朝嵐

矢野隆(著者)

• 販売会社／発売会社: 中央公論新社
• 発売年月日: 2019/04/19
• JAN: 9784120051869

商品レビュー

2020/11/07

鎮西八郎為朝の活躍を生き生きと描いた活劇。話が転がるように展開していき、面白く読み進めることができた。
史実をうまくからめながら、為朝の常人離れした活躍が当時の公家たちの日和見な感じの対比で、さらに強調されていく。最後は史実に寄り添う形で終わらせるのかと思いきや、昔からの伝説にからめてくる……がちょっと伝説とは違う展開にしている部分はご都合主義的な感じ。
ところで著者は、為朝の超人的な強さを描きたかったのだろうか、それとも武を追求するだけの愚かさも言いたかったのか？大義名分を求めた後の武士とは違う世界。
ところで、保元の乱、関ヶ原、大坂の陣等、似たようなエピソードが在るのは同じ武士と文官（公家や官僚）の対比がしやすいからなのか？と興味をそそられた。

2020/05/11

源為朝。彼の凄さを表現するのに、ジャパニーズ呂布と評していたのは誰だったか。その表現がものすごく気に入っています。

それだけの強さを遺憾なく発揮している物語ですが、匹夫の勇だったのかなと思わないでもない。戦場で弓だけを装備して、無双する為朝。なんだろうゲームのキャラクターだよね、ああゆうのは。BoWのリンクが被りましたね、空中射撃を駆使して無双する為朝。

義朝と為朝が保元の乱で敵対することがなければ？というif考えるのも面白そうですが、政治力に欠けているので結局、平氏の時代が来たのかなと思う。
政治力がある源氏の棟梁がいれば、ということか。

2019/06/07

朝嵐
久々に漢を感じさせる平安時代の武勇に溢れる内容で面白く読めた

あらすじ
時は平安時代、武士の源家の６人兄弟の末っ子為朝は、側室の子で幼少期に他の兄に蔑まれ、武芸に長けた長男義朝にも弓の訓練中、中傷された言葉を胸に弓の訓練に励む。12歳になった為朝は、弓の強者に育ち練習に励む中、個々の技に長けた子達と出会い野党を組み従える。そんな為朝を京の帝の摂政を守る父義為は、為朝を九州の薩摩に遠ざける。為朝は武士の志から兄義朝との戦いを胸に抱き、地の豪族らを野党らと共に破り武名を上げる。そんな九州での為朝の振舞いを見兼ね摂政から京に呼び戻される。そんな京での生活の中、帝を二分する乱が起き為朝は、父、兄弟らと共に旧帝側で新帝側の平清盛、兄義朝らと戦いを挑むも病に倒れ破れ補足され新帝の前で両肩を義朝に外され大島に抑留される。大島では、代官の娘蘭に食事の世話になりながら義朝を怨みながらも武を捨て蘭と夫婦になり落ちた生活だが普通の生活を営む。そんな生活の中、京での戦いで為朝を守り死んだと思っていた幼少から乳母の子で共に生きてきた従者の秀頼が現れる。秀頼からその後、義朝に助けられてその義朝は清盛に打たれた事を聞き為朝は怨みが義朝を打った清盛に向けられる。その秀頼から大島を手にして清盛を打つ再起をそそのかされ武を取り戻した為朝は伊豆島々を掌握。最後は島々に押し寄せた清盛軍勢に攻められ秀頼が京の戦い後、義朝で無く清盛を主に従った罠で有った事を悟っており自害し果てる。