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隠れ家の女 集英社文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 集英社 |
発売年月日 | 2020/03/19 |
JAN | 9784087607642 |
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商品レビュー
3.5
5件のお客様レビュー
冷戦化のベルリンと現代のアメリカを舞台にCIA事務職員だった母と、その過去を全く知らなかった娘が、家族を襲った悲劇の謎を探る。七十年代のベルリンから逃亡先であるパリに着いたヘレン(母)がみずみずしい印象! 「それに女性たち。着ているものより、着こなしに感心する。ポイントはパリの女...
冷戦化のベルリンと現代のアメリカを舞台にCIA事務職員だった母と、その過去を全く知らなかった娘が、家族を襲った悲劇の謎を探る。七十年代のベルリンから逃亡先であるパリに着いたヘレン(母)がみずみずしい印象! 「それに女性たち。着ているものより、着こなしに感心する。ポイントはパリの女性たちの身のこなし、それに「ええ、たしかにわたしはすてきだけれど、それがどうかした?」と言ってるような気怠い表情かもしれない。 シンプルな話だから、ここまで長くなくてもいいんじゃない。肝心の70年代の犯罪が小ぶりな印象だし。3.4
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700ページ弱、一気読み。スパイ小説、しかも女性が主人公と言う事で期待がふくらんだ。時代と地域の違いをしっかり描いてて凄く楽しめた。良いとは思ったが、私的には「戦場のアリス」が今のとこトップなのでこの点になった。
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660ページ。分厚い作品である。内容も決して軽くはない。それなのに、何故かページが進む作品である。原文、訳文が読みやすいとも考えられるけれど、やはりストーリーテリングが秀逸なのだろう。耳に心地よい物語の如く、読んでいて快適な作品なのである。 王道スパイ小説×謎解きミステリー...
660ページ。分厚い作品である。内容も決して軽くはない。それなのに、何故かページが進む作品である。原文、訳文が読みやすいとも考えられるけれど、やはりストーリーテリングが秀逸なのだろう。耳に心地よい物語の如く、読んでいて快適な作品なのである。 王道スパイ小説×謎解きミステリーの合体といったアピールの帯が巻かれているが、その上に加わわった作品の構成とテーマと題材、などのも面白さに推進力を加えた重要な要素なのだろう。 まずは、二つの時代を交互に行き来するという構成の妙。1979年東西冷戦下のベルリンを舞台に描かれた女性情報職員ヘレンが思わぬ暴行と殺人の事実を知ることにより、職を危うくする<過去>。一方で2014年のメリーランド州イースタンショアで起こった夫婦殺人事件を、被害者の娘アンナが真相を追求する<現在>。 とりわけ<過去>のシーンでは、情報局内の置かれていた女性たちの立場の弱さ、あるいは蔓延する性差別がテーマとなる。 暴力的な状況から当たり前のように排出される悲劇たち。これらと叩こうとする駐独、駐仏、米本国の女性三人の苦しいチームワークと挑戦が描かれる。組織対個人。組織対女性、といった構図の中で、ダイナミックなスパイ小説の醍醐味が味わえる。スリリングな冒険小説のように。とりわけパリの街では、クレアの頼もしさが光る。 一方、<現在>の物語では、重度の知的障害を持つ弟が、殺人事件の第一容疑者として収監されてしまう。無罪を信じるアンナは真相の究明に本腰を入れてゆく。<過去>が<現在>にどう関わってゆくのかは、読者だけに与えられるスリリングな楽しみである。 題材として与えられるのは、ザ・ポンド「池」として知られたCIA以前の情報組織を秘密裏に継続しようという裏CIAのようなグループの存在であり、これは歴史的事実から収集してきたものだそうである。グループ名も代表者名も実在の記録をもとにしている。 構成と、テーマ、事実から引っ張ってきた題材。元は国際ジャーナリストとして各国を渡り歩いていたという作者の得意とするところなのだろう。アメリカ諜報史や、女性の権利、など現実の素材を活かした物語の中を、本当に生き生きと活躍する女性たち、そして彼女たちを影ながらも助ける男たちの意気も含めて、何とも頼もしい作品に仕上がった力作である。
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