水使いの森 創元推理文庫

庵野ゆき(著者)

• 販売会社／発売会社: 東京創元社
• 発売年月日: 2020/03/12
• JAN: 9784488524074

商品レビュー

2024/09/18

ずっと探していた続編を入手したため再読。砂漠の国イシヌを舞台に、王女ミイア、水蜘蛛族のタータ、〈式いらず〉ハマーヌ達が成長していく物語、かな？やっぱり面白かった。特に王女ミイアは幼い子供ながら周りを慮り、重要な決断をし、半年ばかりの間に急成長を遂げる。3人の視点で語られる物語は、まだまだ全てが明かされていないと感じるけど、これ一冊でも充分の纏まり。一言ずつ噛み締める様に、ゆっくりと行きつ戻りつしながら極上の読書時間を満喫した。

2024/04/30

水蜘蛛族、見ゆる気こゆる者の一族、イシヌ王家の双子の姉の王女などワクワクする要素がこの一冊にギュっと詰め込まれたお話。ミイアの成長物とも言える。

2024/04/10

創元ファンタジイ新人賞優秀賞受賞とのこと。
オーディブルにて読了。ナレーターは箸本のぞみさん。

水使い、それはこの世の全ての力を統べる者。
水荒れ狂う森深くに棲む伝説の水蜘蛛族の女タータは、砂漠で一人の愛らしい少女を拾う。彼女は〈砂ノ領〉の統治者イシヌ王家の双子の片割れ、ミイア王女だった。
イシヌ王家は末子が後継となる。忌むべき双子はいずれかを殺すという掟を破った女王は、双子を育てるが、姉のミイアは、跡継ぎである妹を差し置き水の力を示してしまう。その力を見た有力者たちは、ミイアを担ごうとし、保守派と対立する。ミイアは自分が国の乱れの元になることを怖れ、独り城を出たのだった。

水蜘蛛の住む森に連れてこられたミイアは、水蜘蛛族で守られてきた丹導術の秘技を目の当たりにする。女が彫り、男が舞う。彫り手として一流のタータのそばで、才を開花させていくミイア。しかしそんな彼女に、水蜘蛛族とミイアの存在を知り、覇権を争う者たちが迫る─。

デビュー作でこれはすごい！世界観がとてもしっかり考えられていて、登場人物もみなそれぞれ生きている。上橋ワールドの影響を受けているような気がする。特に水蜘蛛族がとても魅力的だった。
隠れて細々と伝承してきた水蜘蛛族だが、今回その存在を知られてしまった。抗争の中に巻き込まれていくのだろうか、続きも気になる。