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民間信仰 ちくま学芸文庫
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民間信仰 ちくま学芸文庫

桜井徳太郎(著者)

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民間信仰 ちくま学芸文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 筑摩書房
発売年月日 2020/05/12
JAN 9784480099761

民間信仰

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商品レビュー

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2021/11/23

民俗学の本を読むとよく引用されているのでいつか読んでみようかと思っていた桜井徳太郎さん。 三津田信三さんの作品の参考文献に本書が乗っていたので注文。文庫化されたのは2020年で割と最近なのね。あとがき見ると昭和44年とあった。 民俗学を学ぶ中で、民間信仰に関することがやはり私の...

民俗学の本を読むとよく引用されているのでいつか読んでみようかと思っていた桜井徳太郎さん。 三津田信三さんの作品の参考文献に本書が乗っていたので注文。文庫化されたのは2020年で割と最近なのね。あとがき見ると昭和44年とあった。 民俗学を学ぶ中で、民間信仰に関することがやはり私の心惹かれる領域だった。 民間信仰は宗教とは違う。その宗教の正しい教義ではなく、人々が実際に何を信仰していたのか、どう信じられていたのか(隠れキリシタンが信仰したマリア観音を拝む信仰とキリスト教は違うように、という例えもわかりやすかった)。 「宗教画どちらかというと超時間・超空間的であるのに対して、民間信仰のなかに地方色豊かな土臭ぷんぷんたる要素の充満している理由は、ここに存する」 冒頭からしてこの入り方、とても刺激的な読み物だと思った。 天候などの自然現象が解明された今、雨乞いの儀式は「迷信」などと言われるが、気象学がわかっても降雨をコントロールしたり気象に関わらず水道設備が充実し作物の育成に困らない環境を整えられたりしない限りは雨ごいの祈願はなくならず、それをあざ笑うこともできないと著者はいう。その信仰が社会的意義を失い社会生活に実害を与えているものが迷信であると。 つまり民間信仰には人間にコントロールできないものへの恐れや願いが存在している。現代では病気平癒の祈願、厄除け、死者の供養、人間関係(丑の刻参りや縁切り寺・神社)があたるだろうか。 ・日本の原始信仰は自然信仰(山、水、木など)と精霊信仰(雨、風、雷など)であり、人間社会の進展と生活の分化に即応している。狩猟民の山の神、農業神、祖霊信仰など。 ・山の神は山岳信仰の山(霊峰)とはイコールではない。生活に近い、名もない低い山、丘、麓が多くである。 ・空腹などからくる高山病が原因で動けなることも魔物に取りつかれたと解釈されていた。しかし「弁当を全部食べ切らずに少し残しておく」は高山病の仕組みを知らない中でも理にかなった対処法であると思った。(でも地方によってはごはんを道端になげるとか供えるというのも多い) 昔は旅に出て一番に心配されたのは追いはぎや事故ではなく、行倒れだったそうなので、この手の信仰が発展した理由がわかる。 ・夜雀(三津田作品で登場した!ここから引用されたのか!)は夜道を歩いているとチッチと鳴いてついてくる。これに憑かれると動けなくなって、凶事が起こるという。 ・ボウコ(これも出てきた!) 人間の亡霊とか本体のつかめない怪異などを北宇和郡あたりではボウコと呼ぶ。 本書で最も衝撃を受け、論文としても非常に影響を与えたのではないかと思ったのはノツゴに関する考察である。野神(神様)・・・ノツゴ(妖怪・怨霊)は別の伝承と考えられてきたが、現地での調査を続ける中で同じモノのことを言っているのではないかというもの。かつては神様として畏れられ、供物を供えられていたものが、その信仰は衰退し、間引きされた赤子の亡霊が怨霊となって悪さをするというものに変わってしまった。 この考察には衝撃を受けた。今、マンガやアニメでも「神様」が人々から忘れられて怨霊化、妖怪化する話は定番といってもいい。「信仰がなくなるとともに怨霊化」という設定は実際に人々の信仰心が変化したことなのだとわかり、これからのこの手の話を見る目が変わると思っている。 ・神仏習合の時代には八幡神社の神事に真言宗寺院の僧が参加していた。石清水八幡宮の別当寺として真言宗寺院が栄えた例。 ・寺の経済的基盤が崩れ、農耕に従事しなければならなくなり、寺の威厳はなくなってしまったが民衆との距離が近くなり地域社会の一員となった例。 ・弁財天が信仰されていた地域で、その弁財天を介し、結果真言宗寺院が弁財天の祭事を担うように変遷した例。 ・神拝するのに「南無阿弥陀仏」と唱える例。 ・神仏分離がきっかけで一見わからない作りの仏壇の地域。

Posted by ブクログ

2021/05/24

 主に四国が中心であるが、もともとは神であったものが妖怪に堕ちた例や、同じ言葉であっても地域によって180度意味が変わってしまったものなど具体的に示し、その土地で何があったのかを見ながら今の形になった理由を考察している。例えば、四国には祟り神が多いという特徴があるが、これは長曾我...

 主に四国が中心であるが、もともとは神であったものが妖怪に堕ちた例や、同じ言葉であっても地域によって180度意味が変わってしまったものなど具体的に示し、その土地で何があったのかを見ながら今の形になった理由を考察している。例えば、四国には祟り神が多いという特徴があるが、これは長曾我部による征服や口減らし、間引きといった風習による犠牲者が多かったことによるものであり、良くないことが起きたとき、その原因をこれらに求めたことによるものであるという。また、仏教の伝播の過程においても、土着の信仰と深く結びつき、本来の仏教行事ではないものまで仏教行事として行われているものや、逆に、土着の行事が仏教化し、本来の由来が失われてしまったものもある。丹念な取材により民間における信仰がどのように発生し変化し広がっていったかを解き明かしている。

Posted by ブクログ

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