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鎮魂のデトロイト ハーパーBOOKS
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | ハーパーコリンズ・ジャパン |
発売年月日 | 2019/04/17 |
JAN | 9784596541093 |
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鎮魂のデトロイト
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ノラ・ワッツシリーズ2巻目。 相変わらず、思っていたのと違う話だった。 探偵とジャーナリスト、二人のボスに受付兼調査員として雇われる主人公、となれば相場は決まっている。 ボスのどちらかに指示されてなにかを調べていく。なぜか彼女の補助調査のほうが、ボスより核心に迫っていて、殺人...
ノラ・ワッツシリーズ2巻目。 相変わらず、思っていたのと違う話だった。 探偵とジャーナリスト、二人のボスに受付兼調査員として雇われる主人公、となれば相場は決まっている。 ボスのどちらかに指示されてなにかを調べていく。なぜか彼女の補助調査のほうが、ボスより核心に迫っていて、殺人がおきて、黒幕に狙われて、殺されそうになりつつも、「あなたが犯人なのね!」とこれまでの復習をしつつ反撃して、相手を捕まえるあるいはやっつけるのだ。そして、大丈夫かと駆けつけるボスふたり・・・・・・ まったくそうではなかった第1巻。(『喪失のブルース』) 自分がらみの話もまあ片付いたことだし、いよいよ2巻からそう運ぶかなと思ったら、もっと違った。 喜ばしいのは、1巻に出てきた人たちのたいていが、犬のウィスパーももちろん登場してくれたことだ。 彼らの近況を知ったのは嬉しい。けれど、ここまで様子が変わっているとは思いもよらなかった。 あれから1年。いろいろあるものである。 そして、語り手であるノラのユーモアのキレが増していた。 1巻ではどこかためらいのあった皮肉が、遠慮なしに述べられている。 『ヒッピーのことなら任せてほしい。何しろ、カナダの西海岸はヒッピーのメッカなのだ。夏になると群れをなしてやってきて、悪臭を放つ大きなバックパックを背負って、そこら中を歩きまわる。"清らかな水"や、"新たなはじまり"を探しているらしい。とはいえ、麻薬や酒でハイになりすぎているから、目的のものは何ひとつ見つからない。さもなければ、本腰を入れて探せずにいる。それでも、性懲りもなく、「これこそが自我だ」とか「宇宙からのメッセージだ」などと口走る。私はそういう言葉を"話をさっさと切りあげろ"という宇宙からの指令と解釈しているが、そういった指令はヒッピーにはいっこうに伝わらない。』(220頁) 前の事件の後遺症か、嘘を見抜くという自分の能力の精度が落ちてきたことを、ノラは残念に思っている。 けれど、私は大丈夫だと思うのだ。 皮肉もユーモアも、物事を鋭く観て一気に把握する能力がなければ生まれない。 このキレがあれば、大丈夫。 しかし、話がここまで大きくなっていくとは思わなかった。 たしかに、1巻の時から、登場人物の背景が種々様々ではあったけれど、『国際的娯楽』(327頁)までくるとは驚きである。 とはいえ、膨らましすぎて、フガフガになってしまったかというと、そんなことはない。 作者シーナ・カマルは、最初から三部作を構想していて、今、そのように描きつつあるところなのだろう。 次巻は2020年に発行予定だという。 『奇跡のバンクーバー』『哀愁のベイルート』『再会のウィニペグ』・・・・・・? 今、勝手にタイトルを予想したが、どうせ、想像などかすりもしない。 ノラ・ワッツはそういうヒロインで、シーナ・カマルはそういう作家だ。 『エイミー・ワインハウスの歌をうたうような人間はまともではない』(120頁)などと述懐しながら、ひねくれ者の気分のノラが歌う『リハブ』はこちら。 https://www.youtube.com/watch?v=KUmZp8pR1uc ちなみに、歌詞の"パパ"(ダディー)にノラは当然自分の父を思うのだが、エイミーの父、ミッチ・ワインハウスはこちら。 https://www.youtube.com/watch?v=dMYWkOnJYnw 長らくタクシー運転手をしていた彼は、2011年、ジャズシンガーとしてデビューを果たした。このデビュー曲とともにツアーをしていたのだが、その最中にエイミーが急死する。死因は過度のアルコールだった。 お酒は好もしいものだが、過ぎると危険な毒になる。 酒の問題と常に戦っているノラが、今後も無事であることを願って、3巻を待つ。
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ノラ・ワッツ三部作の第二作。一作目であまりに薄幸ゆえタフでワイルドなサバイバリストに育ってしまった個性豊かなヒロインの登場を描き、生まれてから一度も会ったことのない娘を探す旅に出たヒロインは、謀略を暴き、派手な大団円を迎える。 本作では、父の自殺の謎を追って、父の育った土地...
ノラ・ワッツ三部作の第二作。一作目であまりに薄幸ゆえタフでワイルドなサバイバリストに育ってしまった個性豊かなヒロインの登場を描き、生まれてから一度も会ったことのない娘を探す旅に出たヒロインは、謀略を暴き、派手な大団円を迎える。 本作では、父の自殺の謎を追って、父の育った土地デトロイトに向かい、ここでも複雑に入り組んだ人間模様の謎に絡め取られながら、危険に曝される。前作と本作の間で、ノラの周辺環境に大きな変化が起こり、しかもノラはデトロイトで物語を紡いでゆくため、物語は自殺した父、行方をくらました母と二つの人生の秘密を暴きつつ新たな展開を迎える。 とりわけ謎の多い母の行方についてとノラや娘ボニー、前作から因縁の続くブラズーカら含めて、すべての決着は三作目を待つこととなる。 そう。始動と決着とに挟まれた経過地点みたいな一冊なのである、本書は。 バンクーバー在住の作者は、トロントで政治学を学び、ホームレス支援活動や映像業界での調査業を経験していたという。米国とレバノンの国政情勢を絡めたり、歴史的紛争地帯の動静や難民虐殺事件など、カナダ生まれの本書は従前のアメリカン・ミステリよりも遥かにグローバルな視点に連結させている。一人のしがない女性が取り組む一家族の行方を辿るミステリであるというのに。 登場する人物の多種多様さ、関わる国籍の多さ、人間関係、組織関係、距離感の把握し難さなどが、娯楽小説としてのスピード感にブレーキをかけ、、敢えて読者の眼差しを、ビッグスケールな世界に向けようとしている野太いプロットは男性顔負けである。 バイオレンスを身に着けた多くの男どもの追跡を逃れ、猫のように闇の中で爪を研ぐヒロインのたくましさと慎重さぶりは、今回も彼女の孤独とともに語りの中で一貫してゆく。前作ほどにエキセントリックな設定ではない生活レベルで出発しただけに、少し彼女の安定や成長を観ることができると感じたが、良い意味で裏切られ、最終巻への期待を持たせて物語は閉じてゆく。 それぞれの際立つキャラクターにどういう最終章が用意されてゆくのか、現時点で執筆中ということもあり情報はゼロ。緊張が続くままに巻を閉じることになったが、ノラはバンクーバーに戻る様子はなく、娘ボニーの住むトロントに向かいそうな気配である。こうなれば最後までつきあうしかあるまい。
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