三つ編み

レティシア・コロンバニ(著者), 齋藤可津子(訳者)

• 販売会社／発売会社: 早川書房
• 発売年月日: 2019/04/18
• JAN: 9784152098559

商品レビュー

2025/11/18

女性として生きるのは大変。インドで、イタリアで、カナダで、インドで不可触民の女性の話を読むのが辛すぎた。でも、他の地域の女性たちもそれぞれに問題を抱えていて、カナダのエリート弁護士だって、ガラスの天井を打ち砕くことに必死になっている。後書きで、日本のジェンダーギャップ指数は、悲惨に見えるインド以下と知って絶望する。必ずしも、この結末でいいのかと思うのだけれど、小説としてはきれいにまとめられちゃった感がある。

2025/11/01

三つ編み。三つが織り合わされることでしなやかかつ強靭になるまさに三つ編みのように、この作品では3人の女性の物語が織り合わされるように紡ぎ出される。それぞれは場所も境遇も違う。しかしこれら3つはあるときにしっかりと交わるのだった。
女性であることそのものがもつ不平等性が、この小説の根底にある。ここに出てくる3人の女性の境遇は、それぞれに過酷である。とりわけインドの辺境に住むスミタの置かれた運命は、これほどのことがあろうかというほど突き抜けた過酷さである。しかしその構造そのものは何もフィクションの話ではないのだろうから、インドの不可触民とされる人たちへのもはや人間に対するそれではない扱いに吐き気すら覚える。しかしスミタは強かった。だから私は3人の中でもスミタの物語が一番強く印象に残った。

"スミタは悲しくない。いいや、まったく悲しくない。"
この否定めいた強い肯定の、それでいて簡潔な表現が、スミタの生、そしてこの物語全体を象徴するように思えて、私に強く響いた。

それぞれに過酷だけれど、3人それぞれの持つ強さによって、希望へと展開していくシナリオがよかったし、三つ編みのようにひと房ずつ区切られて織り込まれていく構成が効果的だった。何より文章に抑制された洗練さが光る。訳文も素晴らしく、読みやすくかつ読み応えのある一冊でした。

2025/10/19

生きてる環境も住んでいる所も全く違う3人の女性が、髪の毛を通して繋がっていくところがとても面白かったです。
3人とも、私の想像を遥かに超えた人生を送っていて、女性に限らず、人間は一人ひとりにそれぞれストーリーがあるのだと考えるようになりました。