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貧乏紳士と幸運の女神 ライムブックス
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貧乏紳士と幸運の女神 ライムブックス

エリカ・リドリー(著者), 水野麗子(訳者)

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貧乏紳士と幸運の女神 ライムブックス

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 原書房
発売年月日 2020/04/09
JAN 9784562065332

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商品レビュー

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2020/08/18
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※このレビューにはネタバレを含みます

とても素敵な物語でした。 賭博癖のある紳士アンソニーと若く魅力的で知性のあるシャーロットが賭博場で出逢い、たまたま「夫婦」になったことから物語は始まります。 実はシャーロットはロンドンではかつて名を知られた高級娼婦の娘で、私生児という立場と母の職業ゆえに人々から貶められてきた過去を持っており、強烈なコンプレックスを感じていました。 彼女は父ゆかりの品だというルビーの装飾品を手がかりに、父を探しにスコットランドまでやってきました。 スコットランドでは人前で「結婚した」と宣言しただけで、法的にも夫婦となると初めて気づき、二人は動揺します。 しかし、現実を受け入れ、アンソニーが作った多額の借金を何とか強力し合い、返済することに決めました。 今まで母親の仕事を知られるや、他人からいわれのない差別を受けてきたシャーロット、「夫」も同じではないかと恐れていたのに、アンソニーは真実を知っても態度を変えず、あるがままの彼女を誠実に受け入れ認めてくれました。 人生で初めて「価値のある人間」として見て貰えた歓びを感じ、シャーロットはアンソニーを心から愛するようになります。 また、彼も美しく聡明で優しいシャーロットに強く惹かれ、なりゆきで夫婦になったものの、二人は離れがたい絆を感じるようになりました。 ただ、借金を返済できない限り、彼は債務者監獄に入る羽目になり、返済期日は確実に近づきつつあります。 二人は何とかして借金を返済しようと奔走します。 やがて、シャーロットは自分が公爵の娘だと知り、「夫」と共にロンドンに戻るのですがー。 この作品を一言で形容するなら、まさに「恋愛の最も理想的な形」だと思えました。 それぞれに欠点や足りないところのある二人(シャーロット個人には欠点はなく、強いていえば世間的な立場や地位がないということが負い目でしかありませんが)が 互いに価値を認め合い、協力して試練に立ち向かう姿、また、アンソニーが自らの賭博癖を強い意思の力で克服しようとするところ、本当に素敵だなと思います。 欠点がない完璧な人が主人公であるより、多少の欠点がある主人公が努力して欠点を乗り越えようとする話の方が魅力的なように思います。 恋愛において、すべてのカップルがこんな風に「欠けた部分を補い合える」関係であれば言うことはないでしょう。 ただ、二人の関係はとても素晴らしい理想的なものなのですが、現実はやはり、このように上手くばかりはゆかないのではないでしょうか。 アンソニーのように、骨の髄まで賭博癖に染まった人が多少の環境の変化で容易く悪事から脚を洗えるというのは、やはり、これが物語だからと思いました。 シャーロットというヒロインについては、まったく問題なしの女の子です。 お母さんが娼婦であること、婚外子であることから虐げられてきましたが、最後には幸せになって良かったです。 この物語で感じた疑問点は、先ほどの「あまりにも簡単に上手くゆきすぎる」のは不自然という点、更に、アンソニーとシャーロットが結局、借金を完済できたのは彼女の父、亡き公爵の遺産が転がり込んだからというところです。 アンソニーが賭博ではなく、真っ当な仕事をするようになったのは良いけれど、結局、多額の借金は棚ぼた式で手に入ったお金で返済して、万事めでたしめでたしというのは、ちょっと抵抗がありました。偶発的なラッキーではなく、ここは何年かかっても、二人で協力しあって返済ということにして欲しかったです。 また、アンソニーが友人とはいえ、放蕩者のランブリー公爵の淫らな仮面舞踏会で執事役を務め、借金を返そうと思い立ったのにも落胆しました。これも、結局は棚ぼた式ではないですが、あまり誇れないことをしてお金を儲けようと考えたのは、賭け事の好きな男性の短絡的な思考のように感じられてなりません。 その三点が気になるとはいえ、全体的にとても好感の持てる話でした。 また、シャーロットの母デヴォンが15歳で産んだ娘を大切に育てたことも、心に響きました。 デヴォンがシャーロットを妊娠した際、 ー子どもを捨てるか、自分で育てるか迷い、自分で育てることにした。 と言い、 ー愛してくれない父親より、愛している母親がいる方が良いと思った。 と、父親について話さなかったことを娘に告白する下りは涙が出ました。 以上、要領を得ない感想になりましたが、自分なりに感じたことを纏めてみました。

Posted by ブクログ

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