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戦前・戦時期の金融市場 1940年代化する国債・株式マーケット
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 日本経済新聞出版社 |
発売年月日 | 2019/04/11 |
JAN | 9784532134938 |
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戦前・戦時期の金融市場
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商品レビュー
3
3件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
現在の政治・金融情勢が100年前と酷似している今、過去の歴史から何を考えるべきか?と思い、本書を手に取りました 本書は典型的な研究書なので、全部読むのはかなりハードル高く感じます。よって、各章の小括と興味のある節を読む感じでいきました。 結果、本書では将来を見通したミクロ的、マクロ的な手法・考えの具体的な提言はありませんでした。 本書から得た最大の学びは、物価&経済変動が反映される資産利回りを無理やり抑え込むと、将来的にインフレが一気に進んだという歴史的な事実である。 しかし昔と今で違うとこは、100年前は金本位制の国が多数だあったこと。日本では資産が海外へ逃げることを防止する法律があったことなど、現在と事情が異なるということは留意する必要がある マーク・トウェインの名言で『歴史は同じようには繰り返さないが、韻を踏む』というのがあるので、やはり資産はインフレにある程度対応できる状態にしておくことは必須だと感じました
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難しい。単純に債券とか株式に関する知識がないからなのだけれども。金融という側面からみた戦前日本ということで、わからないなりにかなり面白く読めた。 金解禁のもたらした影響、必ずしも失敗ではないのかもしれないけれども(というか、知識が足りなくて正しく評価できない。)、日本経済に与えた...
難しい。単純に債券とか株式に関する知識がないからなのだけれども。金融という側面からみた戦前日本ということで、わからないなりにかなり面白く読めた。 金解禁のもたらした影響、必ずしも失敗ではないのかもしれないけれども(というか、知識が足りなくて正しく評価できない。)、日本経済に与えた影響はやはり大きかった(結果として良くはなかった。)のだなとか、高橋是清蔵相の低金利政策、馬場蔵相のもとでの低利借換、五代銀行の証券評価償却による含み益の拡大と軍需産業への貸し出しにより、大きな収益を上げていたこと、日銀が一端国債を引き受けて、市中に売りオペしていたことなどなど興味が尽きない。 もう少し勉強してから読むとまた違う読み方ができるかなと思った。 戦時体制が、国による統制で始まっているものの、与えられたルールのなかで銀行が利益を最大化しようとし、結果としてそのことが戦時体制の推進につながっている。合成の誤謬というか、誰か一人が間違っているのではなく、よくしようとして努力した結果、あのような悲劇に繋がっているというのは、現代にも通じる教訓なように思われてならない。
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昭和初期から戦時期にかけての日本では、政府・中央銀行による金融市場の「統制の時代」とも呼べる時期が存在した。本書は、現代のイールドカーブコントロールを中心とした金融政策に同種の統制的な臭いを嗅ぎ取った著者が、現在入手可能な当時の国債・株式市場に関する原データに、当時に特有の規制・...
昭和初期から戦時期にかけての日本では、政府・中央銀行による金融市場の「統制の時代」とも呼べる時期が存在した。本書は、現代のイールドカーブコントロールを中心とした金融政策に同種の統制的な臭いを嗅ぎ取った著者が、現在入手可能な当時の国債・株式市場に関する原データに、当時に特有の規制・制度に応じた修正を加え、定量的なパフォーマンス評価を試みようとするもの。冒頭マーク・トウェインの有名なアフォリズム「歴史は繰り返さないが韻を踏む」が引かれていることからも自明なように、そこで意図されているのは現下の金融政策の帰結を過去の事例から類推することだ。 まず著者は国債市場について、同一発行体であるにも関わらず利率間にイールドスプレッドが存在したことに着目する。著者によれば、これは政府による強制的な「低利借り換え」を始めとする戦前特有の金融政策に対する市場参加者の懸念の現れだという。しかし、国債評価における取得原価主義の導入や、短期利回り<国債利回りとなることの国債保有インセンティブ付与により、国債市場における価格変動リスクはほぼゼロ水準にまで抑え込まれていたという事情がある。 一方、株式市場においては、従来のようにキャピタルゲインのみに着目するのではなく、著者らが「権利落ち修正・配当修正」等を施しパフォーマンス測定を行った結果、相応のリスク・リターンを伴う動的なマーケットが保存されていたことが判明する。物価指数や短期金融市場、さらにはインフレにも関わらず名目金利の変動が低位に抑え込まれた国債市場と比べても、株式市場のパフォーマンスインデックスは優位であった(実質マイナス金利の示現)。 また、両市場における主要プレーヤーであった5大銀行に「有価証券価額償却」という未実現損失の計上と損金算入を容認することで、民間セクターを巻き込んだ国債消化の安定化政策が実行された。これにより増大した内部留保は軍需産業への投資に向かうため国策(=民間から政府への富の移転)にかなう一方、当然ながら民間側にも含み益というメリットがあった。これを著者は公・民の協調下での「金融抑圧」であったと断じている。 以上のような議論を踏まえ、著者は、公的セクターにより過度にボラティリティが抑え込まれているという意味で、当時と現在の金融市場には共通点が多く見られると指摘する。しかしその一方で、現代では国債市場におけるリスクは戦前ほどコントロールされていないとも。資本市場がグローバル化していることと、さらには中央銀行の金融政策変更が価格変動要因(サプライズ)として機能していること、株式市場への直接関与が困難であることなどがその理由。戦前戦中の官民協調体制とは異なり、現在の金融政策は民間金融機関への負担が大きく、その持続性にも疑いの目を向けている。 全般的にテクニカルな記述が多く退屈ではあるし、結論が予定調和的なのがやや拍子抜け。しかし終章で言及されるように、「エネルギー等の原材料の輸入依存」というインフレ要因は相変わらず戦前戦時中と現在の共通項であり、安易に金利<インフレ率という実質マイナス金利状態を意図的に創出することの危険性は、もっと真摯に受け止められて然るべきだと思う。
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