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軍事組織の知的イノベーション ドクトリンと作戦術の創造力
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 勁草書房 |
発売年月日 | 2020/03/25 |
JAN | 9784326302871 |
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軍事組織の知的イノベーション
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借りたもの。 現役自衛隊海将による、日本軍の敗因、その致命的欠落――ドクトリンに対する認識不足――を、軍事組織の“教育”“教養”の面から分析。主に米国の海軍兵学校創立の歴史、米軍の戦後検証を中心に、米英日の科学技術の発展と取り入れ、各々が戦後反省(検証)をどのように行って、後に反...
借りたもの。 現役自衛隊海将による、日本軍の敗因、その致命的欠落――ドクトリンに対する認識不足――を、軍事組織の“教育”“教養”の面から分析。主に米国の海軍兵学校創立の歴史、米軍の戦後検証を中心に、米英日の科学技術の発展と取り入れ、各々が戦後反省(検証)をどのように行って、後に反映していたかを検証してゆく。 これこそ、正しき“戦後反省(検証)”のひとつだと思う。 何より、小手先の正面対決の結果や政治家の動きではなく、目的を明確にし、それに向けて組織を動かしていくためにその知識をどう共有(教育)していたか、という視点で検証されている。 日本では今もそう思われていそうだが、前線の戦闘イメージで脳筋ととられてしまう軍隊にリベラル・アーツ――ここで言うのは、一般的なものを含め、戦略論、国際関係論など――、アート(術)とサイエンス(科学)の重要性を説く。 それは昨今話題の、デザイン思考を見直すものにも相当する。 特に、米国海軍兵学校の創設史、軍部内の意識改革をどう行っていたかを紹介している行が勉強になる。 外国礼賛ではない。かつてアメリカでも社会から軍隊に対する風当たりが厳しく孤立していたのを、改革していったのが100年以上前の話。 南北戦争で多大な犠牲を払ったことへの反省から、軍人の教養を深め、小手先の戦術よりも戦略を重視してゆく。 日本海軍で「ネイバル・アカデミズム」が浸透しなかった理由として、方法論が成熟せず「個人知」が「組織知」に転化しなかったことと結論づけている。 「富国強兵で欧米に追い付け追い越せ」だった日本。 後発の強みである技術取得、「応用」をすることができても、その前提である「基礎」(帆船時代の運用法、戦術)を理解していなかったことに端を発している。 さらに、日本海軍は「状況判断」を業務として扱い作戦レベル以下に留まっていたこと、分析や行動方針に対して日本海軍は「我」を先に考慮し、米国海軍は「彼(敵)」を先に考慮する傾向があった…… ジョン・キーガン『情報と戦争』( https://booklog.jp/item/1/4120051285 )でも言及される日本軍の行動。その根本的な原理はこれだった。 戦略と戦術の混同、ゆえの古い戦略への固執、その結果、イノベーションを生み出すことが出来ない組織となる…… 米国では南北戦争、ヴェトナム戦争の苦い経験が、軍事組織の改革を行ってゆく行が非常に興味深い。 失敗してしまったからこそ、知性のある人間を起用し、前例にとらわれず問題個所を洗い出し、提言してゆく。 同時に、教育、訓練そして研究を並行して行う…… その真価は一朝一夕では現れないと思う。 しかし10年、20年後それらは実を結んでいると思う。組織の新陳代謝と最新技術への敏感さが、時代遅れにさせない。 教養の大切さ……狂犬(荒くれ者)マティスと呼ばれた元米国国防長官が読書家であることが取りざたされていたが、その理由が頷ける。 この本では、具体的な教育内容(イノベーションの方法論)については記されてはいない。 それは多分、リベラルアーツとかデザイン思考に関する本に委ねられている。 加谷珪一『「教養」として身につけておきたい 戦争と経済の本質』( https://booklog.jp/item/1/4862805094 )でも書いたが、日本学術会議が2017年に防衛装備庁の「安全保障技術研究推進制度」に大学が協力しないようにと提言した件は、自衛隊に時代遅れの戦略・戦術・技術で専守防衛に当たれ(=敗戦)と言っているに等しい。 「戦争したくなかったら、戦争について学ばなくて名ならない」 そうしなければ「戦争をしない/させない」方法論など、思いつかないのだから。
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海上自衛官として実務にあたりつつ執筆した博士論文をもとに書かれた本で、ドクトリンと作戦術といった、軍事組織がイノベーションを続ける組織変革の知的な方法論がどのように発展してきたかが詳しくわかる。 米軍に関しては南北戦争後の凋落から、ルースによる様々な取り組みで米海大などが創設され...
海上自衛官として実務にあたりつつ執筆した博士論文をもとに書かれた本で、ドクトリンと作戦術といった、軍事組織がイノベーションを続ける組織変革の知的な方法論がどのように発展してきたかが詳しくわかる。 米軍に関しては南北戦争後の凋落から、ルースによる様々な取り組みで米海大などが創設されるといったネイバルアカデミズムの萌芽から。日本海軍では海大創設自体は早く、坂本俊篤の改革などもあったが、海戦要務令がドグマ化して用兵思想は硬直化する。海自では作戦要務という新たな方法論が創出された。そして作戦術がナポレオン時代から黙示的に発展してきたが、1920年代のソ連軍において理論的にまとめられた。ヴェトナム戦争での失敗を踏まえた米軍はこれを発展させ、エアランドバトルというドクトリン構築の理論的ベースとなった。特にデピュイと訓練・ドクトリン軍の貢献にはめざましいものがあった。また、反知性主義的な組織エートスを有していた英軍も、バグネルの主導した知的改革により作戦術やドクトリンといった概念を導入した。 環境に適応すべく変革を続けることのできる軍事組織こそが戦争に勝つことができる。果たして今の自衛隊はどうなのであろうか。
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海上自衛官である筆者が、軍事組織における活動の方法論について、日米の比較を含め研究しまとめたもの。米海軍兵学校を卒業し、艦艇乗組経験を有し、かつ政策・メディアの博士である深い学術的知識を兼ね備えた著者は、優れた海上自衛官としての経験と高い英語力、高度な国際政治や戦史の知識を有して...
海上自衛官である筆者が、軍事組織における活動の方法論について、日米の比較を含め研究しまとめたもの。米海軍兵学校を卒業し、艦艇乗組経験を有し、かつ政策・メディアの博士である深い学術的知識を兼ね備えた著者は、優れた海上自衛官としての経験と高い英語力、高度な国際政治や戦史の知識を有している。論文形式でありながら読み進めやすく、説得力ある興味深い内容であった。 「トップダウンのリーダーシップは、革命的なイノベーションを生むが、短期的にしか持続しえず、発展的なイノベーションにつながらない。軍事組織に必要なのは、革命的なイノベーションではなく、時代に応じて変化を遂げる発展的なイノベーションである。いわゆる、進化的イノベーションである(ウイリアムソン・マーレー)」p4 「(ウォルシュ海軍大将)海軍兵学校卒業後、タフツ大学で修士号と博士号を取得している。ウォルシュは、自身のこういったアカデミックな経験が職務に有益であったとして、軍人教育における高等学術研究の意義を高く評価している」p20 「(ルース)米海大での高等教育の目的を「一部の天才を養成するのではなく、大人数の標準的な能力を引き上げる」としている」p31 「(大賀良平)海上自衛隊はY委員会が海軍の組織をそのまま持ってきた。それから、軍港も皆使った。それから、軍艦旗は昔と同じ。一番は、江田島。あそこに幹部候補生学校や術科学校が出来る。あそこに昔の教育資料は全部ある。建物から何から。だから海上自衛隊はますます海軍臭くなるわけ」p104 「(1956年、NWC初の留学生受け入れ)二十数か国から各国1名ずつの招きがあり、海上自衛隊から当時、幹部学校教官であった北村謙一2佐(海兵64期)が、第2期は板谷隆一1佐(海兵60期)が派遣され、以後今日に至るまで毎年続けられている」p107 「(1970年代から1980年代にかけての、米陸軍の組織改革の特徴)①方法論の追求と確立。②知的リーダーの存在。③組織改革のシステム化。④部内外の交流の推進。⑤統合と同盟の重視」p159 「日本海軍には不徹底が目立ち、これが大東亜戦争における日米両海軍の決定的な差となった」p193 「組織改革の方法を探求し続ける軍事組織こそが戦争に勝利する」p195 「マラソンを走り続けることができるかが、博士号取得後の課題」p200
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