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悪声 文春文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
発売年月日 | 2019/08/06 |
JAN | 9784167913304 |
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悪声
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商品レビュー
4.7
4件のお客様レビュー
これは、唯一無二の物語。 時間、空間を自在に行き来して語られる。 なかなかストーリーをまとめることが難しいタイプの物語ではある。 主人公の「なにか」は、仏声寺に捨てられた赤ん坊。 普通の人間のように十六歳まで育っていくのに、寺の庭のコケの声が聞こえ、音が目に見え、美しい歌声を...
これは、唯一無二の物語。 時間、空間を自在に行き来して語られる。 なかなかストーリーをまとめることが難しいタイプの物語ではある。 主人公の「なにか」は、仏声寺に捨てられた赤ん坊。 普通の人間のように十六歳まで育っていくのに、寺の庭のコケの声が聞こえ、音が目に見え、美しい歌声を持つ、普通の人間ではない存在だ。 彼は流れ者の僧侶「お寺さん」の唱える経の中で、無数の生き物の生死を体験する。 そして、奇縁で結ばれた少女「あお」(お寺さんのふたごの弟、タマの娘)を救うため、固有の姿・形を失い、仏声寺に封じられた「悪声」、音そのものとなっていく。 たぶん、十代の頃とか、いや、十年前に読んでいたとしたら、この本を受け入れられなかった気がする。 でも、最近、思う。 自分もあと数十年もすれば、この世から消える。 今の姿は仮のもので、いずれ元素に戻って世界に散らばっていくのだろう。 その中で、また、いずれ別の何かの形をひょっととることもあるのかもしれない。 歳をとっていくと、自分の中にたくさんの年齢の自分がいることにも気づく。 そんな風になっていくと、一見カオスのようなこの作品の世界も、なぜかすんなり受け入れられるのだ。 悪声となった「なにか」は、「かなし、かなし、かなし」と歌う。 命は生まれ落ちた時からすでに死を内包している。 どういう形であれ、この世界に置かれた状態で生きていかなければいけない。 そのような命のありかたが「かなし」と表現されるのだ。 仏教的ともいえる生命観だが、この作品では命は「歌」でもある。 そのためか、非常にイメージ豊かに、融通無碍の形をとるいのちの在り方を美しく描いている、と感じる。 読み返すなら、どのページから読み返してもいい。 自分の感覚が解き放たれるような気がする。 でも、この作品を知人が読むとしたら、何度中断しても、最後のページまで読むことを勧めたい。
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- ネタバレ
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すごく密度が濃い。きちんと、読んだ、とは到底思えない。 この小説自体がうたみたいなもので、読むというより原始的な、もっと感覚的な体験という気がする。 自分の中に感応するところが出てくるたびにかちんかちんとスイッチが入って、からだの中にぶわっと感情と記憶の波がまき起こる。タマさんのサックスみたいに。電車の中でぽろぽろ泣いてちょっと恥ずかしかった。 「全身にひびきわたる鐘みたいな」歌、音楽にそういう領域は確かにある、と思う。音楽のなすがまま意図しない心の奥の奥まで揺さぶられて、しまっていた記憶も思いも溢れてしまううた。 その深いところで、自分の現実と夢を行きつ戻りつしながら、みんながつながっていく。太古の昔より長い間、時間も距離も越えて、奇縁に引き寄せられて、わたしたちは触れたり離れたりして、大きな波に揺られていく。別にそれって不思議やファンタジーじゃない。これがわたしたちのありようなのだ、きっと。 昔部活で吹奏楽をやっていた頃、とても楽しかった合奏の後につい友達に「さっき私、あんまり楽しくて音に包まれて浮きあがってる感じがしてた」って言ったら「私も!すごかった!」と何人もに返されて、とてつもなく嬉しかったことを思い出した。うたの浅瀬だったのだろう、と今にして思う。
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一つの命のもとには二人の両親がいて、その二人の両親にもそれぞれ二親がいて、それぞれの二親にもまた、それぞれ両親がいて・・・と遡っていくと、とてつもない人数になっていきます。それらの人々が、長い時間の中で繋がっていると思うと不思議です。 もっと時間をさかのぼって、この星に生命のもと...
一つの命のもとには二人の両親がいて、その二人の両親にもそれぞれ二親がいて、それぞれの二親にもまた、それぞれ両親がいて・・・と遡っていくと、とてつもない人数になっていきます。それらの人々が、長い時間の中で繋がっていると思うと不思議です。 もっと時間をさかのぼって、この星に生命のもとが誕生したころまでさかのぼってみると、すべては繋がっていると思いたくもなりますネ。命だけではなく、この星の上で起こった出来事までも全部。そう考えると、不思議を通り越して神秘です。 この物語の中に描かれている〝声〟とは、宇宙誕生以来ずっとそこにある、宇宙の意思そのものなのかなぁという気がします。 でも、いま日々の暮らしを生きている人々、人だけじゃなく、いまを生きている動物も植物も無生物でさえみんな、そんなこととは関係なく、ただこの世に生まれたから生きている。ここに在るから、ただ在るのです。この世にまれたことに意味はあるのか?なんて問いかけは無意味です。いくら考えても答えは見つからないし、個人の問題ではないのですから。 いろいろ考えながら読んだので、読み終えるまでにずいぶん時間がかかりました。 べそかきアルルカンの詩的日常 http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/ べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え” http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ” http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2
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