つ、寂しさが募り、本を手にすると込み上げてくるものがありました。 本書『ベージュ』のなかから、ひとつ、選ばせていただきました。 「川の音楽」 私は橋の上に立っています 振り返ると川がどこからかやって来て 前を見ると川がどこかわたしの知らない里へ流れていく 川はアンダンテの音楽を隠しています 何十年か前にも麦わら帽子をかぶって 橋の上から足の下の川の流れを眺めていた 川が水源から海まで流れていくことをそのころは知っていた でも今はそんな知識はどうでもいいのです 川が秘めている聞こえない音楽を聞いていると 生まれる前から死んだ後までの私が 自分を忘れながら今の私を見つめていると思う 夕暮れの光にキラキラ輝きながら 川はいつまでもどこまでも流れていきます 笹舟のような私の思いをのせて 道しるべとなり、その存在が安らぎにもなり、安心して生きていけるような、そんな優しさがあった方々が続くように他界され寂しくなります。 伝えたいのはお礼のことばです。 たくさんの優しさを届けてくださって、 たくさんのことばを残してくださって、 本当にありがとうございました。 そして、これからも、感謝は続きます ご冥福をお祈りいたします。

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2024/06/13

なんでかいやされる。 ひらがな言葉とか、こういう素朴な雰囲気とか谷川俊太郎さんにすごく合ってるし、 しみじみとしみてくる。 たぶん大学ノートに書いてあっても同じくらい癒されると思う。 きれいな本だから買ったし、もちろんいい装丁なんだけど。 誰にでも書けそうな雰囲気で誰にもできな...

なんでかいやされる。 ひらがな言葉とか、こういう素朴な雰囲気とか谷川俊太郎さんにすごく合ってるし、 しみじみとしみてくる。 たぶん大学ノートに書いてあっても同じくらい癒されると思う。 きれいな本だから買ったし、もちろんいい装丁なんだけど。 誰にでも書けそうな雰囲気で誰にもできないことをやってくれる。 ちょっとふざけてるところも余裕そうで羨ましい。 タイトルの由来は、裸ってついた詩があるから、 このことかー と思わせておいて、 あとがきを読んで わー!やられたー!となった。

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2024/05/30

谷川俊太郎さんの詩集ですね。 2020年7月発行。 谷川俊太郎さんの米寿になられた時の詩集です。 米寿とベージュ、いかにも谷川さんらしいネーミングです。 ところが、この詩集は、私が今まで読んだ谷川さんの詩集とは、少し趣が違います(そんなに沢山は読んでいませんが!)。静かに静かに、...

谷川俊太郎さんの詩集ですね。 2020年7月発行。 谷川俊太郎さんの米寿になられた時の詩集です。 米寿とベージュ、いかにも谷川さんらしいネーミングです。 ところが、この詩集は、私が今まで読んだ谷川さんの詩集とは、少し趣が違います(そんなに沢山は読んでいませんが!)。静かに静かに、時にはアイロニーを含み、虚無感さえも謳い込んでいます。  詩と共に歩んでこられた人生で、虚無はあり得ないように思いますが、米寿を迎えられて、もう一度、詩と真正面から向き合った詩集のように感じました。      路地   路地を挟んで   建物と建物が   身を寄せ合っている   寂しいひと組の   老人のように   歴史は立ち止まっている   歌はおろか   睦事も   愚痴も聞こえてこない   石は既に   諦めているのだ   死ぬことを   無に向かう   足音を   国家は   路地を煙たがって   広場に   旗を掲げ   風を待っている   路地は   いつも何処かに   通じている   幼児の笑い声を   夢見て      言葉と別れて   広々とした青空のどこかから   白い雲のひと刷毛が現れて   風に流れるいとまもなく   すぐ消え失せるのを赤ん坊が見ている   老人の私もそれを見ているが   赤ん坊と違って私はそれを言葉で見る   その情景は私の内部から外部へ跳ぶ   私の中ですでに時は止まっている   書かれた情景は一枚水彩画のように   意識の額縁に収まっている   赤ん坊を抱いて私は散歩から帰る   日常が当然のように戻ってきて   やがて西陽が家並みの向こうに沈む   詩が言葉と別れて闇に消える      詩の捧げ物   文字でも声でもない詩を   伝書鳩のように虚空に放ってみたい   詩はどこへ飛んで行くだろうか   青空が雲を生むように   自然に十分自然に   詩を生みたいと夢想している   バッハは音楽を神に捧げた   詩をいま何に捧げればいいのか   捧げるヒトならいないこともないが   曇り空に向かって唐突に    感謝したくなる朝は   詩を忘れている   葉の上の小さな虫を   じっと見ているだけで   心が静まるのらどうしてだろう   虚空に詩を捧げる   形のないものにひそむ   原初よりの力を信じて  共感が心に満たされます。詩を短歌を、歌いたいと思う心の動揺を(谷川さんはプロですが、この詩集ではそれが見え隠れしています)、アイロニーに陥る時が私は多いです。なかなか歌えない。  谷川さんの、エネルギッシュな詩との取り組みの裏を真摯に受け止めように思うのは、私だけでしょうか?

Posted by ブクログ