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幽玄の絵師 百鬼遊行絵巻
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2019/09/19 |
JAN | 9784103528517 |
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幽玄の絵師 百鬼遊行絵巻
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商品レビュー
3.7
6件のお客様レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
【収録作品】風の段/花の段/雨の段/鳥の段/影の段/嵐の段/終の段 室町時代、八代将軍足利義政の治世で起こる怪異を、お抱え絵師・光信が調査する。彼は人の眼には見えない妖を見ることができた。 とはいえ、怪異と対決・退治するわけではない。事情を知り、絵の力などで解決に導くが、どちらかというと観察者・記録者という感じの立ち位置。人の世のことは人が起こす。トップが絶望した人間の場合、誰がただせるのだろうか。
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続いて絵師の話だが、こちらは時代物ファンタジー。 妖物が次々出てくるのだが、怖いというよりは物悲しさの方が強い。 室町幕府八代将軍・義政に仕える土佐光信が主人公。 門井慶喜さんの「銀閣の人」では文化の力で政治に勝とうとした義政を描いてあったが、この作品での義政もまた美の感性は鋭...
続いて絵師の話だが、こちらは時代物ファンタジー。 妖物が次々出てくるのだが、怖いというよりは物悲しさの方が強い。 室町幕府八代将軍・義政に仕える土佐光信が主人公。 門井慶喜さんの「銀閣の人」では文化の力で政治に勝とうとした義政を描いてあったが、この作品での義政もまた美の感性は鋭い人という設定。 だが更にそこに伝奇的要素を加えることによって、大飢饉や災害、戦などで民が苦しむ中、作事作庭に没頭した身勝手な将軍という印象に対して納得できる理由付けをしているのが興味深い。 「銀閣の人」でも、岡田秀文さんの「応仁秘譚抄」でもある種諦めの境地のような部分が描かれていたが、夢や託宣、呪詛といったものが信じられていた時代ならこういうことがあってもおかしくはないかもとも思えてしまう。 一方の光信は『心に壁がない』ために様々な怪異を見ることが出来る人という設定になっている。 瓶、梨の木、鏡、鯉といった様々なモノと交信できるし、人の悲しみや願いを元に生まれたというモノも見ることが出来る。いちいちたじろいだり戸惑ったりしないのがすごいが、決して大物っぽくはないし、義政に取り入ったりも逆に堂々渡り合ったりもしないところがまた興味深い人物だ。 義政から様々な怪異の噂や人物を探るように命じられ、それを探っていけば最終的には人の苦しみ悲しみに気付き、あるいは人の世の醜さにたどり着くというのが切ない。それに比べれば妖物は何と純粋で美しいのか。 と言っても彼が妖物の世界に取り憑かれてしまうわけではないし、彼は絵師として義政の命令に決着を付けていて満足できる内容になっている。 終盤の義政はいよいよ妖物の世界に入り込んでいる。彼の願いがこの通りなら、後の応仁の乱は正に彼が望んだことということだろう。 『人の世の不幸は人が招く 人の世が乱れるのは人が望むから』 妖物の世界を描きながら、結果的には人の心の奥底を描いている、歴史からも逸脱しない面白い絵巻だった。 続編があれば読んでみたいが、どうもこの一冊だけのようだ。
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久々に気持ちよく最初から最後まで一気に読んでしまった。描かれる世界がとても雅で美しい。人ではないものが見える主人公の実直さ、将軍家のドロドロした感情なんかがとても良かった。
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