中年格差

橘木俊詔(著者)

• 販売会社／発売会社: 青土社
• 発売年月日: 2020/07/27
• JAN: 9784791772957

商品レビュー

2023/08/16

就職氷河期世代で独身未婚中年の自分が読んでみた感想としましては、自分の経験してきたことがデータとしてもそこそこ論証されるようになったのだなという感じでした。

ただ、やはり経済学は解決してくれないんだなという感じでした。
こと結婚に関しては、自分が若い頃は経済問題だと思っていましたが（世間的には「出会いがないからだ」と思われていた小泉内閣末期）、今お一人様でいてこの20年を振り返ってみて思うのは、経済問題は半分だなと思いました。
自分の根拠のない感覚としては、今の日本は、とりあえず結婚は自由恋愛なので、コミュ力強者でないと結婚はできず、体力おばけでないと子育てできない社会なのかなと思っています。そのどちらかがなくても経済力があればカバーできる側面もありますが、３つとも持たない自分は結婚・子育ては土台無理だったと気がつきました。

とはいえ、橘木先生はよりよい日本社会を望んでおられるようなので、そのような日本になってくれるといいなと思いつつ、自分にできることはほとんどないので、とりあえず毎日仕事に行こうと思いました。

2021/02/17

タイトル惚れ。

しかし、内容は非常に充実していて、骨のある内容だった。それもそのはず著者は、京都大学名誉教授で元日本経済学会会長を歴任した経済学者。

いま、中年世代に代表される日本で起きている格差社会の原点をバブル崩壊に求め、そこから派生する正規非正規、結婚問題を論じ、訪れるであろう未来を予測している。

中年が置かれている現状を、経済的な観点や心理的な要因から分析し、日本社会のあるべき姿を提案している。

一般的な本というよりは、学術書。現代日本の格差社会を代表する中年を分析した素晴らしい論文である。

2020/11/26

日本の現状を冷静に知るためには「社会学」が欠かせないが、本書は読みやすくわかりやすい。
今日本では誰の目にも大きな格差が目の前にありありとわかるようになってきている。その実態を本書は実に精緻に明らかにしている。しかしその是正は、政治的にも社会的にも困難なこともまた明らかである。
日本において政治や経済・社会を考察し語るには必読の本であると思った。それにしても日本も生きにくい社会になったものだ。