躍動 横浜の若き表現者たち

細見葉介(著者)

• 販売会社／発売会社: 春風社
• 発売年月日: 2019/03/01
• JAN: 9784861106408

商品レビュー

2019/05/06

この本は横浜で活躍する若手アーティストの人生、価値観、苦労をインタビュー形式で表現している。

昨今は成功者の生き方や、人生観を表した本が多数出ているが、それらの生き方は、トップ1%の生き方であるし、脚色され美化された表現が多くまやかしに近い。

この本で表されている、表現者だからこそ得られる楽しさと苦悩、そして、成功を手にしたわけではないが、地域のため自分の表現をかってくれる人のために切磋琢磨するアーティストの努力は、実は我々が持っている価値観活動に近いものがある。

生活苦などの苦悩がある中でも楽しさを追求する表現者たちのインタビューは圧倒的多数の人たちが共感できるであろう価値観であるし、より現実的な話でもある。

ビジネスパーソンが人生を楽しむためには、仕事を楽しみ、そして、チャレンジして失敗し、挫折し、修正して次の戦いに挑むということとニヤリイコールなのであると改めて感じた。そして、それがステークホルダーのためにもなるのだ。つまり、表現者たちが行う観客のための努力と一緒なのである。

若き表現者の苦労とその存在を私はこの本を読むまで知らなかったのだが、この本を読み終えた今、とても共感する。彼ら彼女らを自分とは違う存在で、芸術活動をするくらい余裕がある人たちなのかと勘違いしていたが、彼ら彼女らもリスクを背負い、かつ楽しむということを日々実践していることを知り、そういった活動に対して出来るだけ触れていきたいと思った。横浜の新たな面を知るために散策してみたい。

横浜を舞台にした本書は、地域性を詳細に表現し、
それに付随したアーティストを取り上げることで、地域と文化の一体感を表現している。
そして、名もなきアーティストの人生観を余すところなく、商業的な脚色なくインタビューし、文章に残した細見さんがやった功績は非常に大きいものがある。

名もなき若きアーティストの苦悩、楽しみ、人生観をまた別の軸を使って表現してほしいと願うばかりです。