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人魚の石 徳間文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 徳間書店 |
発売年月日 | 2020/03/06 |
JAN | 9784198945466 |
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人魚の石
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人魚の石
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商品レビュー
3.5
11件のお客様レビュー
よくわからなかった。もっと妖しげな幻想小説かと思って読んでみたのだけれど、そうではなくて、むしろ意図的な下世話感に溢れた筆致であった。奇抜な設定に興味は惹かれたが、描かれるエピソードや物語はただ退屈なだけだった。ちゃんと読んでいたつもりなのに、人魚とは何なのか、石とは何なのか、天...
よくわからなかった。もっと妖しげな幻想小説かと思って読んでみたのだけれど、そうではなくて、むしろ意図的な下世話感に溢れた筆致であった。奇抜な設定に興味は惹かれたが、描かれるエピソードや物語はただ退屈なだけだった。ちゃんと読んでいたつもりなのに、人魚とは何なのか、石とは何なのか、天狗とは何なのか、さっぱりわからずに、せっかくの終盤の世界観の転換を堪能することができなかった。僕の理解力の無さなのか、著者の独りよがりのせいなのか、それすらもよくわからなかった。
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一瞬理解できず、理解すると気持ち悪い「何か」が差し込まれ、また投げ込まれる。この「何か」を最初から詳細に言わないことで怖さが増している。 この手の人ならざる存在が登場する作品はややもすればアニメ調の、キャラクターがうるさいだけの駄作になる。文章を読み、頭の中で絵や映像に起こす―...
一瞬理解できず、理解すると気持ち悪い「何か」が差し込まれ、また投げ込まれる。この「何か」を最初から詳細に言わないことで怖さが増している。 この手の人ならざる存在が登場する作品はややもすればアニメ調の、キャラクターがうるさいだけの駄作になる。文章を読み、頭の中で絵や映像に起こす――そんな小説の楽しみが損なわれぬような、文章のテンポやキャラクターの存在感のバランスが本書にはあった。
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かつて祖父母と共に暮らした寺に住職として帰ってきた「私」。庭掃除のついでに池の水を抜くと、そこには真っ白な体をした〈人魚〉が眠っていた。「うお太郎」と名付けた人魚は「お前にはこの山に埋まる〈石〉を見つける能力があるはずだ」と言い、幽霊が封じられた石や嫌いな人間の最期が見える石など不思議な力を持つ石を見せる。心当たりがない「私」は困惑するが、ついには天狗まで現れて「石を探しだせ」と言ってきて……。 西洋の鉱物幻想が硬質で建築的なイメージを持つのに比べて、中国や日本の鉱物幻想はどこか有機的で柔らかさすら感じるのはなぜだろう。どんなに石が巨大になろうと、手のひらで弄ぶことのできる玩具のようなぬくもりをうっすらと感じるような気がする。この小説に出てくるさまざまな石たちも魔力を人に使役されるものとしては西洋ファンタジー的と言えるが、眼球に溶けこんだり卵を産んだりという〈肉〉と同質化する性質を持つのはアジア的なものではないかと思う。 うお太郎によると祖父は石の力を使って寺の仕事を捌いていたというが「私」は全く記憶にない。そこでうお太郎が石の効力をいろいろと教えてくれるのだが、兄の死を先取りして体験させられたり幼少期に見たおぞましい光景を思い出させられたりするわりにぼんやりしている「私」の語り口がくせ者。こういう"見えすぎて鈍い人"とそのせいで集まってくる怪しの物たちというキャラクター造形、少女文化でよく見るものだ。今市子の『百鬼夜行抄』はもちろん、長野まゆみの『左近の桜』シリーズなども連想させる、実は常に夢とうつつの境を歩いている人の目線で書かれた〈奇妙な日常〉系ホラー。本書を漫画化するなら絵柄は漆原友紀がいいなぁ。 などと考えながら読み進めると、うお太郎が〈姉〉の所在を思い出したところから急展開。人魚の木乃伊となってよその寺に収蔵されていた〈姉〉といっしょにうお太郎は失踪、天狗に言われて琵琶湖に向かった「私」はヤグロと名乗る別の人魚に協力してもらいながらうお太郎を探す。再会したうお太郎に祖母が遺した日記を読むように言われ、そこで「私」はついに祖父母と山と石の秘密を知ることになる。 この怒涛の真相パートで一番面白かったのは、人魚といえば誘惑者と相場が決まっているのにも関わらず、はじめにでてくるのがうお太郎なせいでその認識をここまで忘れさせられていたこと。そのおかげで古典的な破滅の物語もこれだけ面白くなる。冒頭で徳じいが話している、弁当屋さんに移住を決めさせてしまった女も人魚なんじゃ?なんて疑うのも楽しい。(中盤まで徳じいが献身的すぎて怪しかったんだけど、やっぱり石で記憶を全部消されてるのかな?とはいえ石の恩恵もそれなりに受けた人だろう) そんなこんなで「私」の幼い頃の思い出は無に還り、祖父母のイメージも変貌してしまうのだけど、それを受け止めるうお太郎は案外カラッとしていて(境遇としてはうお太郎のほうがよっぽど気の毒)、ヤグロさんを含めた三人は不思議と晴れやかな気分で琵琶湖に落ちる夕日を眺める……と、ここで終わりと見せかけてからのオチの切れ味。というか、うお太郎・天狗・ヤグロさんが「私」の元に集まってくる構図に「BLだなぁ」と思っていたら、最後の最後ダメ押しで「やっぱり長命者が人間に異常執着する暗黒BLじゃん!!!」と確信させてもらい小躍りした。映画『ダークシャドウ』のオチを思い出してちょっと笑っちゃったけど。最終的に天狗の石があそこに納められたってことは天狗の狙いも祖父にありそうで、この世代の話が読みたいじゃん!となりました。よろしくお願いします。
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