神前酔狂宴

古谷田奈月(著者)

• 販売会社／発売会社: 河出書房新社
• 発売年月日: 2019/07/11
• JAN: 9784309028088

商品レビュー

2024/02/27

新鮮な文章とプロットになる若い作家さんの力作。会話もテンポもセンスも良く、主人公の心の奥底にある硬く縮こまった生命の傾向性にさえ目をつぶれば、爽やかな青年時代の挫折と再生の物語りとなる。では主人公の想いは、結局描きたかった主題は？うーん。でも文章はとっても軽快で素敵でした。

2023/02/25

読めば読むほどわからなくなる作者。着眼点は間違いなくおもしろいし読んでいて楽しいのだが、落ち着きどころがよくわからない。オチが弱いというのとは違って、変なところに置き去りにされている感じ。あと人物描写がほぼ初登場時にしかないので、すらすら読んでいるとこの人どういう人だっけとなりがち。特に性別がわからなくなりがちのだが、わざと意識させないようにしている可能性もあるのがなんとも。

2022/01/15

すごく面白かった！
こんなに夢中で文字を追って没入したのは久しぶりです。
主人公の浜野は軍神を祀る高堂神社に併設された式場に派遣されたフリーター。現実を虚構の物語として自身の頭の中で再構築し、書いて消化することで、何とか現実世界にコミットできています。
何にも繋がることができない浜野の空白にぴたりとハマったのは、新郎新婦を＜仕えるべき神＞として信仰し、神前で婚姻を誓い催す宴に酔う徹底した酔狂さでした。
愛も進行も思想も金さえも、この宴の前では等しく酔狂。芝居も宴も人生も、始まったらあとは終わるだけ。