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結ばれたロープ
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | みすず書房 |
発売年月日 | 2020/02/19 |
JAN | 9784622088813 |
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結ばれたロープ
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商品レビュー
3.7
3件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
1941年にアルジェリアで著者の記憶を手繰るようにして書かれたという、氷の世界の山岳小説。当時の登山には安全な器具やハーネスもなく、ただ麻のロープを仲間と腰に結んで山へ挑んだのだという。実際に作中の山行は過酷で壮絶なものである。特に落雷で熟練のガイドを失い、正気を失った客と二人で最悪な天候の氷の山を下山する羽目になったガイド助手のジョルジュの話の絶望は胸を打つ。絶望の中、まさに命を差し出すようにして、ただ使命感のみを支えにして気の狂った客を山の下へと送り届けるのだ。この下山でジョルジュは両足先を凍傷で失う。 落雷で絶命したガイドの息子である主人公は父の遺体を下山させるために現場に急行するのだが、悪条件の中無茶な登攀をして滑落、頭がい骨骨折の重傷を負ってめまいの後遺症に苦しむことになる。あらすじとしてはこの二人が再び山へと戻り、ガイドを志すことを誓うという青春小説のような感じだ。 この小説は「若者たちを元気づけるような山の話を書いてほしい」と言われて書いたらしいのだが、確かにそういうメッセージのはっきりした、クラシカルで慎ましくも生気溢れる小説だった。最後に「人生は絶えざる闘いであるべきだと思う」と主人公のおじが語るあたり、特にそう感じる。細微に描写される残酷で美しい山、誇りを持った山男たち一人一人の生き生きした描写がそのメッセージを支えているのだ。密度の濃い小説だった。
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父と息子、気遣う母。 図書館の新刊の棚で見つけた「山」の物語。テーマも繰り広げられる物語も実に古典的。なのに、読みだしたらやめられない。よく見ると、1956年、「ザイルのトップ」という山小説として訳されていました。その方面の方には、古典なのでしょうね。今回は石川美子さんの新訳...
父と息子、気遣う母。 図書館の新刊の棚で見つけた「山」の物語。テーマも繰り広げられる物語も実に古典的。なのに、読みだしたらやめられない。よく見ると、1956年、「ザイルのトップ」という山小説として訳されていました。その方面の方には、古典なのでしょうね。今回は石川美子さんの新訳。 オヴァ―・ハングの絶壁に挑む二人の青年のスリル満点の行動と息を飲むほどのうつくしく険しい風景の描写はページを繰るのがもどかしい面白さですね。 それほど読んでいるわけではありませんが、数ある「山小説」の、最高峰かどうかまではわⅬりません。しかし、かなり高いピークであることは間違いないと思いますね。 https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202006090000/
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訳者のあとがきによると、この本は1941年に発表されている、著者はパリで生まれるが、シャモニーに魅せられ移住して山々を歩くうち、有名なガイドに見込まれ自らも高山ガイドとなった。 第二次世界大戦ではナチスにつかまるも脱獄して、探検家として各地を旅する。 同時にフランス山岳ガイド組合...
訳者のあとがきによると、この本は1941年に発表されている、著者はパリで生まれるが、シャモニーに魅せられ移住して山々を歩くうち、有名なガイドに見込まれ自らも高山ガイドとなった。 第二次世界大戦ではナチスにつかまるも脱獄して、探検家として各地を旅する。 同時にフランス山岳ガイド組合の会長も務めた、とあります。 「結ばれたロープは」休戦協定でアルジェリア通信の記者をしていたころ、新聞に連載されたものをまとめたもので、雪と氷の物語は、海と砂漠のアルジェで執筆された、と。 若いころに親しんだ山々がどんな時代でも著者の心のよりどころであったということなのでしょう。 その頃の、ガイド仲間との山行での出来事、ガイドとしての仕事中のエピソード、悲惨な山での事故、そういったエピソードの数々が物語の中に織り込まれ、実在する人たちも名前を変え登場して、そうして生まれたのがこの話です。 書かれてずいぶんの年月が経っていますが、古いということは全く感じられません。 山はもちろん昔から変わりませんし、目の前の山に登りたい、という人々の熱望もいつの時代でも同じだからでしょう。 時折当時の写真が参考に掲載されているのを見て、その服装などで、あぁこの時代の話だったんだな、と再認識するくらい違和感はないです。 元ガイドをしていた著者ですから、その臨場感や細やかな描写は、素晴らしいものです。 雷がだんだん自分たちのほうに近づいてくる気配を感じながら、この岩壁から、一刻も早く少しでも下に降りようとする(こんな時でもお客を優先で)焦る気持ち、自分もその場にいるようで、手に汗握ります。 遭難により生まれたトラウマはやはり山でしか克服できないと、若いガイドが立ち直り、またガイドの登録をするというところで話は結ばれます。 この小説がまた新たに今年刊行された意味が分かる気がします。
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