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組曲 わすれこうじ
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2020/05/27 |
JAN | 9784103533115 |
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商品レビュー
4
3件のお客様レビュー
とても独特な書き方に最初は戸惑い、なかなか読み進められなかった。 中盤から慣れ、物事を遠回しに綺麗な言葉で説明される魅力にどっぷりハマり、少しずつ丁寧に読み進めた。 何か劇的なことが起こるわけではない話だが、だからこそこの文体がとてもよく感じられたのかなとも思う。 著者の他の本も...
とても独特な書き方に最初は戸惑い、なかなか読み進められなかった。 中盤から慣れ、物事を遠回しに綺麗な言葉で説明される魅力にどっぷりハマり、少しずつ丁寧に読み進めた。 何か劇的なことが起こるわけではない話だが、だからこそこの文体がとてもよく感じられたのかなとも思う。 著者の他の本も気になる。
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最初、見慣れない文体に面食らった。 既存の一語で表せる事物を、わざとその単語を使わないでなぞなぞみたいにつらつらと説明されることに最初はいらいらしていたけれど、著者のファンである友人から「そう書かれることで我々はその事物を既知のものとして流すのではなく、もう一度初対面として出会い...
最初、見慣れない文体に面食らった。 既存の一語で表せる事物を、わざとその単語を使わないでなぞなぞみたいにつらつらと説明されることに最初はいらいらしていたけれど、著者のファンである友人から「そう書かれることで我々はその事物を既知のものとして流すのではなく、もう一度初対面として出会い直すことができるのだ」との指摘を受け、なるほど、意味のないなぞなぞではなかったのか、と捉え直してからはその手法も興味深く読めた。 幼年期の、家や家具や遊具や家族などにまつわる断片的な思い出に、さまざまな角度から光を当て、淡く照らしていくような物語だった。 終始登場人物の誰ひとりの名も性別も明かされず、具体的な台詞も書かれないので、全ては影絵のようにぼんやりとしている。読んでいて何度も眠くなってしまった。でもこんなに抽象的かつ癖のある遠回しな文体なのに意味がとれてしまうということにむしろ驚かされる。 和語が多用されていて、言葉がやわらかいので、音読すると実に気持ちが良い。断片ひとつひとつの結びかたが特にすばらしく美しいので、読み惚れるばかりだった。 小説というと、人と人とか、人と社会との関係性をメインテーマに据えたものが多いと思っていたが、こんな、自分対モノ(たとえば、すごろく、ノート、など)という単位の間に生じたごく些細なドラマであっても、語るべきことはこんなにあったのだなと驚かされた。
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「abさんご」という作品で、75歳にして早稲田文学新人賞や芥川賞を受賞した作家さん。 芥川賞は、奇をてらった作品が多い印象があって、さて、75歳にてどんな作品を書く方かな。 図書館に赴くと、やれ芥川賞受賞作品は、「貸出中」 この本が新刊に並んでいたので、何気なく借りる...
「abさんご」という作品で、75歳にして早稲田文学新人賞や芥川賞を受賞した作家さん。 芥川賞は、奇をてらった作品が多い印象があって、さて、75歳にてどんな作品を書く方かな。 図書館に赴くと、やれ芥川賞受賞作品は、「貸出中」 この本が新刊に並んでいたので、何気なく借りることに。 さて、読んでみると、名詞、固有名詞が出てこない。漢字も少なめで、カタカナも使っていない。 全てが形容で表現されているので、じっくりと言葉をひらい、読み進めないと、 「あれ?これは何?」「どこの様子だっけ?」と 読み手が迷子になってしまいます。飛ばし読みなんて到底無理。 ついつい、集中して読んでしまい、最初は煩わしい?のに、 いつの間にか、言葉の間に身を委ねたくなる中毒「黒田マジック」にかかってしまいました。(笑) たとえば・・ 十三枚づつの四系統に、どこにも属さない、なぞめいた不穏なふんいきの図がらの いちまいをくわえた五十三枚ひとくみのかーど 私みたいな教養のない者には難解な言葉も潜んでいるのだけれど とても流ちょうな美しい日本語なので、あたかも現代版徒然草のようで、 とはいえ、そこは、ひらがなだけの力じゃなく、その形容の有り様だと思います。 浮き出しのある絵はがきの件では・・・ いちいちをとっておくというふうにはあつかわれなくて、このひとひらは時空のすきまにおちていた影の影であり、 おもかげをうしなったせぴあいろの長方形は、こまかな葉と実のかざり彫りにふちどられた一枚のとびらのようでもある。 秋の薄曇りの日差しの中で、ゆったりと読むには最高の本です。 ・・・途中、読みながら、椅子の上で、本をもったままうたたねをしてしまったの。 も、また、幸せな時間でありました。^^
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