移民の記憶 マグレブの遺産 叢書《エル・アトラス》

ヤミナ・ベンギギ(著者), 石川清子(訳者)

• 販売会社／発売会社: 水声社
• 発売年月日: 2019/09/25
• JAN: 9784801002449

商品レビュー

2022/02/06

恥ずかしながらヤミナベンギギを知らなかった。インタビューを撮る原動力が、語られなかった父母の記憶を自分達が忘れないため、という。これは旧植民地からの移民である人々はみんな共感するものなのではないかと思う。インタビューを受ける人々は、私が出会った典型的なアラブ人(ムスリムであることを誇りに思い、大声で話し、おおらかでよく食べ、笑いよくも悪くも豪快)とは違う。フランスで生きていくために、ひたすらに働き時にはムスリムであることを隠し、苦悩の中異国で暮らす父たちには胸が痛んだ。アラブ人もここまで変わるものかと思うと、移民として生きる厳しさを思わずにはいられない。

2020/12/26

第一部　数年間出稼ぎするつもりで、車庫みたいな建物を住居とし、マグリブからやってきた男たちの話。第二部　家族も連れて来ていいよ、とのことでやって来た奥さん達の話。第三部　フランスで生まれた子供達（作者も含む）の話。まあ生活は贅沢なもんでないし、人種問題で自由も少ない。しかし民族的なものかなー。朗らかで人好きな感じがする。学がなくても生きることの真髄を知ってる気がする。結構妻のターンで皆赤裸々に下半身のことを喋る。それも下品なことと捉えてるんでなくて、必要な物、と認識してるからじゃないかな。