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悪の脳科学 集英社新書
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 集英社 |
発売年月日 | 2019/11/15 |
JAN | 9784087211009 |
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悪の脳科学
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商品レビュー
3.4
38件のお客様レビュー
脳科学的にみると『笑ゥせぇるすまん』は如何に人は堕落しやすいかを見事に漫画にしていて素晴らしいかという解説。彼女の独自の見解というより脳科学分野ではこう解説できますよ、というなんだか熱量の感じない一冊。彼女の本は初めて読んだが、世界に引き込ませる文章を故意に避けているのだろうか。...
脳科学的にみると『笑ゥせぇるすまん』は如何に人は堕落しやすいかを見事に漫画にしていて素晴らしいかという解説。彼女の独自の見解というより脳科学分野ではこう解説できますよ、というなんだか熱量の感じない一冊。彼女の本は初めて読んだが、世界に引き込ませる文章を故意に避けているのだろうか。が、しかし!!最後の藤子不二雄A先生との対談は、『笑ゥせぇるすまん』の構想が知ることが出来、非常に面白かった。 少しつまらなく感じてしまったのは、ちょっと前に茂木健一郎の本を読んで、内容も楽しかったのと、本当に書きたくて伝えたくて書かれたんだろうなとユーモアもたっぷり、彼の人柄もこんな素晴らしい人なんだ、知らなかった!とワクワクしながら読んだ脳科学本のせいかな(笑)
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何故か笑うせぇるすまんが好きだった子供時代の私。結局、喪黒福造の目的はよくわかっていなかったけど、とにかく何ともいえない恐ろしさが印象に残っていた。 その恐ろしさの理由がこの本を読んで解明された感じです。脳科学って面白い
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人は誰しも心にスキマを持っている。自分は完全だと自信をもって言える人などそう多くはなく、寧ろ少しぐらい怠け者で嘘や冗談に翻弄され、月曜がブルーになる方が人間的だ。誰しもそんな自分を認めて曝け出そうとはしないから、周囲から見るとあの人は自制心があり立派な人だ、と思われる人もいるだろ...
人は誰しも心にスキマを持っている。自分は完全だと自信をもって言える人などそう多くはなく、寧ろ少しぐらい怠け者で嘘や冗談に翻弄され、月曜がブルーになる方が人間的だ。誰しもそんな自分を認めて曝け出そうとはしないから、周囲から見るとあの人は自制心があり立派な人だ、と思われる人もいるだろう。実際にその様な人間でも、面倒くさがりな一面や他人の不幸にほくそ笑む様な瞬間があるのではないか。人は完全では無い。虫や草と違って人には心があるから、心も完全では無い。 本書は昔懐かしい藤子・F・不二雄先生の「笑ゥせぇるすまん」を題材に、その様な不完全な人間の心理を例に挙げ、それに陥る心の構造を紐解いていく内容だ。 私もリアルに「笑ゥせぇるすまん」を観てきただけに、当時の事を思い出しながら、大人の世界の怖さを感じたのを覚えている。アニメや漫画をほとんど読んでこなかったせいもあってか、唯一どハマりした「ドラえもん」と同じ作者でありながら、夢と希望に溢れる世界観とは全く異なる、どこにでもありそうな日常が舞台となる事に、非常に衝撃を受けた。確か記憶だとバラエティ番組の中のコーナーとして放映されていた様に思う。兎に角感じたのは、人間って誰もが弱く、大人になると(会社勤めすると)自分はやっていけるかなという不安だった。これは勿論作者の狙いからは大きく外れていると思うが、あの独特の風貌の喪黒福造と1話ごとに変わる「心にスキマを持つ」ターゲット、そして「ドーン」と言う掛け声の先に続く破滅、これらが人格形成途中の私に与えた影響は少なからずあった様に思う。 本書は脳科学者の筆者が、同漫画のわかりやすい人間の不完全さを挙げていく。それらは人間が生きるために必要な、生存本能に近い脳が原因と紐解く。生命維持に必要な体の臓器は、その機能を生きるための必要要素に絞り、死ぬまで同じ機能を果たすのに対して、脳は環境に上手く適用するために、敢えて不完全(考える余地)を残していると言うものだ。人はこの余白部分に闇や光などからなる感情を持ち、ここを揺さぶられると脆さを露呈する。 喪黒福造はこうした闇を抱えるターゲットに心理学的に相手と共感性を持たせる「ラポール形成」というテクニックで近づき、自身の支配下に置いていく。その先は常套手段となっている、相手を上げて落とすというパターンで、ターゲットは最終的にはほぼ不幸のどん底に突き落とされるのだ。しかしこれはターゲットに対して不条理な暴力や強制のみでなされるものではなく、ある一定の条件を付け、それをターゲットが守らないと不幸になるという、あくまでターゲット自身の強さに委ねられる。ここがこの漫画が本当に言いたかった事だと思うが、ターゲットは怠惰や欲や逃避などの人間本来の生存本能から出る感情に動かされ見事に約束を破る=破滅していくのだ。これを反面教師と捉えられるかで見方は変わってくる。本書の筆者は心理学的に回避が非常に難しいことを理解しつつ、これを知ることで少しでも回避する技術を我々に教えようとしているのかもしれない。 後半は騙されやすい「人間」が持つ脳の構造の理解と、ささやかな回避策についても触れていく。結局多かれ少なかれすべて回避するのは難しい。余程の感情が無い人間か、もしくは世の中全てを疑い、無人島暮らしのような孤独を好む人間以外はどこか必ずスキマを持ち、最後に頼れるのは自分の脳だけだ。認知症治療も年々発達していき、その原因物質や陥りやすい行動も解明されてきた。だが完全に回復する事が難しい中で、いかにこの対策の要である脳を維持できるか、恐怖は消せなくとも、こうした騙しの構造を知る事はおおいに役にたつ。
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