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奇術探偵 曾我佳城全集(上) 創元推理文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 東京創元社 |
発売年月日 | 2020/01/22 |
JAN | 9784488402242 |
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奇術探偵 曾我佳城全集(上)
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商品レビュー
3
2件のお客様レビュー
奇術をベースに書くのは難しいのではと思ったけどもともとそっち方面の方だったんだな。 種明かしもされていたりしてちょっと楽しい。
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・泡坂妻夫「奇術探偵 曾我佳城全集」上下(創元推理文庫)を読んだ。何しろ私はミステリーを知らない。泡坂妻夫を読んだことがない。曾我佳城などといふ奇術探偵も知らない。ただ、全集好きであるがゆゑに全集とつく書に弱い。本書は正にそれである。しかも女流探偵である。これは読まねばなるまいと...
・泡坂妻夫「奇術探偵 曾我佳城全集」上下(創元推理文庫)を読んだ。何しろ私はミステリーを知らない。泡坂妻夫を読んだことがない。曾我佳城などといふ奇術探偵も知らない。ただ、全集好きであるがゆゑに全集とつく書に弱い。本書は正にそれである。しかも女流探偵である。これは読まねばなるまいと思つてしまつたのが運の尽き、買つて読むことにしたのである。本書には上下各11編づつ、計22編集 録、'80から20年にわたって書き継がれたものを発表順に並べてある。登場人物も成長する。さういふ点も含めて、ミステリーといふものを知らない人間もおもしろく読めた。 ・巻頭の一作「天井のトランプ」は主人公曾我佳城登場の巻である。天井に貼りつけられたトランプから始まる。誰が何のために貼りつけたのか、最初はこの謎解きである。これはすぐ分かる。そして殺人事件である。「小岩の羅生門坂にあるスナックバーで人が殺されました。」(28頁)その天 井にカードがあり、その意味が分からない。容疑者3人、アリバイなし。手がかりは天井のカードのみ。それを最後は佳城が解決する……のか、たぶんさうなつてゐる。ここで佳城は 「中年だがびっくりするような美人」(39頁)で、「中高で黒い眸が大きく、下瞼のふくらみに艶美な匂いが感じられ(中略)そのまま映画のスチール写真にでもなってしまいそう」(同前)な女性として描かれてをり、もちろん「女流奇術師だった」(46頁)と紹介されてゐる。その佳城のここでの謎解きはといつても、これがあまり印象的ではない。言はばTPOを心得て登場して事件を解決してゐるのだが、颯爽と登場して鮮やかに事件を解決するのとは違ふ。どこか影が薄いのである。これを米澤穂信氏は下巻の解説で、「佳城はあたかも水鏡のようだ。」(504頁)しかし「佳城自身がくせのある挙動をしなくとも、曾我佳城の存在感は読む者の胸に深く残る。」(505頁)と書く。さうか、では影は薄くないのだと思ふ。私はコナン・ドイルのやうな昔風の名探偵しか知らないからさう思ふのであらう。現代の探偵はあんなものではないのであるらしい。さう思つて適当に読んでみる。第二作「シンブルの味」は奇術用のシンブルを隠さずに飲み込む話である。それだけの技術がないから飲みこむのである。これがポイントである。さうして殺人事件である。佳城はシンブル飲みを見破つてゐる。その延長上で事件も解決する。ここでの佳城は饒舌である。最後の「シンブルなど入っている胃袋は、世界中探しても云々」(91~92 頁)まで事件を語り続け る。第三作「空中朝顔」は変化咲き朝顔の話である。ここでの主要登場人物は2人、秋子と裕三である。事件は起きない。佳城は朝顔の鑑 賞客として出てくる (96頁)。これなどは「水鏡」とさへ言へない。佳城物だからその女性が佳城なのであらう。佳城を出すまでもないやうな気がする一作である。このやうに見ていつたらきりがない。個人的には、佳城の影は濃くないと思ふ。いや、ひかへめといふべきか。しかし、その推理は鋭い。表には出てこないが、事件は分かつてゐる。ある時は雪の温泉旅館に五月女といふ名で勤めて(?)ゐたりする(下197頁)。そこで事件を解決する。「湯の花が浮くほど硫黄分が多い」 (221頁)温泉がポイントである。奇術ではない。しかし、分かつてゐるのである。かういふ女性だから確かに魅力的であらう。解説でも佳城に「会えたこと を心からよろこんでいるさまは云々」(505頁)とある。さう、やはり佳城はシリーズの主役である。ヒロインたる者、美しく、かつ聡明であらねばならぬのだと改めて知つた次第。
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