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兄の名は、ジェシカ
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | あすなろ書房 |
発売年月日 | 2020/04/16 |
JAN | 9784751529478 |
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兄の名は、ジェシカ
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商品レビュー
3.8
28件のお客様レビュー
これまで多くの地域・社会で「生物学的な性」が評価され、「社会的な性」が抑圧されてきたのではないでしょうか? これに伴い、本人が「自覚する性」もまた、抑圧されてきたのではと考えました。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
トランスジェンダーの兄を題材に書かれた、少年の成長記。文章は読みやすく面白い。 母親が首相候補というのはリアリティに欠けると感じたが、ヤングアダルト向けに書かれているため分かりやすくデフォルメした結果かもしれない。主人公の正直な感情描写が上手い。 兄の心情や行動についてもっと書いてほしかった気もするけど、この距離感が丁度いいのかもしれない。 父親はいくらなんでも時代錯誤すぎるだろうとおもったが、現実はこんなものなのかも…。 しかし、ジェシカの言葉遣いが最後まで男言葉なのはどうなのか。ジェシカが、トランスジェンダーてあり、かつ恋愛対象は女の子という、微妙な設定は良かったし、それゆえにあえてオンナを前面に出していない言葉づかいなのかな?とも考えられるが…。 作者のあとがきが、何気に一番沁みたかもしれない。
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サッカーが上手く、かっこよく、学校でも人気者だった自慢の兄・ジェイソンが「自分は女だ」と言い始めたことで、弟のサムの人生は大きく変わります。 それまでも難読症のためにからかわれることはありましたが、学校では日々「おかしな兄と同じ、変な奴なんだろう」という冷たい視線やいじめの対象に...
サッカーが上手く、かっこよく、学校でも人気者だった自慢の兄・ジェイソンが「自分は女だ」と言い始めたことで、弟のサムの人生は大きく変わります。 それまでも難読症のためにからかわれることはありましたが、学校では日々「おかしな兄と同じ、変な奴なんだろう」という冷たい視線やいじめの対象になってしまいます。 さらに、両親も「ジェイソンはどこかがおかしくなってしまった、治療しなくては」とジェイソンのカミングアウトに対して拒絶的な反応を取り、家族はバラバラになってしまいます。 作品としてはYA作品です(課題図書にもなっています)し、基本的には主人公の少年少女たちが不必要に傷ついた形で物語を終えることはテーマ的にもないだろうとは想像できます。ですから、最終的には家族は結束を取り戻すのだろうという予想はできましたし、そこに向けてのラストシーンのいわば「軌道修正」はそれまでの展開と比較すると、ちょっと出来過ぎかな、という気もします。 一方で、政治家として働いている両親が、「息子がトランスジェンダーだ」という事実をスキャンダルとしてとらえて拒絶したり、弟が「兄がおかしくなってしまった」と怒りを覚えたりする様子は、一般論としては「多様性」を尊重するようなことを言いながらも、身近な存在が自分の価値観とは反することをすると本能的に否定してしまったり、自分の評判や利益を守ろうとして相手を傷つけてしまったりする、という人間の「弱さ」がリアルに描いていると感じます。 性自認にゆれるトランスジェンダー本人の葛藤だけではなく、それによって「信頼する兄」を失った弟が大きく影響を受けている(そして、それに対するケアが十分に受けられていない)という部分も、無視できない問題点なのだろうと思います。 とはいうものの、本書のテーマはジェイソンの性自認にまつわる、彼(彼女)の苦しみです。助けてくれると思って打ち明けた両親に拒絶・否定されたジェイソンのショックは大きかっただろうと思います。彼(彼女)のような苦しみを受ける人が少しでも減るように、周囲が理解する必要があるでしょうし、そういった意味でこの本を中高生に推薦する意義はわかります。 (フィクション作品という面もあるのでしょうが、2021年に出版された作品にしては、LGBTQに対する理解が薄すぎる印象もありましたが) ただ、私自身としては、是非、子育てをしている親の世代に進めたいと思います。性自認などのいわゆる「大きな」問題でなくとも(例えば大人から見たら些細な問題であっても)子どもが親に打ち明けてきた時、どのような対応をするべきなのか。不安を取り除くように明るく振る舞うべきなのか、共感してあげるべきなのか、君の味方だと安心させてあげるべきなのか、考えの誤りを正すべきなのか。状況によってさまざまだろうと思いますが、誤った選択を繰り返して子どもを傷つけ家族が壊れかけてゆく様子を見ることで、「子どもが親に何を求めているのか」を感じ取って対応することの大切さを改めて突き付けられたように思います。
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