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陶酔と覚醒 沢木耕太郎セッションズ〈訊いて、聴く〉Ⅲ
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2020/04/12 |
JAN | 9784000280792 |
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陶酔と覚醒
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商品レビュー
4.2
6件のお客様レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
沢木 紀行文というと勘違いする人がいるのですが、何か人と違った面白いことをやって、それを書けば紀行文になるというものではない。失礼な言い方かもしれないけど、森本さんの『サハラ幻想行』も、たかだか七日間の話でしょう。厳密に言えば六日間。でも、そのたった六日間の旅を一年半もかけて三百五十ページの本にまとめた。タッシリの岩絵を見に行くという動機と行為自体には、若干、冒険的な要素があるけれども、森本さんの旅そのものは、本当の意味での冒険ではなかったはずです。 重要なことは、旅で受けた刺激を自分でどう消化し、それにどのようにリアクションしていくか、だと僕は思います。そして、これまでの自分の過去の体験や記憶を取り出して、その旅に重ね合わせるということではないでしょうか。だから、どちらかと言えば受け身です。紀行文というのは基本的には受け身の文学だと思う。 芭蕉の『奥の細道』も旅を終えて何年か経ってから、ようやく完成しているでしょう。その間、芭蕉はずっと考えていたわけですよね。句もどんどん変化させていった。なかったことまで書いてしまってもいる。でも、旅が終わって一年半、二年と考えつづけている間に変容していくものが、いっぱいあると思うんですよね。 森本 確かにそうですね。 沢木 そういう中で紀行文というのは初めて成立するのであって、旅そのものではないわけです。僕が死ぬときになって、その時点で、もしいくつかの旅の作品が成立しているとすれば、それは僕が何年かにわたってずっと考えつづけてきたということだと思います。もちろん、旅したときのリアクション、感情などはまめにノートに書き留めていますが、それを正確に再現しようと思っていても十年考えつづけていくと、やはり変化していきます。いや、育っていく、といったほうが適切でしょうね。そうしたものを今の若い読者たちが読んでくれているのだと僕は思っています。
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沢木耕太郎の2020年発行の4冊の対談集の、3冊目のもの。スポーツがテーマであるが、実際にスポーツをやっている人ばかりではない。市川崑は、前の東京オリンピックの記録映画の監督だし、後藤正治は沢木耕太郎と同じノンフィクションライターであり、スポーツに題材をとったものを多く書いている...
沢木耕太郎の2020年発行の4冊の対談集の、3冊目のもの。スポーツがテーマであるが、実際にスポーツをやっている人ばかりではない。市川崑は、前の東京オリンピックの記録映画の監督だし、後藤正治は沢木耕太郎と同じノンフィクションライターであり、スポーツに題材をとったものを多く書いている。 スポーツをやる人との対談もある。元サッカー日本代表監督の岡田さん、登山家であり、また、沢木耕太郎の「凍」という作品の対象である山野井夫妻など。 巻末のエッセイに、「みる者」と「する者」というテーマで沢木耕太郎は一文を書いている。「みる者」であることへの苛立ちがノンフィクションを書きながら感じていたが、それがどこかで薄れていったという、個人の感覚に関するものだ。 これに倣って言うならば、本対談集は、「みる者同士」および、「みる者とする者」の二種類の対談が収められている。それは、どちらも興味深い。
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この本は、約3ヶ月前の私の50歳の誕生日に購入し、ベッドで就寝前に少しずつ読んでいた。しかし、つい数日前に山野井泰史・妙子夫妻の「凍」を読了し、一気に150ページぐらいから最後まで読んだ。森本哲郎、岡田武史、山野井夫妻、そして角田光代との対談を一気に読んだことになる。個人的にサッ...
この本は、約3ヶ月前の私の50歳の誕生日に購入し、ベッドで就寝前に少しずつ読んでいた。しかし、つい数日前に山野井泰史・妙子夫妻の「凍」を読了し、一気に150ページぐらいから最後まで読んだ。森本哲郎、岡田武史、山野井夫妻、そして角田光代との対談を一気に読んだことになる。個人的にサッカーが大好きなので、岡田武史との対談はとても興味深かった。そして「凍」を読んだばかりなので、山野井夫妻とのパートもとてもおもしろかった。しかし一番感銘を受けたのは角田光代とのパートだったかもしれない。ボクシングがテーマで、「一瞬の夏」のカシアス内藤の息子の話まで出てきて、また角田光代の書いたボクシング小説もぜひ読みたいと思った。最後に沢木耕太郎自身が記している「みる者」「する者」という視点もおもしろいし合点がいくものだった。沢木耕太郎の奥深さを再認識するものだった。
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