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フロム・ザ・フラッド 浸水からの未知なるもの
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | グラフィック社 |
発売年月日 | 2020/01/09 |
JAN | 9784766132281 |
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フロム・ザ・フラッド
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商品レビュー
5
4件のお客様レビュー
ループの続編。 あわせて、エレクトリックステートを再読。 懐かしいガジェットに有機体が絡みつく姿は気味が悪いものだが微笑ましくもある。 異界からの水に沈むというモチーフは、氷河の国だからか、クリスチャンだからか。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
スウェーデン発のパラレルワールドSF 絵物語 〇シリーズ作品で『ザ・ループ』→ 本作 →『エレクトリック・ステイト』 2巻から、読んでしまった…。 〇写真と見紛うばかりのイラスト 〇ディストピアだけど開放感のある世界 ←少年が主人公だから? 〇物語は、絵と文と読者の脳内補完でぴちぴちと広がっていく 〇“流れ者”たちのイラストが断トツ好きだ! 〇レトロな小物、無骨なロボットや機械 ノスタルジーを感じる ・1990年代のスウェーデン、ザ・ループ閉鎖後、奇妙な出来事が日常だった。 メーラルウェーの浸水からを“ぼく”(小学校6年生?)の日記風に綴っていく ・茶色く冷たい水が町を浸水していく ・復旧作業とぼくたちの日常 ・ザ・ループにつながるハッチ ・“流れ者”たち ロシアからのAI大虐殺を逃れてきたロボット難民たち ←子どものような眼差しのアウトサイダーたち リサイクルを逃れて、生き残ったものはいるのかな ・ペガサスB51星の海で繁殖する宇宙バクテリア ←企業のミスと隠蔽 ・機械癌 ←不吉な予感。ホラー。 ・逃れる。再生。成長。
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『変化は、社会をゆっくりと、でもどうしようもなく前進させるダイナモで、過ぎ去った日々はますます謎と神話に包まれる。そのダイナモは一方向にしか回転しない――背後の霧の中に消えゆく土地に戻る切符はない。ぼくたちの世界と過去をつなぐ唯一の通路は、ぼくたち自身の無意識の奥深くに埋もれ、想...
『変化は、社会をゆっくりと、でもどうしようもなく前進させるダイナモで、過ぎ去った日々はますます謎と神話に包まれる。そのダイナモは一方向にしか回転しない――背後の霧の中に消えゆく土地に戻る切符はない。ぼくたちの世界と過去をつなぐ唯一の通路は、ぼくたち自身の無意識の奥深くに埋もれ、想像力と記憶との間のぼんやりした境界のどこかにある。いまお見せしたいのはそれだ』―『はじめに』 『ザ・ループ』でぼんやりと感じたこと。作家シモン・ストーレンハーグが作品に込めた意味について思っていたことが、いきなり物語の主人公(という設定)であるシモン・ストーレンハーグの言葉によって形が与えられる。やはりそうだったのかという思いと、はっきりとは描かれない出来事が漂わせる不穏な空気に当たってひんやりとする思いとが交錯する。 『ザ・ループ』の語り手であったシモンの過去への振り返りでは、日常の延長上に存在する巨大プロジェクトの残滓が圧倒的な存在感を示しつつも無機質なものとして記憶のスケッチの題材ように描かれていた。その記憶の断片の中の少年も幾分成長し、思春期の入り口に差し掛かる。友人に面皰ができた逸話や大人ぶろうとして行う飲酒・喫煙などへの言及が自然と前作からの時間経過を認識させる。 一方、冒頭からループを起因として不可思議な現象が次々と起こったことが淡々と告げられる。甚大な被害と言ってもよい出来事は、まるで小さな台風による非日常的気象を観測しただけのような記述に留まる。しかし、動きの無かった無機質の機械(既に「たちは」と擬人化して語りたくなる気持ちにさせられている)やループが静かに始動し、ただのモノから変化してゆく状況がはっきりと語られ、その神話的役割の色が濃くなった印象を残す。 ロシアから逃亡してきた人工知能搭載の人型ロボットや、ループから吐き出される海水に似た成分の謎、無機質の機械と有機物の奇妙なキメラ的融合、更には何の説明もなく投げ込まれる若い男女の密会の場面(と、その背後で稼働中の装置から湧き出る高粘性の液体)など。幾つもの物語の端緒らしきものに満ちつつ、『フロム・ザ・フラッド』は、ループのコンクリートによる密封と朽ちるに任せてあった残骸の撤去に政府が取り掛かり、かつての日常が戻りつつある状況が告げられ、束の間の陽光に満ちたシーンで終わる。しかし、この後に起こる地磁気の逆転とその余波というような大きな出来事はまだ語られていないし、この物語がこれで大団円でないことは最後の頁に記されている通り。 『岩盤の奥深いどこか、国がその放射性廃棄物を保管し、機械だけが働くところに、いまやコンクリート詰めのエコー球が果てしなく並ぶ。もしぼくたちが放射線で焼き尽くされることなくそこに留まれたなら、そしてその球に耳をあてることができたら、それが聞こえたかもしれない――その中にいる何かの、落ち着かずにまどろむ不安な鼓動が』 本の題名が告げるような「何か」については、まだ何も語られていない。 『エレクトリック・ステイト』の幾つかのシーンを連想させるポップアートのバルーンの不気味さ、解体されたボーナの冷却塔とよく似た電線塔との関係、整然と並ぶ巨大な高圧電線施設群と無線電信用の電波塔の意味。主人公たちがのめり込むオンラインゲームや、禁断のループへのアクセスなど、本当に大きな出来事が起きたのはこの後であるという予感だけを頼りに、読者は物語の探索路を進まなければならない。 そして、山形浩生による解説は同世代にとって正に「そうそう」と言いたくなるような要素への言及もあり共感すること頻り。
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