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ドルジェル伯の舞踏会 光文社古典新訳文庫
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ドルジェル伯の舞踏会 光文社古典新訳文庫

レイモン・ラディゲ(著者), 渋谷豊(訳者)

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ドルジェル伯の舞踏会 光文社古典新訳文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 光文社
発売年月日 2019/04/09
JAN 9784334753993

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商品レビュー

4.3

7件のお客様レビュー

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2023/01/04

三年半ほど前、高校生のときに古書店で古い文庫を買って 積んだまま読まずに〈引っ越し処分〉していたことを思い出し、 反省しつつ光文社古典新訳文庫を購入。 早熟・夭折の天才と言われるレーモン・ラディゲの(短めの)長編小説。 1920年2月、パリ。 高等遊民の一種である二十歳の青年フ...

三年半ほど前、高校生のときに古書店で古い文庫を買って 積んだまま読まずに〈引っ越し処分〉していたことを思い出し、 反省しつつ光文社古典新訳文庫を購入。 早熟・夭折の天才と言われるレーモン・ラディゲの(短めの)長編小説。 1920年2月、パリ。 高等遊民の一種である二十歳の青年フランソワ・ド・セリユーズは、 社交界の花形アンヌ・ドルジェル伯爵およびマオ夫人と出会った。 フランソワの友人で外交官のポール・ロバンも交えて サーカスを楽しんだり非合法のダンスホールで踊ったりして、 彼らは親交を深めていった。 フランソワは次第にマオ夫人に恋情を覚えるようになり、 距離を取るべきか縮めるべきか思い悩む。 一方、マオの心は……。 享楽的な暮らしを送る、 20世紀になっても貴族としての特権意識を失わない伯爵と 控え目な妻の間に、 上品だが物怖じしない青年が割って入るという 三角関係の物語。 フランソワはマザコンであることを自覚し、 母から精神的に自立するには一人前の男として 誰か特定の女を愛す必要があると考え、 最良の相手がマオ・ドルジェルだと思い至る。 それは恋ではないと思うが(笑)。 一方、マオは名家の出で、 若くして伯爵夫人となったため、 一般的な意味での社会経験に乏しい女性で、 夫の庇護下で安閑と暮らしていることに 引け目を感じていたかもしれない。 そんな彼女が――『肉体の悪魔』の人妻マルト・グランジエとは違って ――実際に不貞を働くわけではないけれども、 不意に現れた気品のある――しかし、 実は内面はウジウジ、グシャグシャしている――青年に 心を動かされ、思い悩むという話。 彼女は秘密を抱え込んでいられず、 自分と彼を引き離してくれとフランソワの母に手紙を書き、 遂には夫にも心情を告白してしまう。 面白いのはエンディングでの夫のリアクション。 彼はあくまで妻を籠の中の鳥のように愛で続ける意思を翻さず、 結果、彼女の心は 現状以上にフランソワへ傾くことはないとしても、 夫との間には、 さながら一枚の紗幕が掛かったかのような距離感が 生じてしまうのだった。 マオにもっとバイタリティや図々しさがあれば、 苦労を承知で自由を求めて外へ飛び出す、 イプセン『人形の家』のノラのようになれたのだろうか。 仮装舞踏会は準備すら中途半端で、 一同はこれから改めて各々の役回りを定め、 それに従って上辺だけは楽しそうに、 力尽きて倒れるまで踊り続けるのだろう。

Posted by ブクログ

2022/04/29

この小説において"誤解"は重要なキーワードになるのではないかと思った。 他者への誤解、または自分自身の心の誤解。 語り手の焦点が定まっていないため、全登場人物の内面を覗き見ることができるが、皆なんらかの誤解をしながら物語が進んでいく。 一方で、自分自身の心を素...

この小説において"誤解"は重要なキーワードになるのではないかと思った。 他者への誤解、または自分自身の心の誤解。 語り手の焦点が定まっていないため、全登場人物の内面を覗き見ることができるが、皆なんらかの誤解をしながら物語が進んでいく。 一方で、自分自身の心を素直に読み取れている人物もいる。しかし、それは貞淑な人妻への恋心…。 純粋無垢な恋心は決して成就することはない。成就したところで、それは邪な関係性となり、信頼している人物を裏切ることになる。それは誰も望まないこと。 登場人物の素直な恋心と自分の気持ちを誤解して受け取ってしまった恋心、それぞれ揺れ動く内面の描写がなんとも激しく、繊細であった。

Posted by ブクログ

2021/12/20

フランス貴族の生活はなじみのないものなので、優雅で現実離れした様子は想像を掻き立てられる楽しい描写だった。何かにつけて自分の行動の意味や原因の詮索、正当化などをするのは、生活に余裕がある人々の常套手段で、時代も場所もなく連綿と繰り返される習慣なのだと思った。一番いいと思ったのはア...

フランス貴族の生活はなじみのないものなので、優雅で現実離れした様子は想像を掻き立てられる楽しい描写だった。何かにつけて自分の行動の意味や原因の詮索、正当化などをするのは、生活に余裕がある人々の常套手段で、時代も場所もなく連綿と繰り返される習慣なのだと思った。一番いいと思ったのはアンヌの人物像。浅薄な人物で世間並みのことしか考えられない社交会人間として描かれているが、そんなつまらない器の男に私には思えなかった。特に最後の二ページのアンヌは秀逸としか言いようがない。マオの言っていることは本来彼を少なからず動揺させるはずだったのに、それを聞いた途端取り繕う方法を思案している彼は、むしろ冷静沈着ともいえるではないか。期待と異なる反応を占めす異星人のようである。価値観が異なるとどのような悲劇的結末を迎えるかを端的に描写したシーンで一番好きな部分だった。 この描写を読んで思いだしたのは、齟齬が生じるときは決まってどちらかがより迷惑をこうむっているのではないかということだ。アンヌはマオがショックを受けてるなど毛頭思いも及ばないのだから、マオ一人が心を痛めているだけにすぎない。二人の成就しない願いとか、悲劇的別れとかはよくある話だが、ある意味彼ら彼女らは同じ思いを共有することにおいてはこれ以上ないほどの成功を収めている。こういう作品は悲劇であると同時に喜劇でもあるのだ(もしこんなことを帝国劇場の前などで言おうものなら、ロミオとジュリエットのファンに軽侮されるのだろうが)。つまるところ最もみじめで残酷なのは、マオとアンヌのように二者の感情が同じベクトルではなく、ねじれの位置になっている時なのだと私は思う。

Posted by ブクログ

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