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白土三平伝 カムイ伝の真実 小学館文庫
定価 ¥715
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 小学館 |
発売年月日 | 2020/02/06 |
JAN | 9784094067415 |
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白土三平伝
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本書は漫画家・白土三平氏の評伝になります。僕は白土氏の人生の軌跡をこの本ではじめて知ることになりましたが、父親の影響が非常に強いということと、後半部では房総の人たちとの交流が胸を打ちます。ぜひ一読を。 僕が白土三平の『カムイ伝』を本格的に読んでいたのはちょうど2009年の...
本書は漫画家・白土三平氏の評伝になります。僕は白土氏の人生の軌跡をこの本ではじめて知ることになりましたが、父親の影響が非常に強いということと、後半部では房総の人たちとの交流が胸を打ちます。ぜひ一読を。 僕が白土三平の『カムイ伝』を本格的に読んでいたのはちょうど2009年の半ばのことで、あまり詳しくはかけませんけれど、そのころ置かれていた自分の環境とオーバーラップして読んでいたことを昨日のように思い出します。この本は『サスケ』『忍者武芸帳』などを生み出した、白土三平氏の本格的な評伝となります。 僕はこの本を読むことで初めて白土三平がたどってきた人生の歩みを知ることが出来ました。彼はファシズムと闘う左翼画家・岡本唐貴の子として生まれ、戦時中を権力から身を隠すようにしてすごし、疎開された土地で『アカ』の子として差別を受けるという原体験が後の膨大な作品群を生み続けたのかと思い、感慨深かったことを覚えています。 戦後のモノ不足の中で飢えに苦しみながらも『画家になりたい』という一心で生き続ける白土先生の姿は強く僕の心を打ちました。やがて、売れっ子漫画家の一人に白土先生も名を連ねるのですが、そのときに文字通り『命を削る』ような仕事をしたために、体を壊し、房総で療養につとめる姿。 そこで知り合った漁師たちとの交流は作品を描く上でも新たな豊穣になったという事実は「フィールド・ノート」の2作品を先に読んでいたので、リアルに想像できましたが、『カムイ伝』の中にも魚の捌き方や、登場人物たちの何気ない会話の中に忍ばされているという文章を読んだときに『あぁ、あそこがそうだったのか!』 と僕はひざを打ちました。 僕が白土作品に惹かれるのはそういうことが事細かに書き込まれているからだということを確認できたという意味で、貴重な記録だと思っています。現在も白土先生は房総に自分の住まい兼アトリエにて創作活動に打ち込む傍ら、漁や現地の人たちとの交流を続けているのだそうです。ファンにとってはもちろん。白土作品をはじめて読む世代にも読んでいただければと思っています。 【追記】 本書は2020年2月11日、小学館から『白土三平伝 カムイ伝の真実 (小学館文庫)』として文庫化、再販されました。
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単行本刊行から9年も経って今年2月やっと文庫本が出た、ということを最近知った。白土三平研究という分野がもしあるとすれば、唯一の伝記評伝である本書を今さら出すのか、とも思うが、ちょっとした未収録文書もある決定版である。毛利甚八さん(名作「家裁の人」原作者)が急逝して5年経つ。もはや...
単行本刊行から9年も経って今年2月やっと文庫本が出た、ということを最近知った。白土三平研究という分野がもしあるとすれば、唯一の伝記評伝である本書を今さら出すのか、とも思うが、ちょっとした未収録文書もある決定版である。毛利甚八さん(名作「家裁の人」原作者)が急逝して5年経つ。もはや、白土三平翁からこれ以上のことを聴ける人物は存在しない。毛利甚八自身の再評価も、されるべきだと思っている。 父親でプロレタリア画家の岡本唐貴の人生をなぞるかのような白土三平の人生、そして仲間や白土三兄弟が欠けても次々とマンガが生まれる人生は、名作「忍者武芸帳 影丸伝」や「サスケ」の内容と被っている、ということは既に書いた。だとすれば、まるで影丸のように誰ひとり知られることなく有名漫画家白土三平が今年や来年に亡くなっていたとしても、わたしは全然驚かないだろう。(どう被っているのか、詳しくは、単行本「白土三平伝」(小学館)「岡本唐貴自伝的回想画集」(東峰書房)のマイ書評を参照してください) ここでは、新たに加わった文章その他に対する私の感想を述べたい。 毛利甚八さんは「白土三平フィールドノート」を連載していた頃の雑誌「ビーパル」のライターとして、白土三平と知り合う。そこで「影丸伝」の影丸の顔のモデルは、ロシア画家が農民一揆の指導者・ステンカ・ラージンを描いたものを参考にしたと聞き出している。 「全共闘の若者が『忍者武芸帳影丸伝』や『カムイ伝第一部』に圧倒されたのも(そして後にはその重苦しさに反発していくのも)、権力とはなにかを問い続け、その姿を執拗に描いていく白土三平の動機が、学生たちとは比べものにならないくらい切実で、それを見極めたいと願う心が学生たちよりもはるかに純粋だったからだろう。なぜなら、白土三平(岡本登少年)にとって、権力とは想像上の概念ではなかった。その目から逃げまどう対象として、父に怪我をさせた当事者として、彼が物心ついた時から実在する怪物だったのだ」(216p) 白土三平の描く権力の巨大さや強かさは、『カムイ伝第二部』でも出てきている。 毛利甚八さんは神話伝説シリーズの『サバンナ』や『バッコス』を大きく評価している。同感である。いつか再読したい。 「『カムイ伝第三部』への展望」という一章がある。ここが今回文庫本に新たに付け加えられたようだ。「白土流のユートピアの総決算が、読者諸兄の前にあらわれることになるはずだ」と著者は勿体ぶって書いているが、新しいことは一つもなかった。そもそも、わたしは第三部は絶対に現れないと思っている。影丸一族は、白土三平1人を残してみんな霧散霧消した。圧倒的な画力を持っていた弟の岡本鉄二もいなければ、次々とアシがプロとして独立していった後のスケジュールを調整すべき弟のマネージャーも既にいない。11年前に白土三平は試しに独力でカムイ外伝の中篇を描いてみたが、デッサンは狂っているは、ストーリーは以前の物語の焼き直しで尚且つ新しい試みも一切なかった。当然この80pほどの作品「カムイ外伝 再会イコナ」は未だ単行本化されていない。白土三平の漫画は、ストーリーと画を総合的に統一して作るものだった。その総合力が既に破綻しているのである。第三部への構想は何処かにあるのかもしれないが、いくら画力のある者が見つかっても、赤目プロがそれを描くことはないだろう。 今回加筆部分含めて再読して、著者との気まずい別れからの仲直り、元アシ小島剛夕との和解部分は、改めて感慨深く読んだ。著者は書く。 「思えば、筆者である私が一匹狼として生きてきたために、私は白土三平の、組織のリーダーとしての一面を書き落としてきた。自分の印税で「ガロ」を創刊し、多くのマンガ家をデビューさせたことも、講談社児童まんが賞の審査委員として水木しげるや永島慎二、石森章太郎の受賞に力を尽くしたことも、白土さんが岡本唐貴から受けついだ家長の性質からくる「優しさ」や「包容力」の表れ。しかし、白土さんが自慢話を嫌がることもあって、私はそれを充分に書いていない。「白土三平は、なんてカッコイイ男なんだ」私は79歳になった白土さんに、あらためて目を瞠ったのだ」(241p)白土三平は、今年喜寿を過ぎたという(今年4月に喜寿記念の短編集が出ていた)。 リーダーや家長としての白土三平と、マンガがどうリンクしているのかは、私の書評もいくらかは追い求めた。もっと詳しいことは、やがてくるであろうXデーを機に大いに研究されるだろう。そうでなくてはならない。そうではなくては、白土三平を中心として世界史的に異質に発達した日本の初期劇画の本質がわからないままになるからである。私自身の課題としては、「カムイ伝第二部」の再読・再評価を早々に終わらせなければならない。
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プロレタリア画家の息子として生を受け 田舎での暮らしなど、 白土三平がいかにして形づくられたかを 克明に追っている。 著者の創作者としての視点が補助線に なっていてとても読みやすい。 あらためて白土三平作品を通読したくなった。
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