1985年の奇跡 新装版 双葉文庫

五十嵐貴久(著者)

• 販売会社／発売会社: 双葉社
• 発売年月日: 2019/08/07
• JAN: 9784575522501

商品レビュー

2023/04/29

夕焼けニャンニャンはすごく人気がありましたね〜。 「セーラー服を脱がさないで」は飽きるほど耳にしました。 物語は弱小野球部が勝ち進んでいくサクセスストーリーなんだけど、根性ものではなく、かと言って心を震わせるような感動ものともちょっと違う。 なぜなら、全編を通じ軽快なテンポとユーモアで心の襞をくすぐる物語だから・・・。(^_^;) 次は、心が硬くなった時に読んで、いい感じに心を解してもらおうっと・・・。(o^^o)v

2023/04/17

五十嵐貴久の三部作と言われたら3冊読まにゃいかんだろうということで。

校長の方針で無理やり進学校へ転向させられた小金井公園高校。その落ちこぼれの生徒で構成された弱小野球部は、ろくに練習もせずに早々に家に帰ってはおニャン子クラブのテレビを見る毎日だった。そこへキャプテンの岡野の同級生で、野球強豪校にスポーツ推薦で入ったはずの沢渡が転校してきた。豪腕ピッチャーだった沢渡と落ちこぼれ野球部は立ち上がることができるのか?

星は少ないけれども、読み物としては十分に面白く、中高生でも楽しんで読むことはできるだろう。落ちこぼれたちが、落ちこぼれなりに頭を使って野球部を盛り上げていく、いや、問題を解決して、野球部を強くしていくというシンプルなストーリーだ。

男ばかりのむさ苦しい環境に、ひょんなことから女性マネージャーが付いたり、そこからさらに…という漫画的展開も十分に楽しめる。

さて、減点ポイント。大きく2つ。

一つは、「1985年」というところに引っ張られすぎたきらいがある。夕やけニャンニャンから始まり、当時の流行を特に音楽のタイトルで無理やりねじ込んでくる。しかし、そのねじ込み具合が大概文の終わり間際で、あきらかに「ちょっと忘れてたからここにねじ込んでおこ」という部分が目立ってしまい、全く溶け込んでいないのである。編集方針なのだろうが、これは前に読んだ『1996年のスモーク・オン・ザ・ウォーター』では気にならなかっただけに、蛇足で失敗パターンである。

もう一つ。この手の小説の場合、主人公の立ち位置を平凡で中途半端にすることで、ストーリーが冴える。実際に、本作でもじゃんけんで負けてキャプテンをやらされている主人公。野球がうまいわけでもないしいいとこが一つもないので、その法則には従っている。しかし、だったら成績も下の上くらいにしておけば良いんじゃないの?成績も最下位ランクで、「ダチに」という言葉を使う辺りが、なんかこう主人公がどういうキャラクターだったのか危うくしている。あと、主人公の名前が最終的によくわからなかった。沢渡以外の登場人物も。

全体に平凡な佳作という感じだし、中心になると思った野球の試合も最短2行で終わるくらいあっさりしており、野球なんかわからんから盛り上がられても困るのよね、という人には読みやすい作品であろう。

2020/01/25

“青春”の物語ですね(笑)

弱小の野球部が、一人の部員の加入によって、あれよあれよというまに勝ちあがっていくという話なのですが、それには紆余曲折があります。

学校全体で野球部を応援しているの有ればよいのですが、学校側は逆に学力重視の方針で、むしろ野球部をはじめとした運動部は『やめてしまえっ！』と言う感じです。

“紆余曲折”には、令和になった今であれば、そこまで言われる事は無いであろうと言う事がエピソードとして一つあるんですが、1985年当時だったら、めっちゃヤバかったかもねぇ。