産業集積のダイナミクス ものづくり高度化のプロセスを解明する

日置弘一郎(著者), 大木裕子(著者), 波積真理(著者), 王英燕(著者)

• 販売会社／発売会社: 中央経済社
• 発売年月日: 2019/09/26
• JAN: 9784502299919

商品レビュー

2020/04/12

i構想の実現に向けて、不足するピースを把握したく読んでみた。

ポーターによれば、産業集積に必要な要素として、①要素条件（投入）、②需要条件、③企業戦略・競争、④関連産業があげられる。代表的なクラスターであるシリコンバレーでは、①スタンフォード大学による世界中からの優秀な人材集合・育成、官民から様々な資金流入、人材が定着しやすい生活環境②世界中の企業がシリコンバレーの一流技術・サービスを求めている、③競争と協調が起きていて、ピアレビューがある、人材の流動性が大きい、④多数の関連産業が集まっている。

成功するクラスターの要件として、①技術者スピリット（職人魂）を持つリーダー、②専門家同士のピアレビュー、③顧客の鑑識眼、④技術者の感性（美的センス、情操教育）があげられる。

産業クラスターの実現に必要なことは、上記を有するビジネスプロデューサーの機能である。経営資源を集めて、製品・サービスをデザインし、リスクをとって販売しきるまでをやりきる存在。シリコンバレーでいえばアップルやシスコ等があげられる。

i構想に照らし合わせると、
 人：優秀な人材が少ない、育てる機能が少ない
 金：リスクマネーを投じる民間機関が少ない
 生活環境：定着する生活環境が乏しい、
 ネットワーク：ピアレビューが起きるような関係性がなく、情報交換等の協調が起きていない、オープンイノベーションの場もない
 ビジネスプロデューサー（リスクをとって販売）：リスクをとって販売するビジネスプロデューサーもいない