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バルタザールの遍歴 角川文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | KADOKAWA |
発売年月日 | 2020/05/22 |
JAN | 9784041092675 |
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バルタザールの遍歴
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商品レビュー
3.8
5件のお客様レビュー
実際に読んだのはハードカバーのオリジナル版で1991年の発行のもの。 (表紙にはバルタザールがスーツを着て、少し背を壁にもたれて立っている+その隣にメルヒオールのシルエット) これがブクログには見当たらないので、この文庫版で代わりに登録しておきます。 いやあ、凄い。 これがデビ...
実際に読んだのはハードカバーのオリジナル版で1991年の発行のもの。 (表紙にはバルタザールがスーツを着て、少し背を壁にもたれて立っている+その隣にメルヒオールのシルエット) これがブクログには見当たらないので、この文庫版で代わりに登録しておきます。 いやあ、凄い。 これがデビュー作で作者はまだ20代でこれを書いていたわけだ。 ものすごく緻密で、何より言い回しや空気感が19世紀から20世紀初頭の欧米の文学の翻訳そっくり。 まさに生きてきたみたいにこの時代の雰囲気を作って語るのでそこにただ口を開けて読んでいたかんじでした。 すごいなあ。 ストーリーはほとんどなくて、それも昔の翻訳小説みたいなかんじ。 メルヒオールの正体?というか仕組みや父親からの特異体質遺伝のあたりは分かりにくいけどね。 マグダもベルタもあまり好きではない。 酒には気をつけようってなストーリー??? ごく序盤に登場した、「彼女はただのダダだった」という一文に笑った。 1人の体に2人の人格。 森博嗣なら4人くらい入ってるしな、と思ったけど、同時期に読んでたぺソアなんか70人の人格があったわけだし。まあよくあることなんだよ、きっと。 主人公の淡々とした語り口調が印象に残る。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
主人公の貴族が絵に描いたように転落していきます。え、まだ落ちるの?というところまで。ですが、本人たちはあまり気にしていないようなので、読んでいて不思議と「辛さ」や「悲壮感」を感じることはあまりありませんでした。また、決して性格が悪いわけではないのですが、ダメ人間です。あそこまでダメになれるのは、自分以外の人間が常にいて、どんなにダメ人間になっても絶対に一人にならないという安心感からなのではないかと思う。だから、実際に一人になった時の絶望感は想像がつかなかった。この後も2人はこれまでのように、彼等らしく思うままに生きていくのだろうなと思った。
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佐藤亜紀という作家はいわば"作家に愛される作家"という立ち位置にいるように思う。ベストセラー作家とは違う独自の作風を持っており、大抵は「海外」「過去」を舞台としている、というのが3作ほど彼女の作品を読み、軽くその遍歴を調べた私の印象だ。 デビュー作である本書も...
佐藤亜紀という作家はいわば"作家に愛される作家"という立ち位置にいるように思う。ベストセラー作家とは違う独自の作風を持っており、大抵は「海外」「過去」を舞台としている、というのが3作ほど彼女の作品を読み、軽くその遍歴を調べた私の印象だ。 デビュー作である本書も例にもれず、1918年のウィーンから始まっている。「1つの体に、2つの魂」という設定は意外とすんなり受け入れられ、美文なこともありすいすい読める。前半はのんだくれになった主人公の転落を描き、後半はさらなる転落と、仕掛けの種明かし、幽体離脱、決闘と徐々にエンタメ度が上がってゆく。 なるほど、処女作でこれを書き上げるのは並の筆力では無く、後の作品遍歴に関わる要素も散りばめられていると思う。だが、話運びにはそれほど訴求力が無く、パラパラと大筋を追いかける形で読んでしまった。 他の作品はこれ以上に高い評価を集めているものが多数あるので、これから少しずつ追いかけていけたらと思う。
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