河童の日本史 ちくま学芸文庫

中村禎里(著者)

• 販売会社／発売会社: 筑摩書房
• 発売年月日: 2019/11/07
• JAN: 9784480099594

商品レビュー

2024/07/11

河童のイメージの中にキリシタンがいるのは知らなかった。髪型は勿論の事、キリシタンが熱心に活動した九州のエリアで河童の目撃談が特に多い。
「河童聞合」を福岡や大分の地図も照らし合わせ、解説している章。自分でもGoogle Mapsで検索してみて、あ！ここが人間と河童が相撲を取った所か？などと楽しませてもらった。ここではナルコレプシーにも触れていて、ストレスなどでナルコレプシーを発症し、その中で河童と相撲を取るなどの幻覚が見えたのでは？という可能性も提示している。
話が前後するが、河童は近世になって登場したものであり、その前史である水や海に関するモノ(わに、摩竭魚、ヘビ、エビス)にも触れている。
河童登場後は馬引き、相撲、手切り、手接ぎ、胡瓜などの好物と彼らが嫌うもの(金物・仏具)など一つずつ丁寧に検証していて、ためになる一冊。

2020/02/09

　河童がいるかいないかではなく、河童の元になった生物や、河童の好物や特殊能力はどんな生物や、伝承から変遷していったのかを文献を元に筆者が考察していく。
　河童の絵も豊富に載っており、これもどの絵が元になり、どれがどの絵を元にしていったのか等考察されている。
　個人的に興味深かったのが、河童が腕を返してもらう代わりに伝えたという腕継ぎ薬の伝承の参考として、実際に伝わる腕継ぎ薬の成分が載っていた点である。
　後世に残されていたということは、それなりに効果があったということだろうから、この成分で治った人もいるのだろうが、現在からは考えられない材料で、人間は意外としぶといものだという感想を抱いた。