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南風吹く 光文社文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 光文社 |
発売年月日 | 2020/07/08 |
JAN | 9784334790516 |
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南風吹く
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商品レビュー
4.4
6件のお客様レビュー
前に読んだ「春や春」が良かったので、姉妹編のようなこちらにも行ってみた。 舞台は瀬戸内海に浮かぶ小島の分校。 愛媛県では小学生の時から俳句の授業があるというのは知っていたが、本の中では中学校の卒業記念品に歳時記をもらっていた。なかなかだな。 「春や春」と異なりメンバー集めの妙...
前に読んだ「春や春」が良かったので、姉妹編のようなこちらにも行ってみた。 舞台は瀬戸内海に浮かぶ小島の分校。 愛媛県では小学生の時から俳句の授業があるというのは知っていたが、本の中では中学校の卒業記念品に歳時記をもらっていた。なかなかだな。 「春や春」と異なりメンバー集めの妙や俳句の奥深さに触れるのはほどほどで、サクサクと句戦の積み重ねに入る。 その分前作にあった俳句についての驚きや発見は少ないが、代わりにダイレクトに俳句鑑賞の面白さに溢れていた。 P.248にディベートの要点が書いてあったのも助けになった。 ・兼題は生かされているか。 ・無駄な言葉がないか。 ・鑑賞者として、句のイメージをどれだけ豊かにふくらませられるか。 島で生まれ育った4人に、松山の親と離れて島で暮らす1人が入ったチーム。 俳句の面白さに嵌っていくとともに進路や家庭の事情の中で揺れる心情がそれぞれの句に迸る。 球技部での夢破れ、俳句甲子園出場のメンバー探しを手伝う内にそのまま引きずり込まれた航太。 「今ここがおれのポジション南風吹く」 家業の和菓子屋を継ぎたくても狭い島での商売ではその行く末は甘くなく、そんな訳で進路に悶々とする彼の、それでもこの島で生きていることへの感情を言い切る前向きさが際立つ。 俳句甲子園への出場に熱意を燃やす日向子。 「雨の香の胸をこぼるる日焼かな」 自信家のように見えて、その実自分にできることを証明したくて自らを鼓舞し続ける彼女の、いつもは見せない大人っぽく女らしさが溢れた句にドキッとする。 文才豊かにもかかわらず最後までメンバーになることを拒んだ恵一。 「しあわせな試行錯誤や水の秋」 いけ好かないと思っていた俳句甲子園を内側から知らなければ本当の批判はできないとメンバーになった彼。進路のことでも漁師の親と諍う彼の、揺れる思いの丈が詰まった句。 由緒ある神社の神職の跡取りで情報通の和彦。 「草笛よ法螺のごとくに海を行け」 永く続く神社が故にそれを継ぐことが既定となった将来を受け入れながら、小さな世界に閉じ籠ることなく人との繋がりを広げる彼が詠んだ句は、海のせいで本土と隔てられ不便な暮らしを強いられている島の子らの屈託を洗い流すような力強さ。 文芸部で短歌好きな京。 「掌にもがく蝉や言葉だけの故郷」 ちょっとした行き違いとその年頃特有の頑なさで母親と折り合いを欠き家を出て島の親戚のところで暮らす彼女の切ない思い出。 そんな彼女への兄からの答礼句がなんとも素敵。説明のできない興奮に包まれていたのは五木分校の5人だけではない。 「泣きやまぬ妹と居る蝉時雨」 P.307に藤ヶ丘女子高が登場。そこから進んだ敗者復活戦の兼題を見て「春や春」と同じ大会を別の高校の話で読んでいたこと気がついた(遅いって)。 色々な学校が入り乱れ、小さなエピソードでも出場校それぞれにドラマがあることを思わせる作りがとても良かった。
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『春や春』に続く俳句甲子園の話し。 地方大会を勝ち抜いた高校生達が、松山市で行われる全国大会に出場。そして、それぞれが詠んだ俳句で戦い優勝を目指す。 とても爽やかな青春ストーリー。 そして、前作と同様に俳句で戦う様子が、読んでいてとても面白かった。
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前作も面白く読めたが、こちらもよかった。高校生の熱力を感じられて、懐かしいような気恥ずかしいようなけれど、応援したくなるようだった。 迷ったり、ぶつかったり、運動部だろうと文化部だろうと変わらない熱さがいい。小説以上に熱いだろう実際の俳句甲子園を見てみたいと思う。
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