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雲 海外文学セレクション
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雲 海外文学セレクション

エリック・マコーマック(著者), 柴田元幸(訳者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 東京創元社
発売年月日 2019/12/20
JAN 9784488016746

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商品レビュー

4.3

25件のお客様レビュー

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2025/07/22
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※このレビューにはネタバレを含みます

いかにも面白そうな出だし、どんどん読み進めたのだけれど、最後まで読んで読み終えて何の感動もなかったな。それがちょっと残念。 現在から始まりスコットランドのスラム生まれ(とはいえ事故で両親を亡くすまでは幸せな生い立ち)の語り手が不思議な運命に導かれて世界中を旅する、まあある意味サクセスストーリーではあるのだけれど。 重要な要素のひとつに異母兄弟。ひとりではなくて複数の人間のやらかし。この異母兄弟に抱く幻想?は男性特有のものだよなと思った。まあ、この話に出てくる異母兄弟はみんな良い人だけれどね。 最後に精神病患者とのあいだに子供が出来たのでは?と恐怖する語り手、いやそれあんたのスケベ心が悪いんだから。バチ当たったな。

Posted by ブクログ

2025/05/29

グラスゴー近郊のスラム一歩手前の地域で育ったハリーの半生をたどる不思議な読感の本。ハリーは必ずしも自発的に行動するタイプではなく、どちらかというと巻き込まれ型の男。恋に敗れて逃げながらも、その記憶を何度も反芻する。必ずしも望んでいなかった仕事につき、望んでいたとはいえない結婚をし...

グラスゴー近郊のスラム一歩手前の地域で育ったハリーの半生をたどる不思議な読感の本。ハリーは必ずしも自発的に行動するタイプではなく、どちらかというと巻き込まれ型の男。恋に敗れて逃げながらも、その記憶を何度も反芻する。必ずしも望んでいなかった仕事につき、望んでいたとはいえない結婚をし、それでもその一つ一つに誠実であろうとしながらまた他人に巻き込まれる。暗くて陰鬱に描くこともできたのだろうが、あちこちでふわふわした救いが漂う。短い描写で深みのある情景を描く技量がすごい。

Posted by ブクログ

2024/07/01

南米で『黒曜石雲』という古書を手に取った「私」は、そこにスコットランドのダンケアンという地名を発見して驚愕する。それはかつて「私」が逃げるように立ち去った場所だった。一人の男の半生記に奇妙で不条理なエピソードを散りばめた、著者の集大成的な長篇小説。 マコーマックによる果てしな...

南米で『黒曜石雲』という古書を手に取った「私」は、そこにスコットランドのダンケアンという地名を発見して驚愕する。それはかつて「私」が逃げるように立ち去った場所だった。一人の男の半生記に奇妙で不条理なエピソードを散りばめた、著者の集大成的な長篇小説。 マコーマックによる果てしない自己言及の物語。自作のパロディや再話がふんだんに入っていて、マッドサイエンティストがでてきたり南国に対するエロティックな妄想が爆発していたりと『パラダイス・モーテル』『隠し部屋を査察して』の要素が踏襲されていながらも、訳者あとがきで柴田さんが言うとおり、ビザールな悪趣味だけじゃない温かみを感じられるのが今までと違うなと思った。 すでに成立している男女ペア+語り手(男)という三角関係が何度も繰り返されるのは、語り手が孤児になったことと関係があるのかな。「本当の愛」を問い続ける語り手はずっと精神的に幼く、二人組のなかに招かれながらもペアが抱える秘密は共有してもらえずに子どものような扱いを受ける。ダンケアンでの大失恋がかなりリアルな事情(「こいつは父の介護に耐えられない」という見切り)だったり、最後には「本当の愛」というロマンティシズムの裏の無責任さが暴かれたり、精神的に成熟できなかった男の話だと思う。 でも語り手のパーソナリティなんか本当はどうでもよくて、ヒゲの先を二つに分けて鈴をぶら下げてる医者だの、全身植物の刺青が入っている女たちだの、挿絵をどこまで拡大しても細部が精緻に描かれている豆本だの、次から次へと開陳される奇想の連鎖に身を任せるのがマコーマックの楽しみ方だろう。この人は人類学者と作家とマッドサイエンティストを同類とみなしているんだと思う。観察し、分析し、書くことで対象から安全な距離を取る簒奪者たち。 黒曜石雲と黒い雨は、インクによって書かれ、読者に覗き込まれている世界のメタファーなのではないか。私たちは自分が誰かの手で書かれた物語の登場人物なのではないかと空を見上げて悟る日がある。だが、すぐにそんなことは忘れて日常に戻っていく。『黒曜石雲』を起点として紡ぎだされる「私」の人生も、雲の形のように意味を見いだそうと思えば見いだせそうなそうでもないような、座りの悪いエピソードの連なりだが、その説明のつかなさこそが現実に似通ってみえるのだ。

Posted by ブクログ

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