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地域活性マーケティング ちくま新書1479
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 筑摩書房 |
発売年月日 | 2020/02/05 |
JAN | 9784480072849 |
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商品レビュー
4
1件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
個人的に、まだ頭が働く段階で最終的には生まれ故郷に対して何らかの貢献をしたいと考えていることと、巷で噂の「ふるさと納税」にどこかうさん臭さを感じていたため、一石二鳥の思いで本書を購入しました。 しかし考えてみるとおかしいですよね。 「ふるさと納税」はあくまで税制の一形態なので、それがどうしてマーケティングと結びつくのか?とピュアな視点を持つ読者なら思うことでしょう。 その事情は本書を読み解くと明らかになります。 本書を読んでまず真っ先に感じたのは「著者のまじめさ」です。 話は「ふるさと納税」の仕組み、政策目的とそれに対する実体の分析から始まります。そして誰もがピンと来ているように、そこで表現されているのはこの税制が内在する問題・課題なのですが、著者は結論ありきで論を構成していません。アンケートや統計情報を活用して、あくまで客観的な分析によってそれを結論しています。 私はデータ分析手法や結果評価に明るくありませんから、著者の分析内容の適正さを判断できません。しかしその姿勢に共感します。 だって、皆もうすうす気づいているでしょうが「ふるさと納税」の活用者のだいたいが利得目的なわけです。そんなこと今さら分析などされなくてもおおよそわかっている話じゃないですか。 それでも著者は一つ一つ分析にによってその事実を明確にするわけです。読んでいて頭の下がる思いです。 こういった、様々な分析手法によって客観的に論を構成する姿勢が本書では貫かれています。 そして著者は「ふるさと納税」の問題を指摘するだけでなく、しっかり改善案や追加施策の提案を行っています。これは非常に重要だと思います。 正直なところ、批判するだけなら大学生でもできるんですよね。批判や否定(総じて「アラさがし」)というのは楽な作業なんです。 しかし著者はしっかりと改善案や良い点の伸長策を提示している。そこに無責任さはありません。 内容についても読みごたえがあります。 序盤は主に「ふるさと納税」という仕組みがはらむ問題点の分析がなされます。がなぜ問題があるのか?大きくは2つあると感じました。一つは「税制の理念への背反」、そしてもう一つは「地方産業の弱体化」です。 前者の指摘はなかなか面白いです。「確かにそうだな」と思わせます。 利得目的でふるさと納税を活用されている方が読んだら「そんな理念的な話しちゃって。。。お得なんだからいいじゃん。」と思うでしょうが。。。 端的に言うと、税というは個人の意思とは関係なく「強制性」を持つ制度なわけですが、ふるさと納税はこの強制性(租税法律主義)への背反を公認しているわけです。 さらに、ふるさと納税の対象税目は住民税です。簡単に言うと、そこに住んでもいない赤の他人が、自治体の行政政策を決定する恐れがあります。 後者ですが、一見するとふるさと納税の仕組みは地方の産業の振興に寄与しそうです。 しかし地方産業振興というのは長いスパンで考えないといけません。ITベンチャーとは違います。それを「寄付金」というなんとも心もとない財源に頼ること、そしてなによりも企業側が大した売上促進努力もせずに金が舞い込んでくるという社会主義的な側面が、実際は産業を腐らせてしまう懸念を秘めていることを、本書から感じます。 そして序盤以降は、ふるさと納税を様々な側面から分析し、これをいかに改善すれば地方活性化に有益となるか(もっとわかりやすく言うと、返礼品からいかにリピート購入につなげるか?)のマーケティング論が展開されます。 著者は「ふるさと納税」を悪と捉えているわけではなく、むしろ地方活性化の有益なトリガーだと考えているが故です。しかし現状ではその効果を限定させる多くの問題がある、その指摘、分析、改善の考察が非常に面白いし、勉強になります。 もしも「ふるさと納税」を地方の応援という観点から活用を考えているなら、本書を事前に読んでいると自治体の真剣度がよくわかるんじゃないかと思います。
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