あらすじで読む霊界物語 文芸社文庫

飯塚弘明(著者), 窪田高明(著者), 久米晶文(著者), 黒川柚月(著者)

• 販売会社／発売会社: 文芸社
• 発売年月日: 2019/12/05
• JAN: 9784286209562

商品レビュー

2019/12/17

以前、大学受験生で、出口汪という名を知らない人はいなかった。現代文の予備校講師で、カリスマを持っていると言われ、大学受験界に絶大的な影響を持っていた。氏は、その後、大学受験から少し距離を起き、論理的思考法、論理的読解法を武器に、ビジネス書を発行したり、小学入学前の簡単な論理パズルや入学後の漢字、ことわざの習得を目的にした学習プリントや、ご自身でも小説を何作か書かれている。かなり多才な印象というか、日本の教育界に並々ならぬ問題意識を持っているなという印象だった。

十数前に直接氏からＳＰＳという予備校で現代文を教えてもらっていたので、今でも大きな影響を自分に与えてくれた。

出口王仁三郎は、出口汪氏の曽祖父で、
知る人ぞ知る日本最大の新興宗教だった大本の発展に一番寄与した人物である。

霊界物語に関しては名前こそ知っていたが、
まさかこんなとんでも長い本とは、思ってもみなかった。この著作は、スラスラ読める霊界物語ではないが、要点をかいつまんで紹介してくれている。
一人の人間が、これだけの量の著作というか、作品というか、宗教書を残せるのかと思うほど、話しは長く壮大である。

出口汪氏も何かのインタビューで曽祖父について語っていたが、氏は教育者として、既に名を知られ、日本の教育問題に関して、非常に鋭い問題意識を持っている。教育者として、氏より書籍という形で出版した人はいないだろうと思う。数百冊はくだらなく、結構な著作は、ベストセラーになっている。

出口王仁三郎は、独特な論理を展開して、
宗教界に多大な影響を与えたが、出口汪も、
ある意味引け取らず、出口式論理思考法、読解法で、教育界に影響を与えている。「全ての答えは、文章の中にあります」が、氏の口ぐせという、ある見方では、思想を表していると思う。日本人は、何かに答えを求める傾向があるが、そんなものは、ない、自分自身で見つけなくてはいけない、そんな考え方が、一言で表されていると思う。出口王仁三郎は、また違った表現を使っているだろうと思う。日本が生んだ巨人の軌跡を手軽に味わえる本書は、買って損はないと思う。