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傘寿まり子(11) ビーラブKCDX
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傘寿まり子(11) ビーラブKCDX

おざわゆき(著者)

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傘寿まり子(11) ビーラブKCDX

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 講談社
発売年月日 2019/11/13
JAN 9784065176542

傘寿まり子(11)

¥440

商品レビュー

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2020/01/10

「申し訳ないけどさっきのプロットより数百倍面白い!それで小説書いてくれないしら?」 後ろで殺人計画が練られているのを聞いたまり子さんの一言。 今回は小説家としての才能の多寡や同業者へのコンプレックスに焦点をあてた話。 若い頃の佐野先生が黒髪クール眼鏡のインテリ美青年でめちゃくちゃ...

「申し訳ないけどさっきのプロットより数百倍面白い!それで小説書いてくれないしら?」 後ろで殺人計画が練られているのを聞いたまり子さんの一言。 今回は小説家としての才能の多寡や同業者へのコンプレックスに焦点をあてた話。 若い頃の佐野先生が黒髪クール眼鏡のインテリ美青年でめちゃくちゃタイプ!うっかり爺BLに目覚めかけた。 進藤先生への憎悪には何でそこまで……と引いていたが、回想で彼の過去がわかると、「ああ……」と哀しくなる。 自分がリードしてた(と思い込んでた)相手に抜かされる屈辱と焦り、ずっと見下してた相手が脚光を浴びてるあいだ燻り続ける苦悩…… 天然の天才はいつだって無邪気に秀才を殺しにくる。 正直佐野先生の気持ちはよくわかるので、私にはどちらが正しくて間違ってるか言えない。 世間に媚びず自分の書きたい作品を追求する佐野先生も、決して間違ってはいない。そんな自分を曲げない佐野先生の作品が、進藤先生は大好きだったのだから。 「バカでもいい バカに添う努力をしろ!!」 だからこそ、編集者の言葉が刺さる。 傘寿まり子は高齢者が直面する様々な問題を扱う話だが、クリエイター論としても秀逸。 売れる小説家と売れない小説家、書ける小説家と書けない小説家……そんなタイプ別の小説家が対比され、彼らの苦悩が掘り下げられることで、書くことと生きることが等価の人生の意味を考えさせられる。 今巻では蝶子と進藤先生のラブコメにも注目。相変わらずパワフルで自分に正直な蝶子と、そんな彼女に呆れながらもまんざらでもない進藤先生が微笑ましい。 一方で、定年退職後に居場所を失った男性の孤独も描かれる。 「察してもらう人生って気持ちよかった?」 「こっちの気持ちを考えなくていい夫婦生活 楽しかった?」 まり子さんのほわっとしたキャラやコミカルな掛け合いに和んでいたら、こんなグサリとくるセリフを突き付けられるのも本作の魅力。 佐野先生にパシリも同然に軽んじられていた森崎氏が、家庭では奥さんを軽んじて雑に扱い、定年後にその報いを受ける。この構造は世界中どこにでもあって、人はみな近い距離にいる人にほど敬意を払い忘れがちだ。 たとえば夫婦とか、家族とか。 そして敬意を払われるのが当然と思っていた佐野先生は、次第に敬意を払ってくれなくなった世間を逆恨みし、劣等感にこじれきった哀しい年寄りになってしまった。 この先佐野先生と進藤先生の和解はあるのだろうか? 叶うことなら二人がレトルで同時連載する未来が見たい。

Posted by ブクログ

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